ライトラスト ‐§1‐
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皆の好物を聞き出してから、トレイがマジカルペンを取り出す。指揮棒でも操るように一振り。魔力が光を放つ。
「“
……。表立って変化はない。デュースが首を傾げた。
「…?これは?」
「ではマロンタルトをもう一口どうぞ」
「ん?んんん?これ……マロンタルトなのにチェリーパイの味がする!」
「ツナ缶の味だ!はぐはぐっ!おわっ、今度はチーズオムレツ!鶏肉のグリルに、はぐはぐっ、プリンの味なんだゾ!」
皆の反応を受けて、マロンタルトをおそるおそる口にする。
……先ほどと全く変わらない、甘いままのタルトの味だった。グリムなんかは食べるたびに味が変わっているのに。
「面白いでしょ?コレ、女の子とお茶する時に鉄板でウケると思わない?」
「スゴいですね。味を変える魔法がクローバー先輩のユニーク魔法なんですか?」
「正確には、要素を上書きする魔法…だな。味だけじゃなく、色や匂いなんかも上書きできる。効力は短時間しか持たないから落書きみたいなものだ」
先に好物を聞き出して味のイメージをさせてから、各々の認識を上書きしたのだ。私の味覚が変わらなかったのは、意固地になって好物を甘いものだと言い張ったせいかもしれない。
「もぐもぐ、意地悪なリドルの魔法なんかより、はぐはぐ、よっぽどスゴイんだゾ!」
「いや……俺の魔法なんか、寮長の魔法に比べれば子どものオモチャみたいなものだ。レベルが違うよ」
「いえ、落書きと呼ぶには高度すぎると思いますよ。一度に複数人の認識を変化させるなんて」
「ありがとう。…さ!今日はもう遅い。タルトを寮長に渡すのは明日にして、寮に戻ろう。
明日は何でもない日のパーティだ。遅刻するなよ」