29(短編)
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木々の間から差し込む光が辺りを照らしている。
森の中はは鮮やかな緑に彩られ、木の上から眺めているだけでも良い暇潰しになっていた。
しかし昼下がりということもあり少し眠い。
このままではいずれ木漏れ日の暖かさに目を閉じ、陽だまりの中で眠ってしまうだろうか...。
「やはりそこに居ったか、Name。」
下から聞こえた声に眠気が一気に覚める。
目を擦りながら真下を見ればそこには彼の姿があった。
「ニンジャ、今日も散歩?毎日飽きないねぇ...」
「それはお互い様であろう。」
私と同じ里に住んでいるニンジャは誰よりも強く、優秀な忍だった。
いつもこうして森を散歩するから時々こうしてばったり出くわすのだ。
「里には戻らないの?君がいないと皆寂しがるのに。」
私は再び木に寝そべりながらそう尋ねた。
「一人になる時間も大切だ。現にお主も、昼間は滅多に顔を出さずにこうして一人で森に居るではないか。」
「まぁ...今は二人だけど。」
指で葉をくるくる回しながらニンジャの話に耳を傾ける。
いつもなら挨拶だけですぐに行ってしまうのに、今日は少し話が弾んでいた。
「二人は嫌か?」
いつの間にか吹いていた風が止み、鳥のさえずりが聞こえなくなっていた。
正直、一人は楽だが寂しいものだった。
「...別に、嫌じゃない。」
「そうか、ならば良い。拙者もお主と二人ならば退屈はしない。」
「えっ、それってどういう......ッ!」
ニンジャの言葉に思わず体勢を崩してしまう。
この木にはギリギリ座れるくらいの幅しかなかったから、手を滑らせてしまえば真っ逆さまだ。
葉擦れの音と共に落下する身体。
地面に叩きつけられると思い目を固く瞑ったが、いくら待っても痛みは感じなかった。
「......ッ」
「やはり、退屈はしないな...。」
落ちる葉と眩しい木漏れ日に目を細める。
私の身体はニンジャの手により抱きとめられていた。
その状況を理解した途端、恥ずかしさに思わず顔を背ける。
「木の上は危ない。次からは気をつけるのだぞ。」
心臓の音がうるさくて、紛らわすようにそそくさと地面に足をつけた。
そんな私にニンジャは優しく微笑んだ。
「...あ、ありがと...。」
まだ心臓の音が止まない。
こんな間近でニンジャを見たのは初めてだ。
「どうだ?これから共に散歩でも...。」
まだ顔を背けたままの私に、ニンジャは手を差し伸べた。
彼はいつも里の中心で、皆から慕われていて...。
そんな彼に私はいつの間にか惹かれていたのかもしれない。
彼に抱きとめられた時、そんな気がした。
「...私で良ければ...。」
まだ恥ずかしさは残っていたが、私は笑顔でニンジャの手を握った。
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