ライトラスト ‐§1‐
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「あーくそっ!腹立つ、あの赤毛のチビ毛暴君!自分がハートの女王にでもなったつもりかよ!!」
「寮長に逆らって追い出されるなんて…どんどん優等生から遠ざかってる……」
「うぅ、首輪が苦しくて重たいんだゾ……」
リドル寮長のユニーク魔法の首輪をつけられ、状況は振りだしへ。
むしろ彼の機嫌を大きく損ねてしまったことから、より悪くなったと言える。
「一体どうすれば…」
「その首輪の重ねづけ、イカしとるにゃぁ~」
不意の声はすぐ横から。そちらに目を向ける。そこには庭園の薔薇に交じって浮かぶ、男の生首が。
「ひ、」
「ふぎゃー!!生首お化け~!!」
「おっと。身体を出すの忘れとったわ」
転移魔法の一種なのか、“忘れていた”身体が出現する。
好き勝手にあちこち跳ねた髪、満月のような瞳、何より頭に生えた三角の猫科の耳。
デュースがぎょっとしつつ訊ねる。
「な、なんだ。ちゃんと身体もあるんじゃないか。君は?」
「俺はアルチェーミ・アルチェーミエヴィチ・ピンカー。猫のような、人のような魔力を持った不思議なヤツ。
みんなチェーニャって呼ぶかねぇ」
また濃い性格の人物が現れた。ユウが首を傾ぐ。
「どの寮の人?」
白いオーバーサイズのアウターはラフな普段着といった感じで、それぞれの寮を指し示す要素は見受けられない。
「ふふん。何寮なのか、当ててみにゃぁ~」
「頭に耳があるからさば……さばにゃ寮だゾ!」
「ブッブー。不正解~。サバは海で泳ぐもんだろー。俺は猫だからサバじゃない」
つかみどころのない性格がカンに障ったのか、エースが口をとがらせる。
「オレは暴君に理不尽な目にあわされて機嫌が悪いんだよ。どっか行け」
「リドルが暴君~?フフフ、まあそう言えなくもないかもしれないけどにゃあ。ちっこい頃からあいつは真面目なヤツだもんで…ミオとも張り合ってたにゃぁ」
「…ミオさんと、張り合う?」
チェーニャの口から自分の名前が出てきて驚く。“ちっこい頃から”“私と張り合う”。まるでリドル寮長と私が面識があるような言い方だ。
「ミオ、あの横暴寮長と知り合いだったわけ!?」
「いや、知らないけど…」
「知ると覚えるはまた違にゃあ。でも覚えてにゃあのと知らなにゃあのは同じかにゃあ」
「頭が混乱してきた…君はローズハート寮長についてもなにか知ってるのか?」
「知っとるといえば知っとるし、知らないといえば知らにゃあ」
「どっちなんだゾ…」
「なあにぃ?君ら、リドルについて知りたぁの?」
「ああ知りたいね!どうやって育てりゃあんな横暴に育つのか!」
「それに私とあなたと寮長って、どこかで会ったことあるの?」
「――それじゃあ、あの眼鏡に聞いてみにゃあ。あいつはリドルがちっちゃい頃からよう知っとるよ。リドルについて知りたいなら、俺ならまずあの眼鏡に聞くにゃあ」
「眼鏡って…クローバー先輩のことか?幼馴染なのか、そんな感じはしなかったが…」
「おみゃーがそう思うならそうなんじゃにゃーの。ほんなら俺に聞く必要はないにゃあ」
「チェーニャ。無責任な言い方じゃなくて、しっかり話をしてくれると助かるんだけど…」
「おお?リドルより先に名前を呼んでもらえるとは思わなんだ?いーい土産話ができたにゃあ。ほいじゃあ」
「あっ、おい!」
好き勝手言いたいように言いたいことを言って、チェーニャは消えてしまった。…よく分からない人だったが、言ってたことが本当なら有力な情報を得たことになる。
「よし、クローバー先輩に話を聞きに行ってみよう。それに…」
「謝って外してもらうなんて、ダセーから絶対やだ!」
男子というのは、妙なところにプライドを持つらしい。
引き下がれない二人に、ユウが苦笑した。
「意外に頑固だね…」