ライトラスト ‐§1‐
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叫ぶやいなや一瞬のうちにユウ、グリム、デュースに魔法封じの首輪が付けられていた。
おそるおそる自分の首元に触れる。首輪はついていなかった。どうやら見逃され、
「…おや、一人首輪を掛けそびれた生徒がいるようだね」
たわけではなかった。
反論らしい反論はしていないものの、冷静でない彼には同じ反乱分子として見なされているらしい。でも――
「
こんなアホみたいに目立つ首輪をつけるのは、
「
――絶対に嫌だ!
ぎゅっと目をつむる。首の圧迫感はいつまでたっても訪れない。
目をあけると、少し狼狽えた様子のリドル寮長と目が合った。
「どうして
無意識のうちに、自分のユニーク魔法を発動していたのかもしれない。ほっとしたような、逆に反感を買ってしまったような状況だ。
どうしたものかと視線をずらすと、手を付けられないまま捨て置かれたマロンタルトが視界に入った。
皆で栗を拾い、向いて、裏ごしして、混ぜて、買い出しして……皆が一所懸命作ったタルト。一口も口を付けられることがなく、このまま捨てられてしまうだろうタルト。
「――お聞きしたいのですが、リドル寮長。
法律とは理屈と積み重ねられた事例によって作られるもの。果たしてハートの女王の法律はどういった理屈で以て“なんでもない日”にマロンタルトを持ち込んではならないのでしょうか」
「……由緒正しいハートの女王の法律に異議を唱えるというのかい?」
こちらをじとりと睨むリドルの視線を受けてまっすぐに見つめ返す。
深い青の瞳と視線が繋がった。
「時代は常に動き、変わり続けます。進む時世に合わせてアップグレードしない法律など、それは単なる形骸化した慣例に過ぎません。ですがいつの時代にも通じる常識があります。それは――」
「食べ物を粗末にすんじゃねー!だゾ!」
今度こそ間違いなく喧嘩を売ってしまった。もう一度魔法封じの魔法が飛んでくるかもしれない。身構えたものの、一向にその気配はなかった。それどころか、怒気も感じない。その瞳は驚きに見開かれていた。
「キミは……」
「え?」
「いや……。……ケイト、トレイ。こいつらを寮外へつまみだせ!」
何か引っかかりがあるようなそぶりは一瞬で、すぐに寮長として指示を飛ばす。
トレイもケイトも名指しで指示されれば逆らえない。みんな仲良く寮外に追いやられながらパーティー会場を振り返る。やはりこちらを何とも言えない表情で見つめるリドル寮長がいた。
「……リドル、やっぱり覚えてたか」
「覚えてた…?何をです?」
「聞こえてたのか。いや、こっちの話さ」