第1訓
夢小説設定
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「あ、もうエエか?」
天人の社長が遠慮がちに口を挟む。
「あ、はいどうぞ。こっちの話は終わりました」
「あぁ、スマンな。ほな、気を取り直して」
「死ねェェ!!」
怒号とともに、黒服たちが一斉に懐から銃を抜く。
「はイイイイ次ィィィ!!」
木刀が一閃。
先頭の黒服が吹き飛び、巻き込まれるように後ろの黒服たちまでまとめて部屋の外へ弾き飛ばされる。
「なっ…なんだコイツぅ!?」
「何!?でっ…でたらめだけど…強い!!」
次々と吹き飛ぶ黒服達。
「新一ぃぃぃ!!!いけェェェ!!」
「新八だボケェェ!!」
銀時が暴れる。
その間、結衣は何も言わなかった。
視線だけが静かに動く。
部屋の中を一度見渡し、
すぐに廊下へ目を向けた。
「こっち」
「え?」
「今」
「あ、はい!姉上もはやく」
新八はお妙の手を引き、結衣の後を追う。
「新ちゃん……いいの?あの人……」
お妙は不安そうに銀時のいた方何度もを振り返る。
「いくらなんでも敵が多すぎるわ。結衣さんだって、どうしてあそこまで私たちのこと……」
「そんなの分かんないよ!!」
新八は一度も振り返らず、前だけを見て走る。
「でも、アイツは戻ってくる!!だってアイツの中にはある気がするんだ。父上が言ってた、あの…」
その瞬間だった。
「あ"あ"あ"あ"あ"!!」
廊下の向こうから、雄叫びを上げながら銀時がものすごい勢いで駆けてくる。
その後ろでは、黒服たちが「待てコラー!!」と怒鳴りながら必死の形相で追いかけていた。
「ホントに戻ってきた!!キツかったんだ!!思ったよりキツかったんだ!!ちょっと頼みますよ!さっきの部屋出てから結衣さんまだ一言も喋ってないです!!」
「バカヤロー!!夢小説で夢主の一言増やすだけでも結構大変なんだぞ!!」
「メタァァァ!!」
「だって漫画開きながら文字を打ってるとすぐ閉じちゃうんだよ?それに原作キャラとの掛け合わせとか、出番を奪いすぎてないかとか色々考えなきゃ」
「発言がメタすぎんだろうがァァァ!!誰の気持ちを代弁してんだァァァ!!」
「誰の苦労話してんだァァァ!!」
結衣は少し考えてから口を開く。
「…管理人?」
「言うなァァァ!!」
「いいから脱出ポッド探せ!!」
「そこは!?」
「んだココ!?」
結衣は部屋をぐるりと見回す。
「動力室じゃないかな」
飛び込んだ部屋は広く、無数の配管やダクトが中央の巨大な機械へと繋がっていた。
追ってきた天人たちが銃を構える音とともに入口を塞ぐ。
「いきどまりや。追いかけっこはしまいやでェ。哀れやの〜。昔は国を守護する剣だった侍が、今では娘っ子1人護ることもでけへん侍や。おたくらに護れるもんなんてもうなんもないで。この国も…空も、わしら天人のもんやさかい」
「国だ、空だァ?くれてやるよ、んなもん。こちとら目の前のもん護るのに手一杯だ。それでさえ護りきれずによォ。今までいくつ取り零してきたかしれねェ。俺にはもうなんもねーがよォ。せめて、目の前で落ちてるものがあるなら、拾ってやりてェのさ」
「しみったれた武士道やの〜、もうお前はエエわ…去ねや」
「ちょっ、あきまへんて社長!!アレに弾あたったらどないするんですか。船もろともおっ死にますよ」
「ア…アカン。忘れとった」
部下に慌てて発砲を制止される。
銀時たちの背後では、船の心臓とも言える巨大な機械が低く唸りを上げていた。
銀時は一度それ見上げると、
「よいしょ、よいしょ。」
と、当たり前のようによじ登り始めた。
「って…登っちゃってるよ、アイツ!!おいィィ!!ちょっ、待ちィィ!!アカンでそれ!!この船の心臓…」
「客の大事なもんは侍の大事なもんでもある。そいつを護るためなら俺ぁなんでもやるぜ!!」
ズゴン
大きく振り上げた木刀が叩きつけられた機械が大きな音ともに破壊された。
刹那、船が一気に傾き、落ちる。
「きいやァァァァァホンマにやりやったァァ!!」
落下する船内で体が浮く。
当の銀時でさえ、思わず口をおさえていた。
志村姉弟は抱き締め合う。
結衣はとっさに近くの手すりへ手を伸ばすが、体はふわりと宙へ浮いた。
「何、この浮遊感気持ち悪っ!!」
「宇宙飛行士って大変なんだ」
「落ちてんのコレ!?落ちてんの!?」
「うん。落ちてるよ、新八くん」
「アンタはなんでそんなに冷静なんだ!!」
「「「ギャアアアアアア!!」」」
夕日と船が沈む海岸沿いには数台のパトカーと役人が集まっていた。
天人達は腕に手錠をかけられ、次々と連行されている。
「幸い、海の上だったからよかったようなものの。街に落ちてたらどーなってたことやら。あんな無茶苦茶な侍見たことない。でも結局助けられちゃったわね」
お妙は穏やかな水面を眺め、新八は役人と言い合いをする銀時達に視線を送る。
「んだよォ!!江戸の風紀を乱す輩の逮捕に協力してやったんだぞ!!パトカー拝借したのくらい水に流してくれてもいいだろうが!!」
「銀時。ここはちゃんと謝ろう。私も一緒に謝るから」
「お母さんんんんん!!」
「パトカー拝借してすみませんでした。修理費も払えないと思います。勘弁してください」
「拝借ってお前ら。パトカーも俺もボロボロじゃねーか!!ただの強盗だ、ボケ。つーか修理どころか今頃海の藻屑だから!!新しいの買わなきゃだから!!」
「元々ボロボロの顔じゃねーか!!かえって二枚目になったんじゃねーか」
「マジでか!!どのへん!?」
オレンジき染まった波が静かに寄せては返す。
相変わらず銀時たちの怒鳴り声が響いている。
さっきまで命のやり取りをしていたとは思えないほど、穏やかな時間だった。
「…姉上」
新八は何かを言おうとして、言葉を飲み込んだ。
「俺…」
「行きなさい。あの人の中になにか見つけたんでしょ。行って見つけてくるといいわ。あなたの剣を」
「私は私のやり方でさがすわ。大丈夫、もう無茶はしないから。私だってしんちゃんの泣き顔なんてみたくないからね」
取っ組み合いを始めた銀時達の元へ新八は勢いよく駆け出した。
