短編①
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《シトラス・ハニー》:山崎
※2018山崎生誕祭
『ひー君、おはよ』
「はよ」
『今日ねぇ、占い1位だったの』
「良かったな」
『うん。でもね、ひー君が12位だったからラッキーアイテム持ってきた』
朝練が終わって教室に入ってきた恋人に駆け寄る。
目付き悪いけど、笑顔が素敵な私の彼、山崎弘。通称ひー君。
『はい、シュシュ』
「シュシュ?」
『厳密にはね、運勢が良い人が普段使ってるもの。運を分けてあげられるんだって』
その彼に、いつも使ってるオレンジ色のシュシュを手渡す。
私の髪には、あんまり使ってない黄色のシュシュ。
「分ける、だとお前の運が下がるだろ」
『いーの。ひー君が笑ってれば私は幸せになれるから。ね?』
「はは、サンキュ」
ブレザーのポケットにそっとしまわれるシュシュ。
おは朝の占いは信じる人には当たるで有名だから。ひー君の運勢がちょっとでも上がりますように!
「おは朝ってスゲェな」
『うん?』
今日の私とひー君、運勢は五分五分。
「数学で問題当たったけど解けてるやつだったし、購買の狙ってたパン取れなかったけどオバチャンが牛乳サービスしてくれたし、掃除当番押し付けられたけど雨月と同じ場所だったし。アンラッキーが全部補正されてる、お前のシュシュ凄いな」
『そうなの。あの数学の問題解けてなくて困ってたら順番逸れてひー君当てられてるし、水筒忘れてお茶買おうとしたらひー君が牛乳くれて、掃除当番も班の人にはサボられたけどひー君が手伝いにきてくれた』
「俺のラッキーは全部雨月に還元されてるな」
『不思議だね。今だってさ』
時は放課後、天気は雨。
体育館の補修工事で部活がなくなったひー君と、折り畳み傘を忘れた私は。
椅子を窓際に並べて、教室から外を眺めていた。
『傘を忘れたから、ひー君と雨宿りできる。でも、晴れてたら久しぶりに二人で早く帰れたのに』
「いや、晴れてたら俺は外周だったから、雨で良かったんだよ」
『そっか。じゃあ、今日はツイてるね』
「だな」
ニカッ、と笑うひー君に胸がキュンとする。
『ひー君の笑顔って、オレンジみたい』
「オレンジ?みかん?」
『うん。明るくて、フレッシュで、キラキラしてて、甘酸っぱいの。ドキドキする』
髪の毛もオレンジだな。なんて思いながら、丸く見開かれた瞳を覗き込む。
「ははっ、じゃあ、雨月は蜂蜜だな」
『はちみつ?』
「そ。甘くて甘くて可愛いの」
けど、イタズラに目を細めて。
私の好きな笑顔でそんなこという。
好き。大好き。
『蜂蜜とオレンジ、相性いいかな?』
「蜂蜜レモンが旨いんだから、当然相性いいだろ」
『そうだね』
その癖、ちょっと恥ずかしそうに頬を染めて、私の頭を撫でた。
手のひらが温かくて、ふわふした気持ちになる。
「…ほんと、蜂蜜みたいに溶けた顔してるけど」
『とけてる?』
「おう。ふにゃって顔だぜ?」
頭を撫でる手は、そのまま頬を撫でて。
猫をあやすみたいに両手でスリスリと遊ばれた。
『んー…ひー君と居ると、ポカポカするの。あったかくて、トロトロになっちゃう』
「…そのワードチョイスは狡いな」
『?』
「何でもねーよ。そうだな、蜂蜜だもんな」
蜂蜜かぁ。
ここの空気が甘いのは、私がとけてるからかな。ひー君のオレンジの甘さかな。
『ひー君…』
頭を、頬を撫でられるのが気持ちよくて、つい目を閉じてしまう。
このまま眠れそう。
ああでも、ひー君がいるのに寝ちゃうなんて勿体ない。
けれど、ひー君とお昼寝とか凄く幸せ。
「…」
『…』
そんなことを考えていたら、急に唇に温もりが触れる。
そして、それが離れた瞬間、唇に触れた呼気でキスだと理解した。
思うことは沢山ある。
初めてのキスだった。
本当にキスかな?
目を開けて確かめたい。
目を開けるのが恥ずかしい。
ビックリして思わず持ち上げた腕は、思考に塗りつぶされて動きを止めた。
「…雨月」
けれど、か細く紡がれた私の名前に。
目を開ける決心をして。
そこにあった、恥ずかしそうで、困ったような嬉しいような、そんなひー君の顔をみて。
腕を彼の首に回す結論をだした。
『ひー君、』
「…」
『私、甘かった?』
私は、温かくて、お日様みたいに優しい味がしたよ。
なんて、顔を寄せていく。
私のファーストキス、美味しく食べてくれただろうか。
「…ああ。ものすごく」
再び重なる唇は、爽やかなオレンジと
どろどろの蜂蜜みたいだった。
シトラス・ハニー
2回目以降は数えきれなくて、本当に溶けて混ざってしまいそうだった。
ザキ、誕生日おめでとう
※2018山崎生誕祭
『ひー君、おはよ』
「はよ」
『今日ねぇ、占い1位だったの』
「良かったな」
『うん。でもね、ひー君が12位だったからラッキーアイテム持ってきた』
朝練が終わって教室に入ってきた恋人に駆け寄る。
目付き悪いけど、笑顔が素敵な私の彼、山崎弘。通称ひー君。
『はい、シュシュ』
「シュシュ?」
『厳密にはね、運勢が良い人が普段使ってるもの。運を分けてあげられるんだって』
その彼に、いつも使ってるオレンジ色のシュシュを手渡す。
私の髪には、あんまり使ってない黄色のシュシュ。
「分ける、だとお前の運が下がるだろ」
『いーの。ひー君が笑ってれば私は幸せになれるから。ね?』
「はは、サンキュ」
ブレザーのポケットにそっとしまわれるシュシュ。
おは朝の占いは信じる人には当たるで有名だから。ひー君の運勢がちょっとでも上がりますように!
「おは朝ってスゲェな」
『うん?』
今日の私とひー君、運勢は五分五分。
「数学で問題当たったけど解けてるやつだったし、購買の狙ってたパン取れなかったけどオバチャンが牛乳サービスしてくれたし、掃除当番押し付けられたけど雨月と同じ場所だったし。アンラッキーが全部補正されてる、お前のシュシュ凄いな」
『そうなの。あの数学の問題解けてなくて困ってたら順番逸れてひー君当てられてるし、水筒忘れてお茶買おうとしたらひー君が牛乳くれて、掃除当番も班の人にはサボられたけどひー君が手伝いにきてくれた』
「俺のラッキーは全部雨月に還元されてるな」
『不思議だね。今だってさ』
時は放課後、天気は雨。
体育館の補修工事で部活がなくなったひー君と、折り畳み傘を忘れた私は。
椅子を窓際に並べて、教室から外を眺めていた。
『傘を忘れたから、ひー君と雨宿りできる。でも、晴れてたら久しぶりに二人で早く帰れたのに』
「いや、晴れてたら俺は外周だったから、雨で良かったんだよ」
『そっか。じゃあ、今日はツイてるね』
「だな」
ニカッ、と笑うひー君に胸がキュンとする。
『ひー君の笑顔って、オレンジみたい』
「オレンジ?みかん?」
『うん。明るくて、フレッシュで、キラキラしてて、甘酸っぱいの。ドキドキする』
髪の毛もオレンジだな。なんて思いながら、丸く見開かれた瞳を覗き込む。
「ははっ、じゃあ、雨月は蜂蜜だな」
『はちみつ?』
「そ。甘くて甘くて可愛いの」
けど、イタズラに目を細めて。
私の好きな笑顔でそんなこという。
好き。大好き。
『蜂蜜とオレンジ、相性いいかな?』
「蜂蜜レモンが旨いんだから、当然相性いいだろ」
『そうだね』
その癖、ちょっと恥ずかしそうに頬を染めて、私の頭を撫でた。
手のひらが温かくて、ふわふした気持ちになる。
「…ほんと、蜂蜜みたいに溶けた顔してるけど」
『とけてる?』
「おう。ふにゃって顔だぜ?」
頭を撫でる手は、そのまま頬を撫でて。
猫をあやすみたいに両手でスリスリと遊ばれた。
『んー…ひー君と居ると、ポカポカするの。あったかくて、トロトロになっちゃう』
「…そのワードチョイスは狡いな」
『?』
「何でもねーよ。そうだな、蜂蜜だもんな」
蜂蜜かぁ。
ここの空気が甘いのは、私がとけてるからかな。ひー君のオレンジの甘さかな。
『ひー君…』
頭を、頬を撫でられるのが気持ちよくて、つい目を閉じてしまう。
このまま眠れそう。
ああでも、ひー君がいるのに寝ちゃうなんて勿体ない。
けれど、ひー君とお昼寝とか凄く幸せ。
「…」
『…』
そんなことを考えていたら、急に唇に温もりが触れる。
そして、それが離れた瞬間、唇に触れた呼気でキスだと理解した。
思うことは沢山ある。
初めてのキスだった。
本当にキスかな?
目を開けて確かめたい。
目を開けるのが恥ずかしい。
ビックリして思わず持ち上げた腕は、思考に塗りつぶされて動きを止めた。
「…雨月」
けれど、か細く紡がれた私の名前に。
目を開ける決心をして。
そこにあった、恥ずかしそうで、困ったような嬉しいような、そんなひー君の顔をみて。
腕を彼の首に回す結論をだした。
『ひー君、』
「…」
『私、甘かった?』
私は、温かくて、お日様みたいに優しい味がしたよ。
なんて、顔を寄せていく。
私のファーストキス、美味しく食べてくれただろうか。
「…ああ。ものすごく」
再び重なる唇は、爽やかなオレンジと
どろどろの蜂蜜みたいだった。
シトラス・ハニー
2回目以降は数えきれなくて、本当に溶けて混ざってしまいそうだった。
ザキ、誕生日おめでとう