短編①
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《フュウチャリア》∶花宮
※生理ネタ
※ちょっと性的
お腹が痛い。
腰も痛いし頭も痛い。
月に1回来る血祭りが、本当にどうしようもなく辛かった。
「……大丈夫か?」
そう、あの、─人の不幸は蜜の味─とか言ってせせら笑いを浮かべる花宮が、心配してくれるぐらいには。
彼は、部室の床へ座り込んだ私に、自動販売機で買ってきた温かいお茶を差し出す。
『ありがと…これで薬飲んで…効くまで30分耐えれば大丈夫』
「お前は本当に、毎月死にそうになってるよな」
確かにそうかもしれない。
2ヶ月に1度は痛すぎて当校出来ないし、そうでない月も、体育は見学で部活も欠席。
元々頭痛持ちで鎮痛剤を常用しているためか、あんまり薬が効かないのも厄介。しかも、安くない鎮痛剤をしょっちゅう買わなければいけなくて常に金欠だった。
おかげで今月は鎮痛剤のストックが少なく…というか、手元に無かった。
『部室のロッカー、薬の予備いれておいて良かった…』
「それで水忘れたんじゃ世話ないがな」
『本当にありがと…』
彼に電話して買ってきて貰ったお茶で、床に蹲ったまま薬を流し込む。
本来は冷たい床じゃなくて、せめてベンチに座りたかったけれど。
ベンチの上は来週の練習試合の為に、スポドリやビブス、書類やボールなんかが積まれている。
…それを退かす元気は無かった。
「……」
『…あ、帰って大丈夫だよ。鍵、ちゃんと閉めるから…』
因みに今は放課後で、部室に私と花宮しかいない理由は、テスト中の部活休止期間だから。
昨日からテスト期間中で、明日がテスト最終日。
皆は家に帰ってテストの一夜漬けをしているだろう。
「………。床、冷たくねぇの」
『冷たいよ。膝掛け敷いて座るくらいには』
けれど。
花宮は私の質問には答えず、側にしゃがみこんだ。
そして、自分はロッカーに寄りかかると、私を脚の間に置いて引き寄せる。
「ほら、ブレザー貸してやる」
私は、彼の胸に背中を預けて寄りかかった。
膝掛けを犠牲にしたために晒された脚には、花宮が着ていたブレザーが掛けられる。
………一緒にいてくれるらしい。
『花宮が…寒いでしょ』
「30分くらいセーターだけでも大丈夫だ」
それから、お腹に腕を回して抱き締められた。
包むように、前屈みになってくれる。
…あったかい。
『…ありがと………ほんと、いたくて…さむくて…ありがと………』
「ああ」
お腹に、冷たい水銀が詰まっているかのような感覚がして。この時だけは、泣き出したくなる。
形振り構わず痛い痛いと喚いて、ひたすら何もせず蹲っていたい。
そんな時期だ、私にとって。
「…擦ってやろうか?」
『へ…?』
「人肌。温かいぞ」
そんな、不安定な精神状態に、彼はスルスルと入り込んできて。
ワイシャツの裾をスカートから引き出したかと思うと。作った隙間から、彼の手が侵入してきた。
『…ぁ』
下腹部に添えられる手が、温かくて心地よい。
「悪くなさそうだな」
『…ん、動かさないで…そのまま、あったかいの、きもちいい』
背中は、彼がいるから温かいし。
お腹も、彼の手が温めてくれる。
足元も、彼のブレザーが守ってくれている。
痛みはまだ、緩和されただけで、確かにここにあるけれど。
それでも心のざわめきや苛立ちの波が静まっていく。
『花宮、せーりの時、優しいよね』
「そうか?」
『うん。部活休む時も学校休んだ時も、アレだって解んないように誤魔化してくれるし…』
「知られたくないしな」
『…花宮が?私が、ってこと?』
「俺が、だな」
お腹を抱き締める手を、彼は少し強めて。
ぐっと、一層私を抱き寄せる。
「…お前が女だって、教えるみたいで嫌なんだ」
『え、みんな知ってるよ』
「バカ。そうじゃねえ」
そして、下腹部を優しく擦った。
「…子供を孕めるカラダなんだ、って言ってるみたいだろ」
『…っ!!』
一気に、その手が皮膚を、肉を通して何処に触れようとしているのかを、理解した。
「ああ、あと、優しい理由も教えてやろうか。別に優しくしようと思ってるわけじゃないんだが…」
─その痛みが、俺の子を孕むのかと思うと─
「…なあ?」
彼はそう言って、顔を歪めて笑った。
(その笑みに宿るのは)
(優越感と背徳感と)
(愛しさも、宿っているように見えた)
fin
(彼の為だと思えば)
(いつか、この痛みも愛せるだろうか)
※生理ネタ
※ちょっと性的
お腹が痛い。
腰も痛いし頭も痛い。
月に1回来る血祭りが、本当にどうしようもなく辛かった。
「……大丈夫か?」
そう、あの、─人の不幸は蜜の味─とか言ってせせら笑いを浮かべる花宮が、心配してくれるぐらいには。
彼は、部室の床へ座り込んだ私に、自動販売機で買ってきた温かいお茶を差し出す。
『ありがと…これで薬飲んで…効くまで30分耐えれば大丈夫』
「お前は本当に、毎月死にそうになってるよな」
確かにそうかもしれない。
2ヶ月に1度は痛すぎて当校出来ないし、そうでない月も、体育は見学で部活も欠席。
元々頭痛持ちで鎮痛剤を常用しているためか、あんまり薬が効かないのも厄介。しかも、安くない鎮痛剤をしょっちゅう買わなければいけなくて常に金欠だった。
おかげで今月は鎮痛剤のストックが少なく…というか、手元に無かった。
『部室のロッカー、薬の予備いれておいて良かった…』
「それで水忘れたんじゃ世話ないがな」
『本当にありがと…』
彼に電話して買ってきて貰ったお茶で、床に蹲ったまま薬を流し込む。
本来は冷たい床じゃなくて、せめてベンチに座りたかったけれど。
ベンチの上は来週の練習試合の為に、スポドリやビブス、書類やボールなんかが積まれている。
…それを退かす元気は無かった。
「……」
『…あ、帰って大丈夫だよ。鍵、ちゃんと閉めるから…』
因みに今は放課後で、部室に私と花宮しかいない理由は、テスト中の部活休止期間だから。
昨日からテスト期間中で、明日がテスト最終日。
皆は家に帰ってテストの一夜漬けをしているだろう。
「………。床、冷たくねぇの」
『冷たいよ。膝掛け敷いて座るくらいには』
けれど。
花宮は私の質問には答えず、側にしゃがみこんだ。
そして、自分はロッカーに寄りかかると、私を脚の間に置いて引き寄せる。
「ほら、ブレザー貸してやる」
私は、彼の胸に背中を預けて寄りかかった。
膝掛けを犠牲にしたために晒された脚には、花宮が着ていたブレザーが掛けられる。
………一緒にいてくれるらしい。
『花宮が…寒いでしょ』
「30分くらいセーターだけでも大丈夫だ」
それから、お腹に腕を回して抱き締められた。
包むように、前屈みになってくれる。
…あったかい。
『…ありがと………ほんと、いたくて…さむくて…ありがと………』
「ああ」
お腹に、冷たい水銀が詰まっているかのような感覚がして。この時だけは、泣き出したくなる。
形振り構わず痛い痛いと喚いて、ひたすら何もせず蹲っていたい。
そんな時期だ、私にとって。
「…擦ってやろうか?」
『へ…?』
「人肌。温かいぞ」
そんな、不安定な精神状態に、彼はスルスルと入り込んできて。
ワイシャツの裾をスカートから引き出したかと思うと。作った隙間から、彼の手が侵入してきた。
『…ぁ』
下腹部に添えられる手が、温かくて心地よい。
「悪くなさそうだな」
『…ん、動かさないで…そのまま、あったかいの、きもちいい』
背中は、彼がいるから温かいし。
お腹も、彼の手が温めてくれる。
足元も、彼のブレザーが守ってくれている。
痛みはまだ、緩和されただけで、確かにここにあるけれど。
それでも心のざわめきや苛立ちの波が静まっていく。
『花宮、せーりの時、優しいよね』
「そうか?」
『うん。部活休む時も学校休んだ時も、アレだって解んないように誤魔化してくれるし…』
「知られたくないしな」
『…花宮が?私が、ってこと?』
「俺が、だな」
お腹を抱き締める手を、彼は少し強めて。
ぐっと、一層私を抱き寄せる。
「…お前が女だって、教えるみたいで嫌なんだ」
『え、みんな知ってるよ』
「バカ。そうじゃねえ」
そして、下腹部を優しく擦った。
「…子供を孕めるカラダなんだ、って言ってるみたいだろ」
『…っ!!』
一気に、その手が皮膚を、肉を通して何処に触れようとしているのかを、理解した。
「ああ、あと、優しい理由も教えてやろうか。別に優しくしようと思ってるわけじゃないんだが…」
─その痛みが、俺の子を孕むのかと思うと─
「…なあ?」
彼はそう言って、顔を歪めて笑った。
(その笑みに宿るのは)
(優越感と背徳感と)
(愛しさも、宿っているように見えた)
fin
(彼の為だと思えば)
(いつか、この痛みも愛せるだろうか)