ライトラスト ‐§1‐
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紆余曲折。監督生とグリムの登校一日目は、逃げ出したグリムを捕まえたり、ぶつかった先輩のカルボナーラに乗ったぷるぷるの温玉を割ってしまったことで難癖をつけられたりしながらなんとか昼休みまでたどり着いた。
ビュッフェ形式の昼食は学食とは思えない種類の多さとクオリティで、さんざん逃げ回っていたグリムもようやく腰を落ち着かせて食事に夢中になっていた。
広い食堂にはそれぞれの寮色をあしらった制服を纏った寮生たちが賑やかにごった返している。とうぜんだが男ばかりで、ややむさくるしい。
「…当然だけど、人が多いね。他の寮の人たちも沢山居る」
「もぐもぐはぐはぐ!オマエたちの寮は今朝見たけど、他の寮ってどんなのなんだゾ?」
「――学園のメインストリートにグレート・セブンの石像がたってたでしょ?」
突然降ってきたのは、今朝聞いたばかりの軽薄な声。
「あの七人に倣って、この学園には七つの寮があるんだよ」
「げっ!アンタは今朝の!」
「えーと、ケイト…先輩ですよね」
「オレ様たちを騙してバラに色を塗らせたヤツなんだゾ!」
「騙したなんて人聞きが悪いなあ。オレもやりたくてやってるわけじゃないんだよ?寮の決まりだから仕方なくやってるだけで」
「めちゃくちゃ笑顔でしたけど…」
「生き生きしてたよね」
「まあまあデュースちゃん、ミオちゃん。寮の外なら例のルールに従わなくていいし」
「ち、ちゃん付けはやめてください、ダイヤモンド先輩!」
「私も、ちゃん付けってキャラじゃ…」
「はは、それはケイトの愛情表現だからな」
眼鏡を掛け直しながら、ケイトの隣にいた生徒が笑う。トレイと名乗る彼はケイトと同じ、ハーツラビュル寮の三年生らしかった。
「君はオンボロ……ゴホン、使われていなかった寮の監督生に着任した新入生のユウだろう?そっちはミオ・ネイラント」
「…そうですけど。私、フルネーム名乗りましたか?」
「名乗りましたか、ってそりゃあ…まあ、覚えてないか。それより、昨日はうちの寮の奴らが迷惑かけて悪かったな」
「ちゃっかり隣に座ってるし…」
「まーまー。せっかく同じ寮に入ったんだから仲良くしよーよ。とりまアドレス交換で~!」
「ええと、スマホは持ってません」
「あ、私も。家出同然で出てきたから……」
「えっ、二人ともスマホ持ってないの!?マジヤバ!天然記念物並みにレアじゃん!最新機種安くしてくれるお店、紹介したげるよ~。今度スマホ選びにデートとかどお?オレとトレイくんと監督生ちゃんたちでー、ダブルデート!」
「かっる……ユウ、スマホ買ってもアドレス教えるのは限られた人にした方がいい」
「ケイト。警戒されてるぞ、ほどほどにな」