ライトラスト ‐prologue‐
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「いってぇ…なんだったんだよさっきの!あんなの居るなんて聞いてねーって!」
「ただのゴーストではなさそうだったな……」
「生半可な魔法じゃ効果はなさそうだね、困ったことに」
「もう諦めて帰ろーよ。あんなんと戦うぐらいなら退学でいいじゃん、もう」
「なっ!?ざっけんな!」
…ざっけんな?
「魔法石が目の前にあるのに、諦めて帰れるかよ!」
「はっ。オレより魔法ヘタクソなくせになに言ってんだか。行くなら勝手に一人で行けよ。オレはやーめた」
「あぁ、そうかよ!なら腰抜け野郎はそこでガタガタ震えてろ!」
…いよいよ別人格じみてきた。グリムと目が合う。その隣のユウさんとも目があう。ふたりとも顔が引きつっていて、同じことを思っているらしかった。
「な、なぁ…デュース。オマエなんかキャラ変わってる気がするんだゾ?」
「……ハッ!?ご、ごほん!悪い、少し取り乱した」
「少し……?」
「でも、どうしよう。魔法でどうにかならないの?」
「オマエら、ドーンとド派手な魔法とか使えねーのか?」
「大がかりな魔法や複雑な魔法の使用には訓練が要る」
「だから魔法学校があるんだけどね。パッと思い浮かべた通りに魔法を使うにはかなり練習が必要ってワケ。ぶっちゃけ、テンパってるとミスりやすい」
「……みんなテンションで使ってるんだとばかり」
「実際、得意な魔法なら感覚で使えるんだけどねー」
「あ、だからグリムは炎魔法しか出せないんだ」
「しかってなんだゾ! ミオなんて一個も魔法を使ってないんだゾ」
「さっきも言ったけど、魔法を打ち消すことが出来るだけ。攻撃に使うような機会も、そもそも習う機会もなかったもの」
「……とにかく、僕はなんとかしてあいつを倒して魔法石を持ち帰る」
「だーかーら。お前さー、シャンデリアの時といい実は相当バカでしょ」
「なんだと!」
「――二人ともいい加減にしなさい!!」
これまで比較的静観していたユウが声を張り上げる。予想外の人物の予想外の声量に、その場にいた全員が驚いてユウを見た。
「そんなだから歯が立たないんだよ。もう少し協力しあおうよ」
「ふ…ふなぁ…」
「ユウさん…」
「ぐっ……。し、しかし……一体どうしろっていうんだ」
「ちゃんと、作戦を立てるべきだと思う。みんなで力を合わせよう」
「はぁ、作戦?それってみんなで仲良く協力しろってこと?この突っ走り真面目クンと?ハッ、なにソレ寒ッ。よくそんなダッセェこと真顔で言えんね」
「同感だ。こいつと協力なんかできるわけない。俺だってゴメンだ」
「ユウさん、このメンバーに協調性を求めるのは酷かも、特に赤い方…。戻って学園長に交渉する方が望みがある」
「でも……」
グリムがぽつりと零す。煽るでもないそれは、ひとり言のような本音だった。
「入学初日で退学って、もっとダセー気がするのだ」
ふたりは言葉を詰まらせる。ダメ押しと言わんばかりに、ユウさんは口を開いた。真剣な眼差し。気が付けばこの場で最も無力なはずの彼女に、全員が活路を求めていた。
「ひとつ、提案があるんだけど」