ライトラスト ‐§1‐
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「も~、絶対ハーツラビュル寮には戻んねえ。今日からオレ、ここの寮生になる!」
深夜に訪ねてきたのは、怒り冷めやらぬ様子のエースだった。
その首にはハートを模した首輪。ハーツラビュル寮の寮長のユニーク魔法、
「オマエ、なんでそんなのつけられたんだゾ?」
「タルト食った。」
「……え?それだけ?」
怒り心頭のエースは語る。魔法石探しで夕飯を食べ損ねていたこと、寮の冷蔵庫に三ホールほどケーキがあったこと、一ピースくらいばれないだろうとつまみ食いをしたこと、それが寮長にバレてユニーク魔法をかけられたこと……。
「……」
「……」
「……」
グリム、ユウ、私は閉口する。言葉はなくとも、思いは同じだった。
「どっちもどっちなんだゾ」
「たかがタルトを盗み食いしただけで魔法封じされるのはおかしくね!?」
「う~ん、まあ……確かに魔法封じはやりすぎかもしれないけど……」
「ユウ、甘やかしたらダメ」
「あっ!ミオの魔法ならオレの
「できるかもしれないけどやりません。あなたの寮の問題でしょう」
「ちぇっ、ケチ」
「なんとでも」
グリムがぽん、と肉球を合わせる。
「三ホールもあったならパーティ用かもしれないんだゾ。誰かの誕生日とか。オレ様、名推理すぎるんだゾ!」
「まあ、そう考えるのが普通だよね。あとは歓迎会、とか?それだけの量をまさか一人で食べるわけないし」
「誕生日に歓迎会ィ?」
「だとしたら怒るのも当然かも…まず、謝ったの?」
ユウの疑問にエースが窮する。どうやら図星らしかった。
「う……。ミオはともかく、オレ、ユウなら絶対に寮長が横暴だって言ってくれると思ってたんだけどぉ?」
「確かに横暴ではあるけど…」
「先に盗み食いしたオマエも悪いんだゾ」
「先に手を出した方が負けってね。その寮長のやり方はともかく、エースに非があるのは明らかだし」
「謝ればきっと寮長も許してくれるよ」
「はぁ……わかったよ。謝ればいいんでしょ。……監督生が提案したんだから一緒に来いよな」
「わかったよ」
話で聞いただけではあるが、少々厳しい寮長のようだ。安請け合いして大丈夫だろうか。念のために明日は二人についていこう。
「じゃ、とりあえず今日どこで寝ればいい?」
「オメー、本当に泊まる気か?オレ様とユウたちの部屋以外、まだどの部屋も埃だらけなんだゾ」
「お部屋掃除はセルフサービスとなっております」
「げっ、掃除とかゼッタイやだ……監督生~、部屋に泊めてよ。オレ、スマートだから幅取らないしさ。ねっ?」
「談話室のソファへどうぞ」
……心なしか、この状況にユウが適応していっている気がする。
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