赤の似合う君と
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
03
《逆転の告白》
「貴女が好きなのだ…」
私は御剣君の胸から顔を上げた。切なそうに、苦しそうに寄った眉が彼が本気だと物語っている。
「…申し訳ない…」
腕を解こうとした御剣君を制止する。
「羽影検事…?」
『御剣君、私の事…この話を聞いても好きでいてくれるの?』
ひどい質問だと思う。振り向かないだろう女を、まだ思っているかだなんて。
「勿論だ。今の一瞬だけで嫌いになれとでもいうつもりか」
怪訝な顔をした御剣君が少し可愛くて。ちょっと笑ったら、眉間のシワが緩んだ気がした。
『ねぇ…御剣君。私も君の事好きだよ』
「!!」
『けど、やっぱり迷いがあるの…私が待ってないと、あの人が……』
「その、彼が目覚めるまで…私に貴女を支えさせてくれないだろうか。その時が来るか、心が決まったら貴女が選べばいい」
『御剣君は?…それでいいの…?』
あまりにも。私が我が儘過ぎる。一番傷付くのは彼なのに。
「フッ…」
『?』
「問題ない。貴女が離れられなくなるくらいに愛せばいいのだから」
今まで堪えてきた分も。
そういってもう一度顔を埋めさせられる。
せわしなく聞こえる速い心音で、凄く照れているのが解る。私も。彼も。
.
『ね、御剣君。私なんかのどこがいいの?』
紅茶をいれて、向かい合って座る。
「ム…まっすぐなところだろうか…優しいところにも惹かれた」
口をつけかけた紅茶を離して話す御剣君。
「だが、それが一つや二つ欠けたところで嫌いになる訳でもない」
それがあっての羽影検事なのに、不思議な事だ。
赤くなりながら真面目な顔で呟く彼に、自分も頬が熱くなる。
『聞いておいてなんだけど、言われると恥ずかしいね』
「……羽影検事は…私のどこがよいのだ?」
『…』
何故だろう。いつからだろう。
『気づいたら好きだったから解らない…』
「…」
『いや、えっと…話してる時とか楽しいし、心が落ち着くっていうか…』
言っていてさっきよりずっと頬が熱くなってきた。
『ごめんね、うまくいえないや』
紅茶を飲みながら答えれば、十分だ、と小さく微笑してくれた。
『…でもさ、私のが年上なんだよね…』
「何か気になるのか?」
『いや、男性って年下の可愛い娘が好きなんだと思ってたからさ』
カップにミルクを足しながら話す。御剣君の眉間にはまたヒビが入っている。
「……あまり年を気にした事はないな」
『何それ?私子供っぽいって事?』
「そのようなアレではないっ…貴女の事はいつも尊敬しているし、決してそのような……」
『冗談だよ、そんなに必死にならなくていいよ』
クスクスと笑う私を"羽影検事!!"と睨む御剣君がまた可愛い。
『私は不思議でね、年下を好きになんてならないと思ってたんだけど。案外後輩も可愛くてね』
まあ、御剣君は後輩っていうより仲間っぽいかもね
と足して紅茶を促す。
「私は、その…」
『君は君のままでいいよ、今私が好きなのは御剣君だから。無理に変わる必要も無理に留まる必要もない。それに…』
君の何かが一つや二つ欠けたところで、嫌いになれやしないから。
そう言って笑った。
顔を赤らめながら穏やかに微笑む御剣君を見て、とても幸せな気分だった。
(あ、ヒビなくなった)
((ヒビ??))