ライトラスト ‐§1‐
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「おっじゃましまーす♪」
「失礼するぞ」
マロンタルトを作り終え、あとは改めて寮長のリドルに謝罪しに行くだけとなった。
寮に帰れないエースとついてきたデュースの二人がオンボロ寮の敷居を踏み越える。宣言通りに泊まりに来た二人に監督生が「いらっしゃい」と寛容な様子だが、ついため息を吐く。
「本当に来た…寝るところは自分で片づけてよね」
「おかまいなく~。あ、あとでトランプやろーぜ。オレ持ってきた」
「ミオ、あとで薔薇を赤く塗る魔法のコツを聞きたいんだが…」
「私に?」
「ああ。お前は安定して赤く塗っていたからな」
「デュースくん、黄色だったりピンクだったりとっちらかってたもんね~」
「魔法が使えないお前に言われたくないな」
「は~?この首輪さえなければヨユーだから」
――――
「とらんぷ?それってなんだゾ?」
「トランプを知らないのか?」
「四種類のマークと、十三まである数字からなるカードだよ」
「大富豪のルールどーする?八切りとか縛りありにする?」
「八切り…八流しじゃないのか?」
「大富豪はローカルルールがありすぎるからね。グリムも知らなさそうだし、無難にババ抜きでいいんじゃない?」
――――
「また負けたんだゾ!オマエらズルしてるんだゾ!?」
「グリム、顔に出すぎだよ」
「俺がジョーカー摘まむとめっちゃ嬉しそうにするし、逆に自分がジョーカー引いた時の反応も分かりやすすぎ」
「くっそー!もう一回なんだゾ!」
「もう四回連続でグリムが最下位だぞ。七並べの方がいいんじゃないか」
「いーやーだーゾーっ!絶対ババ抜きで一位になってやるんだゾ!」
「…逆にエースはポーカーフェイスが上手いね。気づかずに何回かババ引かされたよ」
「へへ、手品とかする時はポーカーフェイス大事だしね」
―――
「薔薇を赤くするコツと言っても…薔薇と言えば赤、という先入観があるからたまたまうまく赤色に塗り替えられただけだと思う。
魔法はイメージが大事って言ってたし、想像力という意味ではデュースの方が上手なのかも」
「そうなのか?でも何度やっても思い通りの色に変わらない時があって…」
「頭の中だけじゃなくて、一度絵をかいてみる…とか?
まず白い薔薇を描いて、それを赤く塗って…そうすれば、イメージしやすいかもしれない」
「なるほど!さっそく描いてみよう」
「……。デュース、その幾重にも重なったアメーバみたいな絵は、もしかして」
「薔薇だ!」
「薔薇…そっか、うん、…なるほど、具体的にイメージをアウトプットする力って大事かもね…」