純白の花と紺碧の蝶
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※花宮が25歳の10月を想定しています。
※他キャラの未来捏造あり
*プロローグ* [ヒロイン視点]
「え、結婚式したんすか!?」
高尾くんが、素っ頓狂な声をあげた。
病院の食堂で上げるには少々大きな声だったので、しーっ、と人差し指を立てる。
ここは、私が勤める病院の社員食堂。
私は管理栄養士として、高尾くんはスポーツリハビリ士として勤務していた。
今年で勤務3年目。やっと、手に馴染む仕事になってきた頃。
『うん。一昨日の日曜に』
「それで、今週末から来週いっぱいハネムーンなんすよね?…マジかぁ……」
時折一緒に座る高尾くんに、来週いっぱい休むと伝えれば。にへらぁっと緩い笑顔を浮かべる。
「結婚してんのも驚いたけど、式まだだったんだなぁって、それもびっくりっすわ。え、何年目でしたっけ?」
『今年の3月に7周年を迎えました』
「あと半年で8年とか」
私は今の苗字になって7年半、新婚…という年月ではないのだけども。
新婚の時は学生だったから、目標額まで貯金できなかったのだ。…本当は、大学の長期休みとかで行きたかったけど…妥協したくなくて。
『あ、式も旅行もね、霧崎のチームだった人がプラン立ててくれたんだ。“お前らは一緒に居すぎてメリハリないだろ”って』
「相変わらず仲いいっすね」
『高尾くんだって緑間くんとまだやり取りあるでしょ?』
「ありますけど、レベル違うっすわ」
やっぱり高尾くんは にへらぁっと緩く笑う。
「楽しんで来てください、一生に一度のハネムーン」
『うん。ありがと』
「あ、行く前に結婚式の写真見せてください!」
(うわぁ…花宮さん相っ変わらず雨月さんにはえげつない笑顔向けんな)
[花宮視点]
「ちょっと!なんで結婚式呼んでくれなかったのよ!」
「呼ぶ必要が無ぇからだ」
「ハネムーン中の仕事を引き受けて上げる私にそんな口きく?」
就職した企業の、同じ部所の同期に実渕がいた。
いた、だけなら兎も角。
“いやん!まこっちゃん元気?お嫁ちゃんとは仲良くやってる?”
凄い勢いで絡んで来た。現在進行形。
「せっかくお嫁ちゃんのドレス見れると思ったのに」
「…絶対見せねぇけど」
「ケチ」
中高では顔を知ってる程度だったのが、大学バスケでは度々出くわすようになって。
“お嫁ちゃん”ともいつの間にか仲良くなってるし。
「あーあ、私もハネムーン行きたいわぁ。付いてっていい?」
「ふざけんな」
「いやぁね、邪魔しないわよ。遠からず近からず眺めてるだけだから。ね?」
こういうこと言ってのける、自称“お嫁ちゃんのファン”でもある。
「ね?じゃ、ねぇんだよ。仕事任せたんだから大人しく出勤してろ」
今週末からの旅行は、7年越しの新婚旅行だ。
金銭的にも計画的にも漸く目処がついて、霧崎だったメンバーに後押しされての、念願のハネムーン。
誰にも、何にも、邪魔させない。
「…そうね。こっちは私に任せて、気兼ねなく楽しんでらっしゃい」
「……」
「なに身構えてるのよ。お嫁ちゃんとの土産話楽しみにしてるんだから、お幸せにね。帰りも気を付けて」
「…ふん」
…コイツには、話だけじゃなくて物の土産も用意しないとな。
俺が居ない間のフォローは全部任せて行く訳だし。
いや、垬無く終わらせてあるから何もないとは思うが。
一応。
「ねえ。やっばりお嫁ちゃんのドレス姿見せて頂戴。それで一週間がんばれるわ。どうせ写真スマホに入れてるでしょ?」
(やっばりお嫁ちゃん、まこっちゃんに向ける笑顔が一番ね…眩しいわぁ)
*0日目*
金曜の深夜。成田空港発の国際便を待っている。
『長崎に行った時も夜行便だったね』
「昼間の時間を長くしたいから、どうしてもな」
俺と雨月は荷物を預け終わって、搭乗ゲートが開くのを待っていた。
大きなガラス張りの向こうは、暗闇に飛行機の明かりと誘導灯が瞬くだけで。民家のような暖かさのある明かりはない。
『…、夜中のお出かけってドキドキしない?』
「子供か」
『だって。なんかさ、逃避行みたいでしょ?…これから真君と駆け落ちするの…ふふ、』
暗闇と静かなホールに、彼女の小さな吐息が溶けていく。
「馬鹿。行ってもないのに、帰りたくなくなるだろ」
ハネムーンは、これからなんだから。
※他キャラの未来捏造あり
*プロローグ* [ヒロイン視点]
「え、結婚式したんすか!?」
高尾くんが、素っ頓狂な声をあげた。
病院の食堂で上げるには少々大きな声だったので、しーっ、と人差し指を立てる。
ここは、私が勤める病院の社員食堂。
私は管理栄養士として、高尾くんはスポーツリハビリ士として勤務していた。
今年で勤務3年目。やっと、手に馴染む仕事になってきた頃。
『うん。一昨日の日曜に』
「それで、今週末から来週いっぱいハネムーンなんすよね?…マジかぁ……」
時折一緒に座る高尾くんに、来週いっぱい休むと伝えれば。にへらぁっと緩い笑顔を浮かべる。
「結婚してんのも驚いたけど、式まだだったんだなぁって、それもびっくりっすわ。え、何年目でしたっけ?」
『今年の3月に7周年を迎えました』
「あと半年で8年とか」
私は今の苗字になって7年半、新婚…という年月ではないのだけども。
新婚の時は学生だったから、目標額まで貯金できなかったのだ。…本当は、大学の長期休みとかで行きたかったけど…妥協したくなくて。
『あ、式も旅行もね、霧崎のチームだった人がプラン立ててくれたんだ。“お前らは一緒に居すぎてメリハリないだろ”って』
「相変わらず仲いいっすね」
『高尾くんだって緑間くんとまだやり取りあるでしょ?』
「ありますけど、レベル違うっすわ」
やっぱり高尾くんは にへらぁっと緩く笑う。
「楽しんで来てください、一生に一度のハネムーン」
『うん。ありがと』
「あ、行く前に結婚式の写真見せてください!」
(うわぁ…花宮さん相っ変わらず雨月さんにはえげつない笑顔向けんな)
[花宮視点]
「ちょっと!なんで結婚式呼んでくれなかったのよ!」
「呼ぶ必要が無ぇからだ」
「ハネムーン中の仕事を引き受けて上げる私にそんな口きく?」
就職した企業の、同じ部所の同期に実渕がいた。
いた、だけなら兎も角。
“いやん!まこっちゃん元気?お嫁ちゃんとは仲良くやってる?”
凄い勢いで絡んで来た。現在進行形。
「せっかくお嫁ちゃんのドレス見れると思ったのに」
「…絶対見せねぇけど」
「ケチ」
中高では顔を知ってる程度だったのが、大学バスケでは度々出くわすようになって。
“お嫁ちゃん”ともいつの間にか仲良くなってるし。
「あーあ、私もハネムーン行きたいわぁ。付いてっていい?」
「ふざけんな」
「いやぁね、邪魔しないわよ。遠からず近からず眺めてるだけだから。ね?」
こういうこと言ってのける、自称“お嫁ちゃんのファン”でもある。
「ね?じゃ、ねぇんだよ。仕事任せたんだから大人しく出勤してろ」
今週末からの旅行は、7年越しの新婚旅行だ。
金銭的にも計画的にも漸く目処がついて、霧崎だったメンバーに後押しされての、念願のハネムーン。
誰にも、何にも、邪魔させない。
「…そうね。こっちは私に任せて、気兼ねなく楽しんでらっしゃい」
「……」
「なに身構えてるのよ。お嫁ちゃんとの土産話楽しみにしてるんだから、お幸せにね。帰りも気を付けて」
「…ふん」
…コイツには、話だけじゃなくて物の土産も用意しないとな。
俺が居ない間のフォローは全部任せて行く訳だし。
いや、垬無く終わらせてあるから何もないとは思うが。
一応。
「ねえ。やっばりお嫁ちゃんのドレス姿見せて頂戴。それで一週間がんばれるわ。どうせ写真スマホに入れてるでしょ?」
(やっばりお嫁ちゃん、まこっちゃんに向ける笑顔が一番ね…眩しいわぁ)
*0日目*
金曜の深夜。成田空港発の国際便を待っている。
『長崎に行った時も夜行便だったね』
「昼間の時間を長くしたいから、どうしてもな」
俺と雨月は荷物を預け終わって、搭乗ゲートが開くのを待っていた。
大きなガラス張りの向こうは、暗闇に飛行機の明かりと誘導灯が瞬くだけで。民家のような暖かさのある明かりはない。
『…、夜中のお出かけってドキドキしない?』
「子供か」
『だって。なんかさ、逃避行みたいでしょ?…これから真君と駆け落ちするの…ふふ、』
暗闇と静かなホールに、彼女の小さな吐息が溶けていく。
「馬鹿。行ってもないのに、帰りたくなくなるだろ」
ハネムーンは、これからなんだから。