短編①
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《その産声に祝福を》:花宮
※2019花宮生誕祭
『お誕生日おめでとう』
そう告げたら、監督は随分嫌そうな顔をした。
「何がめでてぇんだよ、適当なこと言うな」
『相変わらずひねくれてるね、うちの監督サマ』
我らが霧崎第一の監督サマ、もとい花宮真は。
本日1月12日が誕生日だった。
クラスメイトなんかからも、おめでとうと声をかけられていて。その度愛想よくありがとう、なんて笑っていたくせに。
「当然だろ。俺が歳を重ねたことのどこにありがたい要素あるんだよ」
一軍メンバー及びマネージャーの私への態度はこんなもんだ。
「ほらー、だから言わない方がいいって言ったじゃん」
原君の非難はごもっとも。
他のメンバーも、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに帰り支度をする。
けれど。
「花宮、」
「なんだ?……おい」
「はい」
「あげる」
「これも」
それぞれが花宮君の座るベンチ横に何かしら置いていく。
「どーせそんなこと言うと思ったから誕生日会にはしなかったけどさ」
「一つ大人になったと思って、受けとれよ」
「ちゃんと持って帰れよな」
「みんなそれなりに悩んで選んだからね」
おめでとう、と。誰も口にしない。
が、紛れもない誕生日プレゼントだった。
「……馬鹿じゃねぇの」
「はい、花宮の馬鹿頂きました」
「ノルマ達成だな」
ワイワイ言いながら部室から出ていく彼らを見送って。
私と花宮君はふたりっきり。
「…………」
『私はね、嬉しいよ』
「は?」
『花宮君が生まれて、私に会ってくれたこと。今日、一緒に居れたこと』
「………」
『知ってるよ。こういうイイコチャンな台詞、嫌いなの。でも、何がめでたくて、何がありがたいのかって聞かれたらさ』
ベンチの横に立って、花宮君を少し見下ろす。
『花宮君に出逢えた私、おめでとう。花宮君が今日まで生きててくれて、ありがとう。そう思う』
彼は一つ瞬きをして。
口元を歪めて嗤いだした。
「俺じゃなくて、お前が目出度くて有難いのかよ」
『…そうだね』
「馬鹿なりに頑張った演説だったな」
『でも、ほら、結論変わらないから』
確かにそう。
花宮君の誕生日を一番喜んでるのは、私。
彼の正面に移動して、訝しげな彼を見つめる。
『好きだよ、花宮君』
「…は……?」
『花宮君にとってなんでもない日でも、私にとっては大切な日なの。誰がなんて言ったとしても、私は…君が生まれたこの日が愛しい』
「………」
『ね。何も言わなくていいから、受け取って。それから、祝われて』
差し出す袋の中身は、彼が好きなシリーズの文房具と図書カード。
そして、手作りのお守り。
『お誕生日、おめでとう。今日も、明日も宜しくね』
彼の胸にそれを押し付けて。
私は部室を駆け出した。
「…っ、バッカじゃねぇの!」
だから。
真っ赤になって俯く花宮君がそう叫んだのも知らないし。
お守りが鞄の内ポケットに仕舞われたのも知らない。
Fin.
※2019花宮生誕祭
『お誕生日おめでとう』
そう告げたら、監督は随分嫌そうな顔をした。
「何がめでてぇんだよ、適当なこと言うな」
『相変わらずひねくれてるね、うちの監督サマ』
我らが霧崎第一の監督サマ、もとい花宮真は。
本日1月12日が誕生日だった。
クラスメイトなんかからも、おめでとうと声をかけられていて。その度愛想よくありがとう、なんて笑っていたくせに。
「当然だろ。俺が歳を重ねたことのどこにありがたい要素あるんだよ」
一軍メンバー及びマネージャーの私への態度はこんなもんだ。
「ほらー、だから言わない方がいいって言ったじゃん」
原君の非難はごもっとも。
他のメンバーも、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに帰り支度をする。
けれど。
「花宮、」
「なんだ?……おい」
「はい」
「あげる」
「これも」
それぞれが花宮君の座るベンチ横に何かしら置いていく。
「どーせそんなこと言うと思ったから誕生日会にはしなかったけどさ」
「一つ大人になったと思って、受けとれよ」
「ちゃんと持って帰れよな」
「みんなそれなりに悩んで選んだからね」
おめでとう、と。誰も口にしない。
が、紛れもない誕生日プレゼントだった。
「……馬鹿じゃねぇの」
「はい、花宮の馬鹿頂きました」
「ノルマ達成だな」
ワイワイ言いながら部室から出ていく彼らを見送って。
私と花宮君はふたりっきり。
「…………」
『私はね、嬉しいよ』
「は?」
『花宮君が生まれて、私に会ってくれたこと。今日、一緒に居れたこと』
「………」
『知ってるよ。こういうイイコチャンな台詞、嫌いなの。でも、何がめでたくて、何がありがたいのかって聞かれたらさ』
ベンチの横に立って、花宮君を少し見下ろす。
『花宮君に出逢えた私、おめでとう。花宮君が今日まで生きててくれて、ありがとう。そう思う』
彼は一つ瞬きをして。
口元を歪めて嗤いだした。
「俺じゃなくて、お前が目出度くて有難いのかよ」
『…そうだね』
「馬鹿なりに頑張った演説だったな」
『でも、ほら、結論変わらないから』
確かにそう。
花宮君の誕生日を一番喜んでるのは、私。
彼の正面に移動して、訝しげな彼を見つめる。
『好きだよ、花宮君』
「…は……?」
『花宮君にとってなんでもない日でも、私にとっては大切な日なの。誰がなんて言ったとしても、私は…君が生まれたこの日が愛しい』
「………」
『ね。何も言わなくていいから、受け取って。それから、祝われて』
差し出す袋の中身は、彼が好きなシリーズの文房具と図書カード。
そして、手作りのお守り。
『お誕生日、おめでとう。今日も、明日も宜しくね』
彼の胸にそれを押し付けて。
私は部室を駆け出した。
「…っ、バッカじゃねぇの!」
だから。
真っ赤になって俯く花宮君がそう叫んだのも知らないし。
お守りが鞄の内ポケットに仕舞われたのも知らない。
Fin.