短編①
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《一番星と狐枝》∶花宮
花宮×花屋のお姉さん@花屋
一番星が輝く頃、家路を急いでいた。
理由は特にない。
嘘。
家に着く為に急いでいるのではなく。
『こんばんは』
家の近くにある花屋の閉店時間に合わせるため。
「こんばんは」
それが、部活終わりに急いで帰るとちょうど重なった。
花を買うために急いだんじゃない。
目当ては、店仕舞いをする彼女。
「珍しい木ですね」
店先のバケツを片付ける彼女へ声をかける。
ご近所さん、店員と客。
それ以外の接点を持たない俺だから。
折角急いでも、自ら話しかけないと「こんばんは」で終わってしまう。
『フォックスフェイスっていうの。木の実が狐の顔みたいでしょ?』
「ああ、確かに」
さして興味もない、黄色い実のついた枝を話題にだせば。
彼女は一枝手にして。
もう片手を、指を合わせて狐の形にしてみせる。
「一枝でも売って貰えますか?」
別にほしくない。
飾るところもないし。
けど、ここで終わるのも寂しい。
『レジ開けるの面倒だし、あげる』
リボンをくるくると巻いて、『はい』と差し出される狐顔の植物。
「…ありがとうございます」
『内緒だよ?』
コンコン、と狐の顔を指で作ったまま。
彼女は空いた手で、シーっと人差し指を立てる。
「…ええ、秘密です」
その仕種が妙に、惹くものがあって。
俺も同じように片手で狐を指先で作ると。
その狐の口先を、彼女の狐の口先へ寄せた。
―いちばんぼし―
かの星だけが、秘密を知っている
花宮×花屋のお姉さん@花屋
一番星が輝く頃、家路を急いでいた。
理由は特にない。
嘘。
家に着く為に急いでいるのではなく。
『こんばんは』
家の近くにある花屋の閉店時間に合わせるため。
「こんばんは」
それが、部活終わりに急いで帰るとちょうど重なった。
花を買うために急いだんじゃない。
目当ては、店仕舞いをする彼女。
「珍しい木ですね」
店先のバケツを片付ける彼女へ声をかける。
ご近所さん、店員と客。
それ以外の接点を持たない俺だから。
折角急いでも、自ら話しかけないと「こんばんは」で終わってしまう。
『フォックスフェイスっていうの。木の実が狐の顔みたいでしょ?』
「ああ、確かに」
さして興味もない、黄色い実のついた枝を話題にだせば。
彼女は一枝手にして。
もう片手を、指を合わせて狐の形にしてみせる。
「一枝でも売って貰えますか?」
別にほしくない。
飾るところもないし。
けど、ここで終わるのも寂しい。
『レジ開けるの面倒だし、あげる』
リボンをくるくると巻いて、『はい』と差し出される狐顔の植物。
「…ありがとうございます」
『内緒だよ?』
コンコン、と狐の顔を指で作ったまま。
彼女は空いた手で、シーっと人差し指を立てる。
「…ええ、秘密です」
その仕種が妙に、惹くものがあって。
俺も同じように片手で狐を指先で作ると。
その狐の口先を、彼女の狐の口先へ寄せた。
―いちばんぼし―
かの星だけが、秘密を知っている