恐怖映画(短編)
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「やっぱ君の妹さ、おかしいよ...。」
彼の突然の言葉に私は顔を上げる。
昼下がりのショッピングモールでベンチに座りながら、彼は私に深刻そうな表現でそう言った。
「まさか、エスターのこと?あの子のどこがおかしいって言うの?」
「いや...なんというか...僕の勘違いかもしれないけどさ......」
彼は周りをキョロキョロ見渡しながら、小声で話す。その声は何かに怯えるように震えている。
「君と一緒にいると、見られてる気がするんだ...君の妹に。」
ショッピングモール内は相変わらず騒がしい、休日だから人もかなり多い。それでも彼は警戒するように周りを見渡し続ける。
「それ本気?あの子が私達の後をつけてるっていうの?」
「それだけじゃないんだ、僕が一人の時はすごい形相で僕のこと睨んでくるし...君は気付いてないと思うけど...。」
相変わらず怯えた様子の彼にため息をつく。
だってあの子はまだ9歳だ。9歳の幼い女の子なのだ。
そんなことするはずない、きっと彼の勘違いだと私は信じたかった。
「...エスターだって貴方のことが好きだって言ってたわ、お兄ちゃんができたみたいって喜んでたのに...」
「......ごめん、君やあの子を傷つけるつもりはないんだ...。でも......」
「あの子は元々孤児よ、前の家で色々辛いこともあって...やっと心を開いてきたのに...。貴方がそんなことを思ってたなんて...。」
そう言えば彼は「ごめん...」と呟き口を閉ざした。
少し言い過ぎてしまったと後悔し、次は私が何か奢ろうかと立ち上がろうとした。
「あっ、Nameお姉ちゃん!」
人混みの中から、聞き覚えのある声が聞こえ私は視線を其方に移す。
そこには私の妹、エスターが立っていた。
相変わらず派手だが可愛いワンピースを着て、私達に手を振っている。
「エスター、どうしたの?こんな所で...」
「お家で一人は寂しかったから...お姉ちゃんデートに行くって言ってたでしょ?」
寂しそうな顔で私を見上げるエスターに、私は居ても立ってもいられず彼女を抱きしめた。
「一人にしてごめんねエスター...。」
「...ううん、大丈夫...お姉ちゃん達に会えたから。これから3人で一緒にお買い物したいな...。」
彼の方を見る。彼は眉をひそめながらも小さく頷いた。
「...分かったわ、3人で回りましょうか。」
エスターを抱きしめたまま背中を優しくさする。寂しい思いをさせてしまったのかもしれない。
きっと少し、彼に嫉妬していただけだよね。
お姉ちゃんに抱きしめられながら、私はお姉ちゃんの彼氏を睨みつけた。
まるで蛇に睨まれた蛙ね、あの怯えた表現...滑稽だわ。
Nameお姉ちゃんは私が出会ってきたどんなパパよりも魅力的で、私はNameお姉ちゃんとならずっと一緒に居ても良いと思った。
でも彼女の周りには邪魔者がいっぱい。
だからまずは両親に親戚、お友達も。時間はかかったけど、ちゃんと皆消してあげた。
最後はお前だ。彼を睨んだまま、心の中でそう呟いた。
「ほら行こう、エスターも一緒だから。」
Nameお姉ちゃんが彼に手招きをする。
私はいつもの笑顔に戻り、お姉ちゃんを見つめた。
可愛いName、貴方はもう少しで私だけのものになるの。