Chapter5 - Take the Top of Tower
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スカルとデニムキャップが第2カンモン近くまで辿り着く頃には、既に辺りはすっかり敵のインクに侵食されていた。
「防衛ポイントからの射線を塞ぐようにシールドが置かれている……まずはこれを壊すのが先決だな」
二人でスプラッシュシールドを破壊してから、デニムキャップは素早く段差の上からヤグラの進行ルートに回り込む。だが、その動きを読んでいたかのように、ウルトラハンコを発動したサニーが暴れ回り、デニムキャップはあっけなく押し潰される。
「デニムキャップ!」
デニムキャップのデスに追い討ちをかけるようにナイスダマも飛んできて、スカルはチャージを中断して退くことを余儀なくされる。
「またしても人数不利か……第3カンモンまでに守りきれるかどうか……」
第3カンモンまで到達されてしまえば、敵に有利な地形となり、ますます防衛は難しくなる。スカルは敵に距離を詰められないように動きつつ、どうにかこの状況を打開できないかと思考を巡らせる。そうしている間にもヤグラは進み、段差を降りて第3カンモンへと向かおうとした、その時だった。
「スカルくん! マルミサ打つから、追い詰めるよ!」
「デニムキャップ! 分かった、頼む」
復帰してから急いで自陣を塗り、スペシャルを溜めていたデニムキャップがマルチミサイルを構える。第3カンモンに到着したサニーと、彼女を守るように立ちはだかるグレープを、予告円が取り囲む。
「その位置だな。逃げる方向は……」
予告円が動く方向を見て、スカルがチャージを開始する。デニムキャップが塗りとカーリングボムでサニーを追い詰め、絶対射程領域 へと巧みに誘導する。
「……フッ」
スカルが静かにトリガーを引き、重い射撃音が響き渡る。サニーを仕留めたことで、ヤグラが戻り始めた。
「残りはグレープだな。状況はどうだ」
「大丈夫、何とかしてみせるよ!」
デニムキャップをヤグラに乗せまいとスライドで距離を詰めてくるグレープと、引き撃ちで距離を取りつつフルチャージで彼を狙うデニムキャップ。あわやケルビンの弾が直撃するという所へ、すかさずスカルがホップソナーを投げ入れる。インクの弾をホップソナーが遮ったことで身を守ったデニムキャップは、スライドの硬直の隙を突いてインクの矢を放つ。
「そこだっ!」
ホップソナーの波と、2本の矢が同時に着弾して、グレープを仕留める。
「やった!ワイプアウトだ!」
「残り時間が少ないな。オレたちがカウントリードを取り返せるとしたら延長戦になるだろう。それまでデニムキャップはヤグラを守っていてくれ」
「わかった、頑張る!」
デニムキャップは素早くヤグラに乗り込み、周囲を伺いながらスペシャルを溜めていく。ヤグラが中央付近まで戻ってきたところで、再び敵との交戦になる。
『さあ、いよいよ延長戦に突入だ! このままデニムキャップ選手がヤグラを守りきるのか! それとも前回王者が阻止するのか!』
サニーとグレープが、二人がかりでデニムキャップを狙う。ここでデニムキャップがやられてしまえば、その瞬間に勝利の可能性は失われてしまう。
「デニムキャップは……オレが守りきる」
スカルは敵の軌道を読むかのようにブキを構え、素早くサニーを撃ち抜く。そしてヤグラ上で必死に抵抗するデニムキャップのノンチャージ射撃を浴びせられ続けて手負いとなったグレープに接近して半チャージで仕留め、防衛の要所となる高台へと上がり込む。
「この先は第2カンモン……最大の難所だな」
「きっと敵は、また壁の向こうから不意打ちで追い詰めてくる……」
延長戦のブザー音が、鳴り止むことなく響き続けている。このままデニムキャップがヤグラから降りることなく第2カンモンを突破できなければ、カウントリードには届かない。
「敵は左と正面からだな。左はオレが仕留める。……デニムキャップ、いまこそ『アレ』を使う時だ」
「よし、分かった! 最後の望みに懸けて……!」
ヤグラが第2カンモンへと到着した。スカルの言う通り、左の高台からはサニーが迫ってくる。だが、デニムキャップの狙いはそちらではない。
(グレープなら、きっとこの位置から来るだろうから……意識を研ぎ澄ませて……この距離、この角度で……)
デニムキャップは斜め上に向けてブキを構え、素早く弦を引き絞る。
(必ず、勝ちたい……だから……!)
そのまま右手を離して、インクの矢を放つ。放たれた矢は、壁の裏側へと落下して――
「っ……!」
壁の裏から、グレープの声と同時に、インクが弾け飛ぶ音が聞こえた。
『デニムキャップ選手、これはすごい! なんと曲射で、壁裏のグレープ選手を仕留めたー!』
鳴り止まぬブザーの音と混ざって、観客席から歓声が沸き起こる。――この決勝戦が始まる直前まで、デニムキャップが練習していたこと。それが、曲射で相手を仕留める術だったのだ。
(『ストリンガーはチャージャーと違って曲射ができる。壁裏の敵への対抗はオレでは出来ない。お前にしかできないことだ』――スカルくんはそう言っていた。私にしかできない、第2カンモンを突破するための切り札だって)
デニムキャップは見事、その切り札を成功させてみせた。だが油断はできない。ヤグラに乗ることのできるサニーは、未だスカルと睨み合ったままだ。
『さあ、第2カンモンを突破した! このまま第3カンモン半ばまでヤグラを守りきればカウントリードだ! 果たして勝利はどちらの手に渡るのか!』
デニムキャップの手には汗が滲み、呼吸も苦しくなるほどに心臓は高鳴っていた。カウントリードまで、勝利まであと少し。しかしサニーはスカルを壁際まで追い詰め、ヤグラに迫りつつある。
(ここでやられる訳にはいかない……必ず、勝ちたい……)
すかさずデニムキャップがカーリングボムを投げて、サニーの進路を断ち切ると同時にスカルが動ける道を作る。ヤグラは止まることなく進み、遂に第3カンモンへと到着する。
(掴み取りたい……スカルくんと私と、二人でしか成し遂げられない勝利を)
スカルが置いたトラップを踏んで、それでもなお彼のノンチャージでの必死の抵抗を振り切り、ついにサニーはヤグラに乗り込む。
(絶対に……二人で勝つんだ!!)
トラップのダメージが入っているなら、キルを取るのに必要な矢は2本だ。――ヤグラに乗ったまま、柱の周りを旋回して、互いに弾を避けつつ、チャージしたインクをぶつけるための隙を狙って睨み合う。
そして――サニーのチャージが切れた瞬間を、デニムキャップは見逃さなかった。そのままデニムキャップは、サニーへとインクの矢をぶつける。
「…………っ!!」
目の前で、インクの弾ける音がした。そして、笛の音が響いて、ヤグラが止まる。
『――カウントリード! 試合終了ー!!』
肩で息をしたまま、デニムキャップはブキを下ろしてスカルの方を振り向く。
『第6回イカップル杯、頂点に輝いた二人は――スカル&デニムキャップペアだー!!』
観客席が、いや、ステージ全体が、歓声と拍手の渦に包まれる。
「やったな、デニムキャップ……!」
「スカルくん……! 私たち、本当に勝てたんだね! 本当に本当に……ありがとう!」
ヤグラから降りて、スカルの元に駆け寄ったデニムキャップは、互いに勝利を称え合う。歓声の止まない観客席には、S4のメンバーや、ブルーチームといった者たちが手を振っている姿が見えた。
***
マンタマリア号での表彰式が終わり、準優勝の賞状を手にしたサニーとグレープの二人が、優勝トロフィーを抱えたデニムキャップの元に駆け寄ってくる。
「あはは、私たちの2連勝とはいかなかったかー」
「デニムキャップもスカルも、本当に強かった。良い試合だったぞ」
負けた方の二人も、爽やかな笑顔で、悔いの残らない様子であった。
「サニーとグレープも、すごく強かったよ! 私ももっと、強くならなきゃね」
「よーし、今度戦うことがあったら、次は絶対負けないんだからね!」
「望むところだよ!」
デニムキャップとサニーの明るい声が響く船上へ、アナウンスの声が降り注ぐ。
『お知らせ致します。ただ今よりマンタマリア号にて、優勝ペアの写真撮影の準備を行います。優勝ペア以外の方は、速やかにステージ外への移動をお願いします。優勝ペアの方は、係員がご案内に参りますので、しばらくお待ちください』
(…………!)
デニムキャップの顔が、一瞬強ばる。
「写真撮影、ということは……」
スカルがデニムキャップの方へと視線を向ける。そこに割り込むように、サニーの声が通り抜けて行く。
「あっ、写真撮影って……優勝賞品のウェディングフォト撮影でしょ! いいなー羨ましい! じゃ、私たちはもう行くからねー! お幸せに!」
「あっ、ちょっとサニー……!」
デニムキャップの制止も聞かず、サニーとグレープはスーパージャンプで飛び立ってしまう。観客席にいた観客たちも去っていき、静かになった船上には、デニムキャップとスカルだけが取り残された。
「防衛ポイントからの射線を塞ぐようにシールドが置かれている……まずはこれを壊すのが先決だな」
二人でスプラッシュシールドを破壊してから、デニムキャップは素早く段差の上からヤグラの進行ルートに回り込む。だが、その動きを読んでいたかのように、ウルトラハンコを発動したサニーが暴れ回り、デニムキャップはあっけなく押し潰される。
「デニムキャップ!」
デニムキャップのデスに追い討ちをかけるようにナイスダマも飛んできて、スカルはチャージを中断して退くことを余儀なくされる。
「またしても人数不利か……第3カンモンまでに守りきれるかどうか……」
第3カンモンまで到達されてしまえば、敵に有利な地形となり、ますます防衛は難しくなる。スカルは敵に距離を詰められないように動きつつ、どうにかこの状況を打開できないかと思考を巡らせる。そうしている間にもヤグラは進み、段差を降りて第3カンモンへと向かおうとした、その時だった。
「スカルくん! マルミサ打つから、追い詰めるよ!」
「デニムキャップ! 分かった、頼む」
復帰してから急いで自陣を塗り、スペシャルを溜めていたデニムキャップがマルチミサイルを構える。第3カンモンに到着したサニーと、彼女を守るように立ちはだかるグレープを、予告円が取り囲む。
「その位置だな。逃げる方向は……」
予告円が動く方向を見て、スカルがチャージを開始する。デニムキャップが塗りとカーリングボムでサニーを追い詰め、
「……フッ」
スカルが静かにトリガーを引き、重い射撃音が響き渡る。サニーを仕留めたことで、ヤグラが戻り始めた。
「残りはグレープだな。状況はどうだ」
「大丈夫、何とかしてみせるよ!」
デニムキャップをヤグラに乗せまいとスライドで距離を詰めてくるグレープと、引き撃ちで距離を取りつつフルチャージで彼を狙うデニムキャップ。あわやケルビンの弾が直撃するという所へ、すかさずスカルがホップソナーを投げ入れる。インクの弾をホップソナーが遮ったことで身を守ったデニムキャップは、スライドの硬直の隙を突いてインクの矢を放つ。
「そこだっ!」
ホップソナーの波と、2本の矢が同時に着弾して、グレープを仕留める。
「やった!ワイプアウトだ!」
「残り時間が少ないな。オレたちがカウントリードを取り返せるとしたら延長戦になるだろう。それまでデニムキャップはヤグラを守っていてくれ」
「わかった、頑張る!」
デニムキャップは素早くヤグラに乗り込み、周囲を伺いながらスペシャルを溜めていく。ヤグラが中央付近まで戻ってきたところで、再び敵との交戦になる。
『さあ、いよいよ延長戦に突入だ! このままデニムキャップ選手がヤグラを守りきるのか! それとも前回王者が阻止するのか!』
サニーとグレープが、二人がかりでデニムキャップを狙う。ここでデニムキャップがやられてしまえば、その瞬間に勝利の可能性は失われてしまう。
「デニムキャップは……オレが守りきる」
スカルは敵の軌道を読むかのようにブキを構え、素早くサニーを撃ち抜く。そしてヤグラ上で必死に抵抗するデニムキャップのノンチャージ射撃を浴びせられ続けて手負いとなったグレープに接近して半チャージで仕留め、防衛の要所となる高台へと上がり込む。
「この先は第2カンモン……最大の難所だな」
「きっと敵は、また壁の向こうから不意打ちで追い詰めてくる……」
延長戦のブザー音が、鳴り止むことなく響き続けている。このままデニムキャップがヤグラから降りることなく第2カンモンを突破できなければ、カウントリードには届かない。
「敵は左と正面からだな。左はオレが仕留める。……デニムキャップ、いまこそ『アレ』を使う時だ」
「よし、分かった! 最後の望みに懸けて……!」
ヤグラが第2カンモンへと到着した。スカルの言う通り、左の高台からはサニーが迫ってくる。だが、デニムキャップの狙いはそちらではない。
(グレープなら、きっとこの位置から来るだろうから……意識を研ぎ澄ませて……この距離、この角度で……)
デニムキャップは斜め上に向けてブキを構え、素早く弦を引き絞る。
(必ず、勝ちたい……だから……!)
そのまま右手を離して、インクの矢を放つ。放たれた矢は、壁の裏側へと落下して――
「っ……!」
壁の裏から、グレープの声と同時に、インクが弾け飛ぶ音が聞こえた。
『デニムキャップ選手、これはすごい! なんと曲射で、壁裏のグレープ選手を仕留めたー!』
鳴り止まぬブザーの音と混ざって、観客席から歓声が沸き起こる。――この決勝戦が始まる直前まで、デニムキャップが練習していたこと。それが、曲射で相手を仕留める術だったのだ。
(『ストリンガーはチャージャーと違って曲射ができる。壁裏の敵への対抗はオレでは出来ない。お前にしかできないことだ』――スカルくんはそう言っていた。私にしかできない、第2カンモンを突破するための切り札だって)
デニムキャップは見事、その切り札を成功させてみせた。だが油断はできない。ヤグラに乗ることのできるサニーは、未だスカルと睨み合ったままだ。
『さあ、第2カンモンを突破した! このまま第3カンモン半ばまでヤグラを守りきればカウントリードだ! 果たして勝利はどちらの手に渡るのか!』
デニムキャップの手には汗が滲み、呼吸も苦しくなるほどに心臓は高鳴っていた。カウントリードまで、勝利まであと少し。しかしサニーはスカルを壁際まで追い詰め、ヤグラに迫りつつある。
(ここでやられる訳にはいかない……必ず、勝ちたい……)
すかさずデニムキャップがカーリングボムを投げて、サニーの進路を断ち切ると同時にスカルが動ける道を作る。ヤグラは止まることなく進み、遂に第3カンモンへと到着する。
(掴み取りたい……スカルくんと私と、二人でしか成し遂げられない勝利を)
スカルが置いたトラップを踏んで、それでもなお彼のノンチャージでの必死の抵抗を振り切り、ついにサニーはヤグラに乗り込む。
(絶対に……二人で勝つんだ!!)
トラップのダメージが入っているなら、キルを取るのに必要な矢は2本だ。――ヤグラに乗ったまま、柱の周りを旋回して、互いに弾を避けつつ、チャージしたインクをぶつけるための隙を狙って睨み合う。
そして――サニーのチャージが切れた瞬間を、デニムキャップは見逃さなかった。そのままデニムキャップは、サニーへとインクの矢をぶつける。
「…………っ!!」
目の前で、インクの弾ける音がした。そして、笛の音が響いて、ヤグラが止まる。
『――カウントリード! 試合終了ー!!』
肩で息をしたまま、デニムキャップはブキを下ろしてスカルの方を振り向く。
『第6回イカップル杯、頂点に輝いた二人は――スカル&デニムキャップペアだー!!』
観客席が、いや、ステージ全体が、歓声と拍手の渦に包まれる。
「やったな、デニムキャップ……!」
「スカルくん……! 私たち、本当に勝てたんだね! 本当に本当に……ありがとう!」
ヤグラから降りて、スカルの元に駆け寄ったデニムキャップは、互いに勝利を称え合う。歓声の止まない観客席には、S4のメンバーや、ブルーチームといった者たちが手を振っている姿が見えた。
***
マンタマリア号での表彰式が終わり、準優勝の賞状を手にしたサニーとグレープの二人が、優勝トロフィーを抱えたデニムキャップの元に駆け寄ってくる。
「あはは、私たちの2連勝とはいかなかったかー」
「デニムキャップもスカルも、本当に強かった。良い試合だったぞ」
負けた方の二人も、爽やかな笑顔で、悔いの残らない様子であった。
「サニーとグレープも、すごく強かったよ! 私ももっと、強くならなきゃね」
「よーし、今度戦うことがあったら、次は絶対負けないんだからね!」
「望むところだよ!」
デニムキャップとサニーの明るい声が響く船上へ、アナウンスの声が降り注ぐ。
『お知らせ致します。ただ今よりマンタマリア号にて、優勝ペアの写真撮影の準備を行います。優勝ペア以外の方は、速やかにステージ外への移動をお願いします。優勝ペアの方は、係員がご案内に参りますので、しばらくお待ちください』
(…………!)
デニムキャップの顔が、一瞬強ばる。
「写真撮影、ということは……」
スカルがデニムキャップの方へと視線を向ける。そこに割り込むように、サニーの声が通り抜けて行く。
「あっ、写真撮影って……優勝賞品のウェディングフォト撮影でしょ! いいなー羨ましい! じゃ、私たちはもう行くからねー! お幸せに!」
「あっ、ちょっとサニー……!」
デニムキャップの制止も聞かず、サニーとグレープはスーパージャンプで飛び立ってしまう。観客席にいた観客たちも去っていき、静かになった船上には、デニムキャップとスカルだけが取り残された。