ライトラスト ‐§1‐
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リドル寮長への詫びマロンタルトを作るための栗拾いへ、栗拾いのための道具を借りに植物室へ、道具を借りるために用具入れを探しに全員で手分けして別行動に。
「レオナさーん?あれ。さっきはここにいたのに。ったくもー、探すこっちの身にもなって欲しいッス」
木の陰からひょこりと顔を出したのは一対の三角耳を持つ生徒。黄と黒の腕章が揺れた。
「君、この辺でレオナさん見なかったッスか?って、女生徒……もしかして噂のオンボロ寮に住んでるっていう一年生?」
「ええ。レオナさんがどなたか存じませんが、この辺りで人影は見ませんでしたよ」
「あちゃあ~、完全に移動してるな。ここは花の匂いがキツいからあんまり鼻使いたくないんッスけど…」
「ちなみに、用具入れがどこにあるか知っていますか?」
「ああ、それなら出入口から真っすぐ入って突き当たりにあるッスよ。すんすん……あ、ちょうどレオナさんもそっちにいるみたい」
―――
獣耳先輩の後をついていくと、見覚えのある一人と一匹、背の高い――やはり獣の特徴のある生徒がすぐそばに立っていた。しかし歓談していた、というには険悪な雰囲気。監督生の顔色は青く、グリムも怯えているようだった。慌てて駆け寄る。
「ユウ!大丈夫?カツアゲされてた?」
「歯、歯を……」
「歯?」
「あ、いたいた。レオナさーん!」
「……あ?」
「もー、やっぱりココにいた。レオナさん、今日は補習の日ッスよ」
「あー、うるせえな。
短い間で、人となりが分かるのは個性だ。しかし悪い方向の個性。
大方、監督生に突っかかっていたのだろう。彼女の手を引いて“レオナ”から距離を取らせる。緊張からか手が冷たい。非難の視線をレオナに向ければ、鮮やかな緑の瞳と目が合った。向こうの眉がぎゅっと寄る。
「あ?お前……」
背丈があるからか、彼が少し腰を折るだけで距離が縮む。端から見たら互角に睨み合っているように見えるかもしれないが、実際は急に近づいてこられたので驚いて表情ごと固まっているだけだ。目と鼻の先ですん、と嗅がれる。
「……あァ、オンボロ寮に自分から入ったっていう特待生サマ。……。なるほどな。随分仲のよろしいことで」
「あ、もしかしてこっちが特待生?っていうかあの廃墟に自分から住むって正気ッスか?」
「……、そちらもずいぶん素敵な舎弟さんがいらっしゃるんですね、お似合いですよ。補習、頑張ってくださいねレオナ“先輩”?」
「あ?」
「お、落ち着いて、ミオさん」
「ミオ~!オマエなに煽ってるんだゾ!」
「ちょっとちょっとストーップ!ほら、もうとっくに予鈴鳴ってんスから行きましょーよレオナ先輩!特待生くんも無謀なことしないんスよ!」
ぐいぐいと背中を押されてむりやり歩かされていくレオナとラギー。不機嫌な背中と尻尾が見えなくなったところで、一斉に息を吐く。
「ぷはぁ~!!緊張したんだゾ!なんなんだあの凄みのある管理人さんは!?ミオが食われるかと思ったんだゾ!」
「管理人さんではない気が……でもすごい、あの人とよく張り合えたね」
「咄嗟に生意気言っちゃった。学年も寮も違うし、この先あまり関わり合いにならないといいけど」