29(短編)
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「ねぇソルジャー、私って大人かなぁ?」
ソファに寝転び携帯を操作しながら、向かいのソファに座っているソルジャーにそんなことを尋ねてみる。
「...まだ子供だと思うが。」
「えー...そう?今日ね、クラスの子に「Nameは大人だねー」って言われたの。」
携帯を閉じゆっくり起き上がる。
ソルジャーは読んでいた本を閉じ此方を向いた。
なんだか目元が訝しげだった。
「だがお前はまだ学生だろう、ならば子供だ。」
「そういうことじゃなくて...あれだよ、精神年齢。」
所謂恋バナというものをしたのだ。
クラスの女の子たちは皆、自身の片思いや恋人のことを自慢げに話していた。
だから私も、彼のことを話したのだ。ソルジャーのことを。
「10歳以上、歳上の彼がいる。」
たったこれだけ。そしたら皆が口を揃えて「Nameは大人だ。」、「大人の恋愛してそう」、「どこまでやったの?」と食いついてきた。
正直、大人みたいなことは一度もしてなかった。
させてくれなかったのだ。
だから皆が羨ましがってることは一度も経験したことない、だから何も言えなかったのだ。
「精神年齢...か...、それは分からんな。」
ソルジャーはそう言って立ち上がると、私の隣へ座った。
彼の大きな手が私の頭を撫でる。まるで子供をあやすかのようなその仕草に、私はほんの少し眉を顰めた。
「ちょ...ちょっと、子供扱いしないでよ...ッ」
彼の手を掴み、私の頭から遠ざけた。
ソルジャーは私の頭を撫でるのが好きなのか、こうしてよく頭を撫でる。頭を、頭だけを。
キスだって唇に軽く触れる程度、服なんて目の前で絶対脱がないし私が脱ごうとするとすぐに止める。
だから今日こそ、大人になるんだ。
「ソルジャー、キスして。」
私が真剣な顔でそう言えば、彼は唯一見える目を見開き驚いていた。
「待てName、流石にいきなりすぎるぞ。」
「いいから...!キスしてキス!」
前のめりでソルジャーに近づき求めると、彼は渋々マスクをずらした。
そして私の唇にほんの少し、触れる程度のキスをした。
「...どうだ?Name。」
「......ッ、違うってば...そうじゃなくて......」
何故だろう、こんなに軽いキスなのに目を伏せてしまう。心臓が早くなる。
こんなんじゃ、いつまで経ってもホントのキスできない。
「何が違うんだ?お前の求めるキスはこれでは無いのか?」
恐る恐る上を見れば、ソルジャーは私に優しい眼差しを向けていた。
ふと頭に伝わる感触、彼の手だ。
また撫でるのか、そうやって...。
「ッ...わ、私だって...もう立派な大人だから...!もっと...ちゃんとしたキスしたい、大人の恋愛したいよ...」
ソルジャーを見つめながら訴えるようにそう告げた。
頭を撫でる手が止まる。
こんなこと言うのは初めてだし、きっと彼も予想してなかっただろう。
「...だがName、お前にはまだ早い。お前が思っている程、大人の世界は甘くないんだ。」
もどかしい。
彼はどうして私をこんなにも子供扱いするんだろう。
まるで妹のように、頭を撫で時々ぎゅっと抱き寄せキスは控えめで服は脱がせてくれなくて......
「ッ......ソルジャーは多分......私のこと......恋人だと思ってない......」
「.........」
辺りが静寂に包まれる。
...あぁ...酷いことを言ってしまった。
きっと彼は私に失望しただろう。
彼のためにも自室に戻るべきだ。
未だに髪に触れていた彼の手から離れようとした時。
「... Name。」
「ぇ...?ぁ...ッ!?」
肩を掴まれたかと思えば、次の瞬間私の身体はソファに仰向けに倒れていた。
目の前にソルジャーが見える。
起きようとしても彼の手がそれを許してはくれなかった。
「...あ、の...ソルジャー......ッ!?」
訳が分からず開いた口に、柔らかい感触がした。
肩を掴んでいた手は私の頬に移り、顔を固定した。
キスだった。とっても軽い、唇に触れる...よう、な......?
「はッ......ぁ...ッ...?」
しかし、何かが舌に絡まる。
それが彼の舌であるとわかった瞬間、私は自身の鼓動が早まるのを感じた。
口内に侵入した舌が私の舌を器用に絡める。
口の中が蕩けるように熱い。
「んッ...ッッ......」
困惑と恥ずかしさにソルジャーの胸板を押すがビクともしない。
キスは長く深く、離れて呼吸ができるようになったかと思えば再び塞がれて...次第に身体から力が抜けていった。
不意に、ソルジャーの手が私のシャツのボタンに触れた。そして何の躊躇もなくボタンを外し始める。
「ぇ...ま...まって...!ソルジャー...ッ」
咄嗟にソルジャーの手を掴む。しかしそんなのお構い無しに、彼はひとつひとつボタンを外していく。焦らすように、ゆっくりと。
制止も虚しく徐々にさらけ出される下着。私は恥ずかしさで胸元を隠した。
「あッ...!ッ...」
しかし両手はすぐに彼の器用な片手により頭上で固定された。強すぎず、それでも緩くはない力で...。
もう片方の手が腹に触れる。くすぐるように腹を撫でながら、徐々に胸の方へ近づけていく。
そしてついに、私の下着にゆっくり手をかけた。
身体が震える。期待か緊張か、それとも恐怖か。
「そ...ソル、ジャー......まって...こ、怖い......怖いよ...」
「...............」
私が震えた声で呟けば、ソルジャーの手がピタッと止まる。
そして押さえ付けられていた手が解放され、下着に触れていた手も離れた。
混乱している私を見下ろしながらソルジャーは一言、優しく笑いながらこう告げた。
「これでわかっただろう、お前はまだまだ子供だ。」
マスクを元に戻し、そっと私の頭を撫でる。その間も私は放心状態だった。
我に返ったのは彼が私のシャツのボタンを留めていた時。
「ッ...え?そ、ソルジャー...?」
「お前が大人になった時、続きをしような。」
相変わらず子供をあやすかのような撫で方で、ソルジャーは私の頭をぽんぽんと撫でる。
私は次第に顔が火照ったように赤くなり、恥ずかしくてそっぽを向いた。
彼は本当に私のことを全てお見通しなのかもしれない。
大人みたいな恋愛は私には早く、彼は私が大人になるまで待ってくれている。
大人になりたい。いつになるか分からないけど、彼に「大人になったな」と言われるようになりたい。
「ほら、そろそろ子供は寝る時間だぞ。」
「そ、そこは子供扱いしないで...!」
まだ今は子供っぽい学生だけど、いつか必ず大人っぽくなって彼のことを夢中にしてみせる。
悪戯っぽく笑う彼の後を追い、私はリビングを出た。
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