短編①
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《雨空》:花宮×同級生@通学路
※2020拍手御礼
………花宮視点………
雨空の下で、ソイツは傘を片手に佇んでいた。
『見てみて、カタツムリ』
ただただ突っ立っていた訳ではないようだ。
子供みたいに指を指して。
ブロック塀の上を這う蝸牛を見ていたらしい。
「久しぶりに見たな」
目だか角だかわからない触覚を伸ばし、足とも鰭ともつかない部位を動かして牛歩する生き物に目を遣る。
『ちっちゃい時はよく見たのにね』
そう笑う彼女に、適当に頷いた。
「そうだな」
よく見なくなったのは、確かに子供じゃなくなったからだ。
雨の日に蝸牛や蛙を探したり、紫陽花の色を不思議に思ったり。
そういう事よりも興味を引くものを知っていったから。
『カタツムリも、塩かけたら縮むのかな?』
けれど、彼女の心には。
まだ子供の部分が生きている。
「縮むだろうな」
少しばかりえげつない発想と。
くだらないことへの探求心。
『あ、カエルもいる』
それから興味の移り変わりの早さ。
視線をブロック塀から足元のアスファルトへ向けて、しゃがもうとする彼女の腕をひいた。
「遅刻するぞ」
始業時間と時計を見比べて逆算する。
そんなに悠長な時間はない。
けれど
『サボろうよ。雨なんだもん』
彼女は悪戯に笑った。
彼女の心に残る子供の部分は。
必ずしもイイコではない。
「…そうだな」
それは、俺も同じ。
心の中に悪童を飼っている。
『いいの?優等生なのに』
尚も笑う彼女に。
俺も同じように笑い返す。
「生憎イイコちゃんは嫌いな質なんで」
それを確認した彼女は、嬉しそうに一層笑った。
―雨空―
傘を片手に何処へ行こうか
※2020拍手御礼
………花宮視点………
雨空の下で、ソイツは傘を片手に佇んでいた。
『見てみて、カタツムリ』
ただただ突っ立っていた訳ではないようだ。
子供みたいに指を指して。
ブロック塀の上を這う蝸牛を見ていたらしい。
「久しぶりに見たな」
目だか角だかわからない触覚を伸ばし、足とも鰭ともつかない部位を動かして牛歩する生き物に目を遣る。
『ちっちゃい時はよく見たのにね』
そう笑う彼女に、適当に頷いた。
「そうだな」
よく見なくなったのは、確かに子供じゃなくなったからだ。
雨の日に蝸牛や蛙を探したり、紫陽花の色を不思議に思ったり。
そういう事よりも興味を引くものを知っていったから。
『カタツムリも、塩かけたら縮むのかな?』
けれど、彼女の心には。
まだ子供の部分が生きている。
「縮むだろうな」
少しばかりえげつない発想と。
くだらないことへの探求心。
『あ、カエルもいる』
それから興味の移り変わりの早さ。
視線をブロック塀から足元のアスファルトへ向けて、しゃがもうとする彼女の腕をひいた。
「遅刻するぞ」
始業時間と時計を見比べて逆算する。
そんなに悠長な時間はない。
けれど
『サボろうよ。雨なんだもん』
彼女は悪戯に笑った。
彼女の心に残る子供の部分は。
必ずしもイイコではない。
「…そうだな」
それは、俺も同じ。
心の中に悪童を飼っている。
『いいの?優等生なのに』
尚も笑う彼女に。
俺も同じように笑い返す。
「生憎イイコちゃんは嫌いな質なんで」
それを確認した彼女は、嬉しそうに一層笑った。
―雨空―
傘を片手に何処へ行こうか