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Chapter4 - Control Your Own Zone

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夢主(ラクト使いのガール)
チームメイト1(スプラスピナー使いのガール。チームメイト2と恋人)
チームメイト2(ケルビン使いのボーイ。チームメイト1と恋人)
夢主のチーム名

 試合を終えてロビーに戻ると、デニムキャップ宛てに荷物が届いていた。「最高にイカしたキミへ」というメッセージカードが添えられた、ウデマエトロフィーとバッジだった。ナマコフォンの戦績画面には、確かに「S+0」の文字が見える。
「スカルくん!」
 受け取った荷物を抱えて、デニムキャップは真っ先に、ロビーで待っていたスカルの元へ向かう。
「良くやったな、デニムキャップ
「うん! これでやっと、私も……S+だよ!」
 デニムキャップは高々と、白銀に輝くトロフィーを掲げる……が、その上に乗せていたメッセージカードとバッジが、勢いよく床に転がり落ちる。
「あっ、バッジー!!」
 トロフィーを抱えたまま、急いでバッジを拾おうと身を屈めるが、先にスカルの方がバッジを拾い上げる。そして、拾ったバッジを一瞥してから、デニムキャップに差し出す。
「ついにお前も、オレと同じバッジだな」
「……!」
 差し出されたスカルの手のひらの上で、ウデマエS+を示す金色のバッジが輝いている。それは紛れもなく、何度もスカルのネームプレートで見てきたものと同じだ。
(そっか、スカルくんと、同じ……)
 バッジを受け取り、自分のネームプレートに付ける。LACT-450の熟練度5のバッジ、ナワバリバトルの銀バッジ、そしてウデマエS+の金バッジが並ぶ。スカルのいるS+上位帯にはまだ程遠いが、それでも彼の強さに少しでも近付くための、最初の一歩を踏み出すことはできたのだと、バッジの輝きが告げていた。

「私……強くなれたのかな」
「ああ。強くなっているぞ」


***


 この後パープルチームでの練習の予定があるから、というスカルと別れた後、デニムキャップはロッカールームへとやって来た。要らない荷物を出して、できた空間にS+のウデマエトロフィーを飾る。その上のフックには相棒のブキを掛けて、より輝かしくなったロッカーを眺めていると、ポケットの中でナマコフォンの通知音が鳴った。
(何だろ? ……あ、第6回イカップル杯のお知らせだ!)
 サニーグレープに、次はスカルを誘って出てみたらどうか、と言われていた大会だ。すぐさまロックを解除して、大会の詳細を見る。その中で、ある一つの文がデニムキャップの目を引く。

(優勝ペアの賞品は……二人のウェディングフォト撮影!?)

 デニムキャップは目を丸くして、何度も瞬きを繰り返す。優勝ペアに用意されているのは、豪華なセットにドレスとタキシードでの写真撮影、らしい。
(ってことは、これに出て優勝すれば……私と……スカルくんで……)
 頭の中で、甘い想像を膨らませる。
 ……これは、スカルを誘って、出るしかない。デニムキャップは決意して、興奮も冷めぬまま、スカルにメッセージを打つ。
『あのさ、今度イカップル杯ってのがあって、私、スカルくんと一緒に出たいんだけど、どうかな?』
 迷いを断ち切るように、半ばヤケになって送信ボタンを押す。イカップル杯に誘うなんて、もう告白しているようなものだ。乱れ打つ心臓を抑えるように呼吸を整えながら画面を見ている。すぐに既読が付いて、そして返信が来る。
『ああ、良いぞ』
 胸がさらに高鳴り、手が震える。まさかの二つ返事でOKだったことに驚きを隠せない。……だけどスカルのことだから、深くは考えていないような気がする。デニムキャップからイカップル杯に誘った意図など全く考えていなくて、ただ「大会」に出たいだけなのかもしれない。と言うより、そちらの可能性の方が高そうである。デニムキャップがあれこれ思案していると、続けてスカルからメッセージが来る。
『ところで、優勝賞品は何だ』
(……!)
 動揺したデニムキャップの手からナマコフォンが滑り落ちて、そのまま床に落ちて派手に音を立てる。慌てて拾い上げて、そういえば前回の決勝戦は(迷子という形で)スカルも見に来ていて、優勝賞品はスイーツ食べ放題のペアチケットだったな、と思い出す。
 デニムキャップの心に、躊躇いが生まれた。優勝賞品はウェディングフォト。……とても今、そんなことを伝えられる状況ではない、とデニムキャップは考える。伝えてしまったら、今度こそ告白したも同然になるのだから。
(いずれはスカルくんに想いを伝えなきゃいけないのは分かってる。でも、私はその前に、スカルくんと大会に出たい……)
 ナマコフォンを両手で握りしめる。スカルへの本当の想いを言葉にするには、あとほんの少しだけ、勇気が足りなかった。
『……えっと、よく分かんないけど、なんかすごいのが用意されてるらしいよ! あ、参加申込は私がやっとくから!』
 足りない勇気を、ひとつの隠し事で補って、デニムキャップは送信ボタンを押した。――本当の意図だけを伝えられないまま、デニムキャップとスカルのイカップル杯参加が決まったのだった。
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