ライトラスト ‐prologue‐
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最後に現れた新入生は「魔力が無い」と断じられた。
そんな人選ミスってあるの?と自分の立場も果たして大丈夫なのかと若干不安になったところで、クロウリーに抑えられていた猫(だだし耳から炎が出ている)が暴れ始める。熱量を持った熱い炎が部屋を覆った。
その炎は鏡の前であぜんとしている「ユウ」にも迫る。あまりに無防備で、しかも鏡の言う通りなら魔法も使えない筈だ。駆け寄って背に隠す。
思い出すのは、池の水を消し去ってしまった時の感覚。魔法を打ち消すユニーク魔法。
「
瞬きの合間に炎は不可視の壁に阻まれ、勢いを失って消えた。しかし迫る炎を消しただけで、部屋で荒れ狂う炎は健在だ。さらに、炎を発生源である猫がいまだに暴れている。先輩らしき学生が追いかけまわして…。
クロウリーが「ユウ」に向かって叫ぶ。
「どうにかしてください!貴方の使い魔でしょう!?」
「ち、違います!」
「しっかり躾を……え?貴方のじゃない?」
「さっきから何度も言ってるじゃないですか!」
「…そ、そうでしたっけ?」
………………
猫は窓から放り出されて、一件落着。
寮が決まった生徒がぞろぞろと部屋を出ていき、残されたのは私、クロウリー、ユウ。
「さて、ユウさん。大変残念なことですが…」
クロウリーは切り出す。魔法を使えない人間をこの学校には置いておけないこと、鏡の力で元の場所に帰る事ができること。
ユウは鏡の前に立つ。フードを被っていても、ほっと肩の力が抜けているのが分かった。魔法も使えないのに呼びだされたのだから、さぞ驚いたことだろう。
「どこにもない……」
「え?」
「この者のあるべき場所はこの世界のどこにも無い……無である」
「なんですって?そんなこと有り得ない!ああ、もう今日は有り得ないのオンパレードです!
私が学園長になってから、こんなことは初めてでどうしていいか……そもそも貴方どこの国から来たんです?」
なにやらややこしい事態になってきた。私のかつての故郷を思い起こさせる名前を持つその人物は、恐る恐るといったふうに口を開く。
深く被ったフードから、「黒い瞳」と目が合った。そして覗くのは、黒い髪。全身の毛が逆立つ。目の前の人物に視線がくぎ付けになる。足元が不確かになる。
――そうして、口にしたのは。
「え、っと、東京から…日本の。」