ライトラスト ‐§1‐
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産まれてこの方、両親による分刻みのスケジュールと厳しいルールで縛り付けられて、徹底的に管理されて育てられてきたリドル寮長。
彼はルールと恐怖で相手を支配することが相手の為になると信じて疑わない。なぜなら、ルール違反を肯定すれば、ルールに縛られて育てられてきたリドル寮長自身そのものを否定することになる。
「……お前たちがリドルを横暴に思うのはわかる。リドルのやり方が正しくないことも」
それでも、とトレイは重苦しい溜息を吐いた。
「俺には…やっぱりあいつを叱る事なんて出来ない」
只の横暴とは言い切れない程に想像を絶する、リドル寮長の過去。他者が安易に口を挟めない状況に、それぞれが言い淀んだ。
「今の話を聞いて、よーくわかった。
リドル寮長があんななのは、アンタのせいだわ」
――エース以外は。
デュース、グリム、ユウ、私の驚愕の「えっ」が綺麗に重なる。
腕を組みながらエースはなおも不服そうに続けた。先ほどまでの怒り心頭の様子から、事情を理解してなおも不満を隠さない不機嫌までグレードダウンして。
「リドル寮長が親を選べなかったのはしょうがない。でも、アンタは少なくとも寮長の親が寮長にやってたことは間違ってるって昔から思ってたんでしょ?」
「、それは……」
「今の寮長が親と同じ間違いしてるって思ってるならちゃんと言えよ。直してやれよ。可哀そうな奴だからって同情して甘やかして、どうすんの?アイツがみんなに嫌われて孤立してくの見てるだけ?」
「お、おい…エース!」
「それともなに?アンタも首をはねられるのが怖くて黙ってるって?ダッセえな!!」
それはいっそ無神経と紙一重な、部外者だからこそ言える正論。そしてエースらしい余計な煽りだった。
「なーにが幼なじみだ。そんなんダチでもなんでもねえわ!」
一切の迷いない啖呵に、あぜんとしてエースを見つめる。
ただの煽り屋だと思っていたエースが。
いらない面倒ごとを引き起こす煽り屋だと思っていたエースが。
こんなふうに真正面から自論を突き付けるとは。
……いや、思えば最初からエースは言いたいことを臆さず口にしていた。堪え性のない、後先考えない真正面からの煽りが面倒事に繋がってきた。そして今も同じように、先輩に真っ向から本音をかましているだけなのだ。彼なりの、今回ばかりは健全といえる人生観に則って。
「コラ!君たち!図書館では静かにー!!」