花と蝶
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《高2冬 ホワイトデー》
「そんなに悩むなら、ハードルあげなきゃ良かったのに」
「うるせぇ」
「マネのことになると花宮の頭の良さは半減してるよな」
「…仕方ねぇだろ」
「経験ない上に考える余裕ないんだもんね」
間髪入れずに図星をついてくる瀬戸を睨むこともできず、頭を抱えた。
悩みの種はもうじきやってくるホワイトデー。
3倍返しにしてやると言った手前、それなりのことをしたい。…あいつは気にしないだろうけど。
「で、バレンタインはカップケーキ以外に何貰ったの?」
「…夕飯がデビルズソースだった」
「マネはエンプーサかリリスなのか?」
「夢魔にしてんじゃねぇよ」
「これ以上嵌まりようのないくらい捕まれてるのに、"捕まえて離さない"なんて言われてる料理出してくるんだから、近いものでしょ。まあ、知らないでやってるんだろうけど」
「だから質悪いんだろうが」
「いっそプロポーズでもしたら?」
「…相談しようとした俺が馬鹿だった」
「待てよ、冗談だって」
明らか楽しんでる瀬戸を、今度こそ睨んで舌打ちした。
「マネが喜んだものとか好きなものなら、何でもいいんじゃない?なんかあるでしょ」
「…………」
「つか、花宮に解らないのにマネのことで俺が解るわけないでしょ。強いて言えば、」
"あの子が一番好きなのは花宮なんだろうし。
「……はぁ」
「頑張れ」
「…うるせぇ」
知ってんだよ、あいつが馬鹿なくらい、俺のこと好きなのは。
「羽影ちゃん、はい、ホワイトデー」
「俺からも」
「俺のも」
3月14日、彼女の手元に集まる菓子の数々。
原からは色とりどりの飴、ヤマからはクッキーの詰め合わせ、瀬戸はドライフルーツ。
「古橋のクオリティーヤバイんだけど」
「ガチで3倍返しか」
『え…手作り?』
「ああ。味は悪くないと思う」
古橋は、3色のマフィンを焼いてきていた。…女子か。
『すごいね!私こんなにふわふわしっとりにできないよ』
「まあ、慣れもあるからな。だが、羽影さんのも美味しかったぞ」
「その辺にしといたらー?監督またご機嫌斜めになるよー」
大概お前の余計な一言が原因だがな、原。が、実際苛々し始めてたのはある。
「……ほら。いつもマネージャー業こなしてる褒美だ」
「wwwせめてお返しの部分は残しなよww褒美って」
「羽影さんはいつの間にかペットになったらしいな。…お手」
『ふざけると噛んじゃうからね!…ありがとう、花宮君』
「…ん」
俺が渡した菓子の包みを大事そうに胸に抱える姿を見て、少し機嫌は落ち着いた。
.
_________________
「ご機嫌だな」
『うん。こんなにお菓子あるんだもん』
「…お前、甘いものすきだっけ」
『人並みにはね』
今日貰った菓子をテーブルに並べて、嬉しそうに笑う雨月。
どれから食べようか悩んでいるらしい。
俺は傍らから自分が渡した包を漁り、飴を1つ取り出す。
「…雨月」
『なに?…っ!』
それを口に含み雨月に口づけて、驚く彼女に構わずそのまま飴を口内に押し込む。
そして、唇を一舐めして離れた。
「ダメ。やっぱ甘過ぎ」
『…っ』
みるみるうちに赤くなる雨月の顔はなかなか見物である。
「3倍返しだっけ?あと2回あるな」
『い、いいよ、十分!』
「遠慮すんな。ああ、でもその飴舐めてる間はキスしてんのと一緒か。時間は3倍だな」
『っ!わ、私、バレンタインにあげたの、チョコだけなのに…っ』
「は?チョコだけ?」
『そうでしょ?料理だって、チョコソースだっただけで…』
「へぇ?じゃああのチョコにはなんの感情も入ってなかったんだな?惰性で寄越した"ただの"チョコだったのか?」
『!!』
彼女は疎い。
でも、糸口を見つけてからは敏い。
『…』
「解ったか?」
『うん。…ごめんね、あの…恥ずかしくて…。あれ、惰性なんかじゃないよ、真君は、特別だから』
「知ってるっつーの」
3倍返し、とは。物に限った事ではない。
先月垣間見た、彼女の独占欲や、あの"想われている"という感覚。
自惚れではなく、彼女から滲み出る俺への"好き"に、3倍で返そうと思ったのだ。
なんて、口には出来ないから彼女に察させた。
『…でもね、真君。3倍じゃなくていいよ、等倍でいいの』
「…あ?」
『0が倍に出来ないのと同じで、∞も倍って出来ないでしょ?だから、そもそも、』
「っ、解った」
通じたのはよかったが、こいつの場合、反応が上回る。
(数字で表せるものではないってか)
恥ずかしそうにしているわりに、言うことは大胆なのだから、なんというか。
『…真君、あの、』
「まだ返し終わってねぇだろ、逃げんな」
『っ!』
そして、然り気無く距離を取ろうとした彼女を引き寄せて。
再び飴を押し込んだ。
happy whiteday
『…甘いね』
「コーヒー飲みたくなるな」
『うん。私、いれてくるね』
「ん」
(甘いのも、悪かないな)
なんて
Fin
「そんなに悩むなら、ハードルあげなきゃ良かったのに」
「うるせぇ」
「マネのことになると花宮の頭の良さは半減してるよな」
「…仕方ねぇだろ」
「経験ない上に考える余裕ないんだもんね」
間髪入れずに図星をついてくる瀬戸を睨むこともできず、頭を抱えた。
悩みの種はもうじきやってくるホワイトデー。
3倍返しにしてやると言った手前、それなりのことをしたい。…あいつは気にしないだろうけど。
「で、バレンタインはカップケーキ以外に何貰ったの?」
「…夕飯がデビルズソースだった」
「マネはエンプーサかリリスなのか?」
「夢魔にしてんじゃねぇよ」
「これ以上嵌まりようのないくらい捕まれてるのに、"捕まえて離さない"なんて言われてる料理出してくるんだから、近いものでしょ。まあ、知らないでやってるんだろうけど」
「だから質悪いんだろうが」
「いっそプロポーズでもしたら?」
「…相談しようとした俺が馬鹿だった」
「待てよ、冗談だって」
明らか楽しんでる瀬戸を、今度こそ睨んで舌打ちした。
「マネが喜んだものとか好きなものなら、何でもいいんじゃない?なんかあるでしょ」
「…………」
「つか、花宮に解らないのにマネのことで俺が解るわけないでしょ。強いて言えば、」
"あの子が一番好きなのは花宮なんだろうし。
「……はぁ」
「頑張れ」
「…うるせぇ」
知ってんだよ、あいつが馬鹿なくらい、俺のこと好きなのは。
「羽影ちゃん、はい、ホワイトデー」
「俺からも」
「俺のも」
3月14日、彼女の手元に集まる菓子の数々。
原からは色とりどりの飴、ヤマからはクッキーの詰め合わせ、瀬戸はドライフルーツ。
「古橋のクオリティーヤバイんだけど」
「ガチで3倍返しか」
『え…手作り?』
「ああ。味は悪くないと思う」
古橋は、3色のマフィンを焼いてきていた。…女子か。
『すごいね!私こんなにふわふわしっとりにできないよ』
「まあ、慣れもあるからな。だが、羽影さんのも美味しかったぞ」
「その辺にしといたらー?監督またご機嫌斜めになるよー」
大概お前の余計な一言が原因だがな、原。が、実際苛々し始めてたのはある。
「……ほら。いつもマネージャー業こなしてる褒美だ」
「wwwせめてお返しの部分は残しなよww褒美って」
「羽影さんはいつの間にかペットになったらしいな。…お手」
『ふざけると噛んじゃうからね!…ありがとう、花宮君』
「…ん」
俺が渡した菓子の包みを大事そうに胸に抱える姿を見て、少し機嫌は落ち着いた。
.
_________________
「ご機嫌だな」
『うん。こんなにお菓子あるんだもん』
「…お前、甘いものすきだっけ」
『人並みにはね』
今日貰った菓子をテーブルに並べて、嬉しそうに笑う雨月。
どれから食べようか悩んでいるらしい。
俺は傍らから自分が渡した包を漁り、飴を1つ取り出す。
「…雨月」
『なに?…っ!』
それを口に含み雨月に口づけて、驚く彼女に構わずそのまま飴を口内に押し込む。
そして、唇を一舐めして離れた。
「ダメ。やっぱ甘過ぎ」
『…っ』
みるみるうちに赤くなる雨月の顔はなかなか見物である。
「3倍返しだっけ?あと2回あるな」
『い、いいよ、十分!』
「遠慮すんな。ああ、でもその飴舐めてる間はキスしてんのと一緒か。時間は3倍だな」
『っ!わ、私、バレンタインにあげたの、チョコだけなのに…っ』
「は?チョコだけ?」
『そうでしょ?料理だって、チョコソースだっただけで…』
「へぇ?じゃああのチョコにはなんの感情も入ってなかったんだな?惰性で寄越した"ただの"チョコだったのか?」
『!!』
彼女は疎い。
でも、糸口を見つけてからは敏い。
『…』
「解ったか?」
『うん。…ごめんね、あの…恥ずかしくて…。あれ、惰性なんかじゃないよ、真君は、特別だから』
「知ってるっつーの」
3倍返し、とは。物に限った事ではない。
先月垣間見た、彼女の独占欲や、あの"想われている"という感覚。
自惚れではなく、彼女から滲み出る俺への"好き"に、3倍で返そうと思ったのだ。
なんて、口には出来ないから彼女に察させた。
『…でもね、真君。3倍じゃなくていいよ、等倍でいいの』
「…あ?」
『0が倍に出来ないのと同じで、∞も倍って出来ないでしょ?だから、そもそも、』
「っ、解った」
通じたのはよかったが、こいつの場合、反応が上回る。
(数字で表せるものではないってか)
恥ずかしそうにしているわりに、言うことは大胆なのだから、なんというか。
『…真君、あの、』
「まだ返し終わってねぇだろ、逃げんな」
『っ!』
そして、然り気無く距離を取ろうとした彼女を引き寄せて。
再び飴を押し込んだ。
happy whiteday
『…甘いね』
「コーヒー飲みたくなるな」
『うん。私、いれてくるね』
「ん」
(甘いのも、悪かないな)
なんて
Fin