赤の似合う君と
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赤の似合う君と
《始まりの逆転》ヒロイン視点
『神乃木さん、あの、私が一人前になるまで待っててもらえませんかっ?』
「…ああ、待ってるぜ?コネコちゃん」
〈紅の似合う君と〉
そんなやり取りをしたのは数年前。
司法試験に合格して検事になった私の前に現れたコーヒーの似合う男。
全く変わっていなかった。
ただ、彼の横に女性がいただけで…
『お久しぶりです、神乃木さん』
「ああ、久しぶりだな。まさか検事になるとはおもわなかったぜ」
「初めまして、綾里千尋です」
『初めまして、羽影雨月です。今日の弁護はあなたですよね?』
「はい」
『初っ端が死刑囚なんて…代わってあげないんですか…』
「まあな」
彼は一人前の弁護士になって、後輩である新米弁護士の綾里千尋さんを連れていた。
「今日は羽影、アンタが検事をするんだろ?」
『違います。私は、神乃木さんが弁護すると聞いていたから来ただけです』
「クッ、俺に会いに来てくれたのかい?」
『…ええ、貴方が弁護するのなら、一人前になったところをお見せしたかったので』
「…」
『さあ、始まりますよ、裁判。綾里さん、頑張って下さいね』
一目でわかってしまったのが悲しい。はいっ、と初々しく緊張した彼女を見て確信してしまった。
彼は、私を待っていてはくれなかったのだ。
ただの口約束だから仕方ないのかもしれない。
ずっと焦がれていたからわかる、神乃木さんは…
綾里さんが好きなんだと。
その会話を最後に、彼は眠りについてしまった。
深い、深い眠り。もう、1年以上経つ。
綾里さんが立ち去ってから、私は彼の病室へ向かう。
きっと、私の声じゃ、目覚めてなんてくれない。
美柳ちなみ、は。今最も憎い女。けれど、その女は綾里弁護士によって有罪判決が下った。
『神乃木さん、私は待ってるんですよ…』
届かない言葉を紡いで、白くなった髪を撫でる。
今だから、彼に触れられる。皮肉な事だ。
彼に毒を盛った美柳は死刑判決が言い渡され、さらにその後、綾里さんが二度目に弁護した青年が弁護士になり。
また、新たな展開が訪れる。
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