Chapter4 - Control Your Own Zone
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***
延長戦のブザー音が鳴り響いている。もう何度目かも分からないデス。デニムキャップはリスポーンに戻るなりすぐにエリアへと向かう。止まらぬ敵の猛攻、前線で一人二人と減っていく味方。ステルスジャンプで駆けつけ、決死の覚悟でエリアを塗り返す。降り注ぐクイックボムの雨とカニタンクの砲撃。とても一人の塗りで追いつける状況ではない。
――敵のカウントリード。カーリングボムが滑る音をかき消して、試合終了の笛の音が響く。
「どうだ、昇格戦の調子は」
ロビーに戻ると、射撃場には待ち構えたようにスカルが立っていた。
「2勝2敗。最初は調子良かったんだけど、そのまま2連敗して……」
「なるほど、次の一戦で決まるのか」
「そう……」
デニムキャップはそのまま俯いて、やっぱり、勝てる気がしない、と零す。
「……デニムキャップ」
紫色の眼差しと、ロビーの窓から射す光が交差して、静かに輝いている。
「何度も言っている。恐れるな。お前はオレに勝ったんだから」
「……!」
デニムキャップは思い出す。一心不乱、無我夢中の前進の末、スカルを射止めた時のことを。
(そうだ、私に必要なのは、最後の武器……『自信』)
ロビーにアナウンスの声が流れる。次の試合が始まるようだ。泣いても笑っても、ここでS+になれるかどうかは次の一戦に懸かっている。緊張を抑えるように、デニムキャップが深呼吸していると、その肩に、とん、とスカルの手が置かれる。
「行ってこい。オレは、お前が勝てると、信じている」
自信に満ちた、揺るぎない瞳。それは真っ直ぐにデニムキャップを、そして彼女の未来を見つめている。
「……ありがとう、スカルくん。私、頑張るね!」
デニムキャップの瞳に、彼と同じ光が宿る。そして、手を振りながら、ロビーを出てステージへと向かった。
***
『さあさあお立ち会い! お次の試合はマサバ海峡大橋にて行われるガチエリアやで!』
『アルファチーム側のメンバーの一人はなんと、S4のスカル率いるパープルチームを破ったマゼンタチームの一員、デニムキャップ選手!彼女のS+昇格も懸かっている、注目の一戦なのじゃー!』
スポナーから顔を出して、いつも通りに両チームのブキを確認する。味方は、スプラシューターコラボ、もみじシューター、N-ZAP85。敵は、スプラシューターコラボ、シャープマーカー、プロモデラーRG、LACT-450という編成であった。デニムキャップにとっては射程有利が3人、ミラーが一人。そしてデニムキャップ側の最長射程は彼女自身。デニムキャップがチームの攻守の要を担うことになりそうだ。
(スカルくんに少しでも追いつけるように。スカルくんと一緒にバトルするのに相応しいぐらい強くなるために)
デニムキャップは深呼吸しながら、スポナーに潜る。
『レディー……ゴー!!』
両チームが一斉にスポナーから飛び出し、エリアへと一直線に向かってゆく。デニムキャップは敵のボムを避けつつエリアの手前側を塗って、逃げ道を確保しながら少しずつスペシャルを溜めてゆく。
(マルミサは敵味方が4人揃っている時に撃ちたい。それまでは徹底的に生き残らないと……!)
敵の射程内に入らないようにしながら、スプリンクラーを壊し、ボムを避け、エリアを塗り返す。先にエリアを確保したのはデニムキャップ側だ。
(射程では勝てる相手だから、とにかく敵の射程から逃げていれば大丈夫なはず……!)
スペシャルゲージが溜まると、デニムキャップはすぐさまマルチミサイルを撃つ。そのまま追い討ちをかけるように敵を追いかけて壁際に追い詰め、すかさず駆けつけた味方がとどめを刺して難なくキルを取る。
(人数有利は作れた。後はエリアを見ながら、前線を押し上げていかないと!)
エリアを超えた先の狭い通路に、轟音とともに味方のトリプルトルネードが立ち込める。逃げ惑う敵を見てエリア左側の低地から回り込み、素早くインクの矢を放ってアシストを取る。
『エイッ!(アルファチーム、早くも2キル! 順調にカウントを進めているね!)』
前衛のシューター達はそのまま、奥の通路から来る敵を次々に阻止していく。デニムキャップもアシストを入れながら、エリアに飛んでくるボムの跡をひたすらに塗り返していた。残りカウントは早くも40に迫る。
……だが敵も巻き返してくる。飛び交うスプラッシュボムに追い討ちをかけるように、ナイスダマとカニタンクが段差上から待ち構えている。慌てて引き下がれば、次に来たのはマルチミサイルの予告円だ。エリア内にミサイルを落とさないよう、素早くエリア手前に逃げる。だがその隙を狙って、敵は一気にエリアを奪い返しに来る。