短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その日、わたしは夜中に尿意をもよおし、ふらりと廁へと向かった。
丑三つ時。外は真っ暗であるものの、本丸中にぽつぽつと光が灯っており、時折誰かの声が聞こえてくる。
どうやらまだどんちゃん騒ぎをしている刀たちや、1人静かに読書に耽る刀など、各々が好きなように過ごしているようだ。
用を足し、覚醒しないように眠気を大切に抱くように目を半分閉じたまま自室へと戻る途中、ゆらりと歩く人影を見る。
暗い上に目も慣れていない。さらに寝起きの視力なので、動いたそれが誰なのか何なのか、判別はつかない。
でかい虫か何かかと戦々恐々としていると、暗闇から無機質な声が投げかけられる。
「ねぇ、」
「……あ。安定?」
ふらりと見えたその正体は、大和守安定であった。白装束のような装いが、ところどころ赤く染まっている。本人はあまり気にしていないため、返り血のようだ。
「…遠征?それとも単騎?聞いてないけど」
「言ってないからね」
当たり前のように審神者である私に何も言わず出陣する彼は、当本丸では今剣と並ぶ斬り込み隊長だ。
いくら彼が強いからと言って、正直、危ないからやめて欲しいのだけれど。
「お疲れ様。今回も無事で何より」
「寝てたの?」
「うん、トイレ行ってた」
「…廁?」
「うん」
他愛もない言葉を交わすが、彼の言葉に温度は宿っていない。まぁ、人ではないとはいえ、動いて話すものを斬り伏せているのだから当たり前だろうか。
「え、あ、」
ぐいと腕を引っ張られ部屋へと連れ込まれる。
「どうしたどうした!?」
「ん、ちょっとごめんだけど、」
「いや何してんの?」
手は私の浴衣の足元に無造作に突っ込まれる。ごめんだけど、という重みのない言葉の割に、何やら重大なことが起こっているのではないのかこれは。
まだまだ朝と夜は肌寒い季節。彼の手はひんやりと冷え切っていて、さっきまで外にいたことが伝わってくる。
「これ何!?」
「何?性交したいなと思って」
「性交!?」
「そういう気分。僕にしては珍しいよね」
「他人事みたいに…」
あっけに取られて何も言えなくなる。
「……神様って本当に何考えてんのか分からないんだけど…」
「そう?君が思うより単純だよ。だからさ、」
雲に隠れていた月が顔を出したようで、障子から緩やかに光が漏れる。ここでやっと、私は彼の表情をはっきりと見た。
こちらをただただ見据える獣のような瞳をした彼は、「お願い…付き合ってよ」と聞いたことのない声音で私に強請る…と表して良いのかどうかも分からないほど、有無を言わせない。そんな圧を感じる声だった。
何も言えないまま形だけの抵抗を見せると、彼は「手、邪魔だよ」と一蹴し、力の入っていない私の腕を振り落とす。
気持ち良くはしてあげられないけど怒らないでね、と聞き捨てならない一言を添えてから、彼はするすると私の下着を脱がせる。
その間、私たちは一言も話さなかった。
中途半端に下着だけを脱がされた後、軽く抱かれて布団へと投げ捨てられる。
安定は羽織を脱いで自身の帯を緩めながら「君が誰かとこういうことしてるかどうかなんて、どうでもいいよ」「相手なんて誰でもいいし。でもさすがにこの時間はそういうお店も開いてないでしょ?」「同じ霊力なら、審神者との相性って良いのかなと思ったんだよね」などと、普通の人間であればあまり大きな声で言えないようなことを平然と述べていく。
「ん…きついね」
「まぁ…そりゃしばらくやってないからね…いてーっ!」
「力抜いてよ」
「もっと優しくしてよ!」
「僕と君の間に優しさなんて要らないでしょ」
淡々としている彼の目が月に照らされて淡く光る。
綺麗な目だな、と思わず彼の頬に手を添えると、「ふふ、何」と彼はくすぐったそうに笑った。
冷え込んだ空気の中、お互いの体温を分け合う。
そんな夜は、まだまだこれからなのだ。
丑三つ時。外は真っ暗であるものの、本丸中にぽつぽつと光が灯っており、時折誰かの声が聞こえてくる。
どうやらまだどんちゃん騒ぎをしている刀たちや、1人静かに読書に耽る刀など、各々が好きなように過ごしているようだ。
用を足し、覚醒しないように眠気を大切に抱くように目を半分閉じたまま自室へと戻る途中、ゆらりと歩く人影を見る。
暗い上に目も慣れていない。さらに寝起きの視力なので、動いたそれが誰なのか何なのか、判別はつかない。
でかい虫か何かかと戦々恐々としていると、暗闇から無機質な声が投げかけられる。
「ねぇ、」
「……あ。安定?」
ふらりと見えたその正体は、大和守安定であった。白装束のような装いが、ところどころ赤く染まっている。本人はあまり気にしていないため、返り血のようだ。
「…遠征?それとも単騎?聞いてないけど」
「言ってないからね」
当たり前のように審神者である私に何も言わず出陣する彼は、当本丸では今剣と並ぶ斬り込み隊長だ。
いくら彼が強いからと言って、正直、危ないからやめて欲しいのだけれど。
「お疲れ様。今回も無事で何より」
「寝てたの?」
「うん、トイレ行ってた」
「…廁?」
「うん」
他愛もない言葉を交わすが、彼の言葉に温度は宿っていない。まぁ、人ではないとはいえ、動いて話すものを斬り伏せているのだから当たり前だろうか。
「え、あ、」
ぐいと腕を引っ張られ部屋へと連れ込まれる。
「どうしたどうした!?」
「ん、ちょっとごめんだけど、」
「いや何してんの?」
手は私の浴衣の足元に無造作に突っ込まれる。ごめんだけど、という重みのない言葉の割に、何やら重大なことが起こっているのではないのかこれは。
まだまだ朝と夜は肌寒い季節。彼の手はひんやりと冷え切っていて、さっきまで外にいたことが伝わってくる。
「これ何!?」
「何?性交したいなと思って」
「性交!?」
「そういう気分。僕にしては珍しいよね」
「他人事みたいに…」
あっけに取られて何も言えなくなる。
「……神様って本当に何考えてんのか分からないんだけど…」
「そう?君が思うより単純だよ。だからさ、」
雲に隠れていた月が顔を出したようで、障子から緩やかに光が漏れる。ここでやっと、私は彼の表情をはっきりと見た。
こちらをただただ見据える獣のような瞳をした彼は、「お願い…付き合ってよ」と聞いたことのない声音で私に強請る…と表して良いのかどうかも分からないほど、有無を言わせない。そんな圧を感じる声だった。
何も言えないまま形だけの抵抗を見せると、彼は「手、邪魔だよ」と一蹴し、力の入っていない私の腕を振り落とす。
気持ち良くはしてあげられないけど怒らないでね、と聞き捨てならない一言を添えてから、彼はするすると私の下着を脱がせる。
その間、私たちは一言も話さなかった。
中途半端に下着だけを脱がされた後、軽く抱かれて布団へと投げ捨てられる。
安定は羽織を脱いで自身の帯を緩めながら「君が誰かとこういうことしてるかどうかなんて、どうでもいいよ」「相手なんて誰でもいいし。でもさすがにこの時間はそういうお店も開いてないでしょ?」「同じ霊力なら、審神者との相性って良いのかなと思ったんだよね」などと、普通の人間であればあまり大きな声で言えないようなことを平然と述べていく。
「ん…きついね」
「まぁ…そりゃしばらくやってないからね…いてーっ!」
「力抜いてよ」
「もっと優しくしてよ!」
「僕と君の間に優しさなんて要らないでしょ」
淡々としている彼の目が月に照らされて淡く光る。
綺麗な目だな、と思わず彼の頬に手を添えると、「ふふ、何」と彼はくすぐったそうに笑った。
冷え込んだ空気の中、お互いの体温を分け合う。
そんな夜は、まだまだこれからなのだ。
1/3ページ
