29(短編)
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朝、身体に感じる違和感で目が覚めた。
夜の間に無意識に崩れていたらしく、ベッドだけでなく床にまで砂は散らばっていた。
こうなる原因は1つしかない。
「あぁ...またか...」
ベッドの中央、俺の砂に埋もれながら眠る女を見ながらため息をつく。
Nameは静かに寝息をたてながら蹲るように眠っている。その姿はまるで幼い子供だが、彼女はもう立派な大人だ。
魔界の夜は冷え性な彼女にとっては天敵らしい。
寒さに耐えきれず夜中に起きては、こうして俺の部屋に侵入し勝手に布団へ入り込むのが日課だ。
「起きろName、もう朝だぞ。」
「んー...駄目、あと...5分...」
上半身を起こし彼女の身体を揺すっても、彼女は寝返り打つだけで起き上がらない。それどころか更に砂に埋もれている気がする。
「お前なぁ...いくら寒いからって俺の所で寝る必要はねぇだろ。」
「だってぇ...ニンジャの焦熱地獄は流石に熱いから...。それに砂のほうがちょうど良い温度だし...。」
Nameは気の抜けたような声でうつらうつらとそう呟いた。相変わらず起きる気配はない。
砂に埋もれて眠る彼女はいつも心地良さそうで、本当に悪魔なのかと疑うほど幸せそうな顔をしていた。
父性というものだろうか...この顔を見ると無性に彼女の頭を撫でたくなった。流石に引かれるだろうからと、今まで実行したことは無いが...。
だから俺は今日もこう言ってNameを起こす。
「そろそろ起きねぇと、アシュラが来るぞ。」
「え、ほんと?」
すると先程までの夢心地だった様子が嘘のように、Nameは閉じていた目を開けた。
此奴の天敵は寒さとアシュラだ。自由気ままな性格の彼女と六騎士をまとめるリーダー格のアシュラは気が合わなかった。だからこうして脅せば彼女はすぐに目を覚ます。
「はぁ...もう少し寝てたかった...」
Nameは目を擦りながらゆっくりと身体を起こす。
これで一安心だと、俺はそう思っていた...
「...なっ!?」
砂の中から露になったNameは下着姿だった。腹や足は完全に露出し、胸元もかなり大胆に見えていた。
Nameは俺のことなど全く気にせず、呑気に欠伸をしながら立ち上がる。
「お前...ッ、その格好...!」
「え?あぁ...君の砂、肌触りが良いから...つい...」
Nameは恥ずかしがることもなく、床に脱ぎ捨ててあった服を着始めた。
俺はというと、そんな彼女の様子に目が離せずに見続けてしまっている。
「ッ... Name...いくらなんでも無防備すぎるだろ...。もう少し女としての自覚を...」
「もう...アシュラみたいなこと言わないで。私がこんなに開放的になれるのはサンシャインの前だけなんだからさ。」
"俺の前だけ"... Nameの言葉に胸が高鳴る。
こんなに無防備な姿を見れるのは、この世で俺だけなのか...。そう思うと、説教しようと開いた口も無意識に閉じてしまう。
「...もしかして...恥ずかしい?こんな姿で触れられるの...嫌?」
Nameは服を着終えると、ゆっくりと俺に近付いた。先程の格好のせいか、いつもより大人びて見える顔に思わず心拍数が上がってしまう。
「...いいや、別に嫌じゃねぇ...」
ほんの少し俯きながらもそう答え、俺はNameの頭に手を伸ばす。
そして寝癖のついた彼女の髪をそっと撫でた。
「...良かった、じゃあこれからもよろしくね。」
Nameは一瞬驚いた顔をした後、無邪気に笑いそう言った。
そして「先行ってるよ」と、俺に手を振りながら部屋を出ていってしまった。
「...自由な奴だな...相変わらず。」
再びため息をつきベッドから立ち上がる。
無意識に崩れていた砂は元に戻り、やっといつもの朝がやって来た。
あの様子じゃあ今夜も来るだろう...。
砂に埋もれ可愛い子供のように眠るが、砂の下にあるのは僅かな布に包まれた大人の身体。
Nameの大人びた身体と無邪気な子供のような笑顔を交互に思い出し、俺はもどかしい気持ちになりながら部屋を出た。
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