短編①
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《 Lively birthday》∶霧崎逆ハー
※ヒロインの誕生日、個別エンドあり
「おたおめー!」
部室に入るや、クラッカーの音と緩い歓声が上がった。
『うわぁ、ありがとう』
クラッカーを構える山崎と、その音で起きたような瀬戸。何やら飲み物を用意してる古橋に、我関せずと何かを書いてる花宮。
一番手前、私の手を引く原はとても楽しそう。
「誕プレなんだけどね、皆で買ったケーキでいい?」
『え、十分だよ。ホールケーキ買ってくれたの?』
「もち。誕生日はやっぱ丸いケーキじゃなきゃ」
部室にある小さな折り畳みテーブルを開いてセットされるケーキと蝋燭、隣には紙コップに注がれたオレンジジュース。
結構…というかかなり嬉しかった。
霧崎と言えば、人の不幸は蜜の味でお馴染みのメンバーだ。誕生日なんてよく覚えていたものだと思う。
『あ!このケーキ屋さん高いのに……蝋燭まである』
「残念ながら火は付けられないがな」
「どっかが喫煙問題やってから煙探知機ついてんだよね」
『いいよ、このままで。凄く嬉しい!ほら、皆で食べよ』
その提案に、山崎が曖昧に笑う。
「誕プレっつったろ。一人で全部食べろよ」
『え』
「そのつもりでナイフも皿も用意してないしね。フォークだけ」
それに続いて、原も古橋も曖昧な顔をする。
『……じゃあ、食べさせてあげる』
「ん?」
『私にプレゼントなんでしょ?私がどうしようと勝手じゃない。あーん、してあげる』
私なりの抵抗だった。
誕プレとはいえ、皆で食べたい。
皆と、ケーキを共有したい。
「それは嬉しいが…一口目はお前からだ。何処から食べたい?」
躊躇なく乗ったのは古橋だった。
フォークを片手に、私をベンチに座らせたと思えば、隣に座りこむ。
『んー、イチゴ』
「苺な。ほら」
それから、やはり躊躇なく苺を私の口に差し出すから。遠慮なくそれをパクっと食べた。
『おいひぃ』
「そうか。お前は美味しそうに食べるし、食べてる時は本当に可愛いから、ついあげたくなってしまう」
『それもプレゼント?』
「それ、とは?」
『んーん。何でもない。古橋のパン、いつも美味しいよ。はい、お返し』
古橋からフォークを受け取って、彼の口にも苺を放り込む。
その光景を見てた原が、何かに気付いたようにフォークを手に取った。
「じゃあ、次俺の番」
『次ねー、クリーム』
「はい、あーん」
『あーん』
クリームをいっぱい掬って口に運ばれる。
「一緒にゲーセン行くの楽しいよ。ゲームくっそ下手なのに一生懸命で超可愛い」
『ありがとう?原はめっちゃ上手いよね。今度コツ教えてよ』
それから、今度は原のフォークを取って、彼の口にもクリームを詰める。
「次俺かな」
『おはよう、瀬戸。次はスポンジ食べたい』
「うん、わかってた」
続いて瀬戸、丁寧にスポンジを押し切って食べさせる。
「コーヒー飲んでるとき可愛いよ。苦手なら無理しなくていいのに、同じもの飲みたい、とかいう健気なとこ」
『…それ知ってて苦いの飲むんだもん、瀬戸は意地悪。今度は私にも飲めそうなの教えて』
流れでフォークを渡された山崎は真っ赤になって固まった。
ーーー古橋は天然でやらかしたが、後の二人を見ればわかる。これは、恥ずかしいやつだ。
まず、彼女が「それもプレゼント?」と言ったのは「可愛い」という台詞。だから、各々思い出に加えて「可愛い」と告げるのだ。
何より、あのフォークが間接キスだというのに気付いてしまえば、ガチガチに固まってしまうわけで
「ザキ、ファイト」
原がニヤニヤと笑うのも仕方ないことだーーー
『次またイチゴがいいな』
「おう…」
苺を差したザキは真っ赤になってガチガチだった。
そんなに緊張するのかな、あーんって。
「……マネージャー、いつもありがとな。その…か、かわい…ぃ…ょ」
『どういたしましてー。ザキもカッコいいよー』
やっと出てきた台詞は凄くゴニョゴニョしてたけど、精一杯感が嬉しくて。
口に苺を突っ込みながら私はニコニコと笑った。
残る花宮は。
書き物の手を止めてめんどくさそうにベンチに座った。
それから私の言葉を聞く前にチョコプレートを摘まみあげて、口に押し当てる。
「ん」
『あー』
おとなしくチョコを囓る私を無言で眺めて、花宮は暫し考えた後。
「…おめでと」
『ありがと』
結局、それしか言わなかった。
残ったチョコプレートは花宮の口に押し込んで、私はご満悦。
『みんな、ありがとう。大好きだよ』
(((((うちのマネージャー、マジ天使!)))))
それぞれのafter※キャラ別独立ストーリー
~原~
「ちょ、本当マジ下手」
『うるさい!リズム感無いのはわかってるよ!』
帰りにゲーセンに寄った私と原は、音楽ゲームの前で騒いでいた。
「拗ねないでよ、ほら、あのぬいぐるみ取ってあげるから」
『UFOキャッチャーも得意なの?』
「まーねー」
が、一向にクリア出来ない私は不貞腐れて。原は機嫌を取る為、私の好きなキャラクターのぬいぐるみを狙ってゲーム機に近づく。
「一回目で近づけてー…二回目でー…ほい、プレゼント」
『え、すご!いいの?』
「もち。改めて、誕生日おめでとう」
大きなヒヨコのぬいぐるみを手渡された私は。
『ありがとう!』
もう満面の笑みを浮かべるよりなかった。
~古橋~
「旨いか?」
帰りがけ、小腹が空いたと溢せば。
ケーキ食べたのに、とツッコミながら古橋はパンをくれた。
『うん。古橋の塩パンは美味しいよね』
「本当にそれ、好きだな」
小腹が空いたら摘まむ用…としてるだけあって、小さめに作られていて。且つ、塩とバターのシンプルな味付けが飽きなかった。
「…これ、全部やる」
『え、こんなに?』
「言ったろ。お前は食べてる時が一番可愛いんだ」
『…ありがとう』
「年の数だけあるぞ」
『……、節分じゃないんだから…』
~瀬戸~
帰り道でコーヒーショップへ寄った。
瀬戸がいつもの苦いコーヒーを頼んで、同じものを頼もうとする私を遮る。
「だから、苦くて嫌なんでしょ?」
『砂糖とミルク、いっぱい入れる』
「なら入ってる奴頼めば?エスプレッソと、カプチーノにキャラメルシロップ追加で」
さらりと注文した彼は、暫くして自分の琥珀色のコーヒーと、私に白くてふわふわしたコーヒーを持ってくる。
『カプチーノ?』
「うん、ミルクがいっぱい入ってて、キャラメルも足したから甘くて飲みやすいと思う」
『……ほんとだ、美味しい』
「良かった。あ、ベースのコーヒーは俺と同じエスプレッソだよ」
同じものを飲みたい私の気持ちを汲んだ上で、好みをわかってくれるとか、頭がいいってすごいよね。
~山崎~
『はい、スポドリとタオル』
「サンキュー。…あ、あのさ」
『ん?』
部活終わり、ザキは私を呼び止めて口籠る。
「………その、気の利いたこと言えなくて悪いな。けどっ、お前のマネージメントは、すげぇ頼りになっから。…いつもありがとな」
そして、真っ赤になりながら、そう笑った。
『どういたしまして。今度、ザキも一緒にどっか遊びに行こうね』
「おう!来年はちゃんと顔見て可愛いって言うからな」
『……期待してる』
天然で純粋な笑顔が眩しい。
~花宮~
『ねえ、監督サマは可愛いって言ってくれないの?』
「そんな言葉でいいのか?安い女だな」
体育館の施錠中、茶化したら茶化し返された。
『安い女ですよー、花宮の"可愛い"聞けたら最高にハッピーになれますよー』
だから、全力で馬鹿なふりをする。
花宮って人は、人の嫌がる事をするのが好きだ。だから、可愛いは絶対言ってくれないってわかってる。
ちょっと、じゃれたかっただけ。
なのに、彼は急に、真剣な目で私を見据えた。
「……君を、夏の日に例えようか。…いや、君の方がずっと美しく、穏やかだ」
まっすぐ、綺麗に微笑んだままの言葉はまるで"台詞"。
それでも、私は顔がジワジワ熱くなるのを感じて。せめて、何か返事をしようと口を開きかけたとき。
「ああ、可愛い…が、いいんだったな」
と遮られて。
「……二人きりでいつまでもいつまでも話していたい気がします。そして、kissしてもいいでしょう。嫌ならやめます。この頃俺は、お前がお菓子なら食べてしまいたい位可愛い気がします」
なんて。やっぱり優しく微笑んだまま"台詞"を紡ぐ。
「…で?ハッピーになれたのかよ」
『……ええもう十分に』
ワガママを言えば、"彼の言葉"が良かったけど。
薄く頬を染めてるのを見たら満足してしまった。
※君を夏の日に…→シェイクスピア
※二人きりでいつまでも…→芥川龍之介
End
※ヒロインの誕生日、個別エンドあり
「おたおめー!」
部室に入るや、クラッカーの音と緩い歓声が上がった。
『うわぁ、ありがとう』
クラッカーを構える山崎と、その音で起きたような瀬戸。何やら飲み物を用意してる古橋に、我関せずと何かを書いてる花宮。
一番手前、私の手を引く原はとても楽しそう。
「誕プレなんだけどね、皆で買ったケーキでいい?」
『え、十分だよ。ホールケーキ買ってくれたの?』
「もち。誕生日はやっぱ丸いケーキじゃなきゃ」
部室にある小さな折り畳みテーブルを開いてセットされるケーキと蝋燭、隣には紙コップに注がれたオレンジジュース。
結構…というかかなり嬉しかった。
霧崎と言えば、人の不幸は蜜の味でお馴染みのメンバーだ。誕生日なんてよく覚えていたものだと思う。
『あ!このケーキ屋さん高いのに……蝋燭まである』
「残念ながら火は付けられないがな」
「どっかが喫煙問題やってから煙探知機ついてんだよね」
『いいよ、このままで。凄く嬉しい!ほら、皆で食べよ』
その提案に、山崎が曖昧に笑う。
「誕プレっつったろ。一人で全部食べろよ」
『え』
「そのつもりでナイフも皿も用意してないしね。フォークだけ」
それに続いて、原も古橋も曖昧な顔をする。
『……じゃあ、食べさせてあげる』
「ん?」
『私にプレゼントなんでしょ?私がどうしようと勝手じゃない。あーん、してあげる』
私なりの抵抗だった。
誕プレとはいえ、皆で食べたい。
皆と、ケーキを共有したい。
「それは嬉しいが…一口目はお前からだ。何処から食べたい?」
躊躇なく乗ったのは古橋だった。
フォークを片手に、私をベンチに座らせたと思えば、隣に座りこむ。
『んー、イチゴ』
「苺な。ほら」
それから、やはり躊躇なく苺を私の口に差し出すから。遠慮なくそれをパクっと食べた。
『おいひぃ』
「そうか。お前は美味しそうに食べるし、食べてる時は本当に可愛いから、ついあげたくなってしまう」
『それもプレゼント?』
「それ、とは?」
『んーん。何でもない。古橋のパン、いつも美味しいよ。はい、お返し』
古橋からフォークを受け取って、彼の口にも苺を放り込む。
その光景を見てた原が、何かに気付いたようにフォークを手に取った。
「じゃあ、次俺の番」
『次ねー、クリーム』
「はい、あーん」
『あーん』
クリームをいっぱい掬って口に運ばれる。
「一緒にゲーセン行くの楽しいよ。ゲームくっそ下手なのに一生懸命で超可愛い」
『ありがとう?原はめっちゃ上手いよね。今度コツ教えてよ』
それから、今度は原のフォークを取って、彼の口にもクリームを詰める。
「次俺かな」
『おはよう、瀬戸。次はスポンジ食べたい』
「うん、わかってた」
続いて瀬戸、丁寧にスポンジを押し切って食べさせる。
「コーヒー飲んでるとき可愛いよ。苦手なら無理しなくていいのに、同じもの飲みたい、とかいう健気なとこ」
『…それ知ってて苦いの飲むんだもん、瀬戸は意地悪。今度は私にも飲めそうなの教えて』
流れでフォークを渡された山崎は真っ赤になって固まった。
ーーー古橋は天然でやらかしたが、後の二人を見ればわかる。これは、恥ずかしいやつだ。
まず、彼女が「それもプレゼント?」と言ったのは「可愛い」という台詞。だから、各々思い出に加えて「可愛い」と告げるのだ。
何より、あのフォークが間接キスだというのに気付いてしまえば、ガチガチに固まってしまうわけで
「ザキ、ファイト」
原がニヤニヤと笑うのも仕方ないことだーーー
『次またイチゴがいいな』
「おう…」
苺を差したザキは真っ赤になってガチガチだった。
そんなに緊張するのかな、あーんって。
「……マネージャー、いつもありがとな。その…か、かわい…ぃ…ょ」
『どういたしましてー。ザキもカッコいいよー』
やっと出てきた台詞は凄くゴニョゴニョしてたけど、精一杯感が嬉しくて。
口に苺を突っ込みながら私はニコニコと笑った。
残る花宮は。
書き物の手を止めてめんどくさそうにベンチに座った。
それから私の言葉を聞く前にチョコプレートを摘まみあげて、口に押し当てる。
「ん」
『あー』
おとなしくチョコを囓る私を無言で眺めて、花宮は暫し考えた後。
「…おめでと」
『ありがと』
結局、それしか言わなかった。
残ったチョコプレートは花宮の口に押し込んで、私はご満悦。
『みんな、ありがとう。大好きだよ』
(((((うちのマネージャー、マジ天使!)))))
それぞれのafter※キャラ別独立ストーリー
~原~
「ちょ、本当マジ下手」
『うるさい!リズム感無いのはわかってるよ!』
帰りにゲーセンに寄った私と原は、音楽ゲームの前で騒いでいた。
「拗ねないでよ、ほら、あのぬいぐるみ取ってあげるから」
『UFOキャッチャーも得意なの?』
「まーねー」
が、一向にクリア出来ない私は不貞腐れて。原は機嫌を取る為、私の好きなキャラクターのぬいぐるみを狙ってゲーム機に近づく。
「一回目で近づけてー…二回目でー…ほい、プレゼント」
『え、すご!いいの?』
「もち。改めて、誕生日おめでとう」
大きなヒヨコのぬいぐるみを手渡された私は。
『ありがとう!』
もう満面の笑みを浮かべるよりなかった。
~古橋~
「旨いか?」
帰りがけ、小腹が空いたと溢せば。
ケーキ食べたのに、とツッコミながら古橋はパンをくれた。
『うん。古橋の塩パンは美味しいよね』
「本当にそれ、好きだな」
小腹が空いたら摘まむ用…としてるだけあって、小さめに作られていて。且つ、塩とバターのシンプルな味付けが飽きなかった。
「…これ、全部やる」
『え、こんなに?』
「言ったろ。お前は食べてる時が一番可愛いんだ」
『…ありがとう』
「年の数だけあるぞ」
『……、節分じゃないんだから…』
~瀬戸~
帰り道でコーヒーショップへ寄った。
瀬戸がいつもの苦いコーヒーを頼んで、同じものを頼もうとする私を遮る。
「だから、苦くて嫌なんでしょ?」
『砂糖とミルク、いっぱい入れる』
「なら入ってる奴頼めば?エスプレッソと、カプチーノにキャラメルシロップ追加で」
さらりと注文した彼は、暫くして自分の琥珀色のコーヒーと、私に白くてふわふわしたコーヒーを持ってくる。
『カプチーノ?』
「うん、ミルクがいっぱい入ってて、キャラメルも足したから甘くて飲みやすいと思う」
『……ほんとだ、美味しい』
「良かった。あ、ベースのコーヒーは俺と同じエスプレッソだよ」
同じものを飲みたい私の気持ちを汲んだ上で、好みをわかってくれるとか、頭がいいってすごいよね。
~山崎~
『はい、スポドリとタオル』
「サンキュー。…あ、あのさ」
『ん?』
部活終わり、ザキは私を呼び止めて口籠る。
「………その、気の利いたこと言えなくて悪いな。けどっ、お前のマネージメントは、すげぇ頼りになっから。…いつもありがとな」
そして、真っ赤になりながら、そう笑った。
『どういたしまして。今度、ザキも一緒にどっか遊びに行こうね』
「おう!来年はちゃんと顔見て可愛いって言うからな」
『……期待してる』
天然で純粋な笑顔が眩しい。
~花宮~
『ねえ、監督サマは可愛いって言ってくれないの?』
「そんな言葉でいいのか?安い女だな」
体育館の施錠中、茶化したら茶化し返された。
『安い女ですよー、花宮の"可愛い"聞けたら最高にハッピーになれますよー』
だから、全力で馬鹿なふりをする。
花宮って人は、人の嫌がる事をするのが好きだ。だから、可愛いは絶対言ってくれないってわかってる。
ちょっと、じゃれたかっただけ。
なのに、彼は急に、真剣な目で私を見据えた。
「……君を、夏の日に例えようか。…いや、君の方がずっと美しく、穏やかだ」
まっすぐ、綺麗に微笑んだままの言葉はまるで"台詞"。
それでも、私は顔がジワジワ熱くなるのを感じて。せめて、何か返事をしようと口を開きかけたとき。
「ああ、可愛い…が、いいんだったな」
と遮られて。
「……二人きりでいつまでもいつまでも話していたい気がします。そして、kissしてもいいでしょう。嫌ならやめます。この頃俺は、お前がお菓子なら食べてしまいたい位可愛い気がします」
なんて。やっぱり優しく微笑んだまま"台詞"を紡ぐ。
「…で?ハッピーになれたのかよ」
『……ええもう十分に』
ワガママを言えば、"彼の言葉"が良かったけど。
薄く頬を染めてるのを見たら満足してしまった。
※君を夏の日に…→シェイクスピア
※二人きりでいつまでも…→芥川龍之介
End