第13訓
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なんだかんだで無事に船を降りた万事屋一行。
「アー、ダメっスね。ホントフラフラして歩けない」
「日ぃ浴びすぎてクラクラするヨ。おんぶ」
新八と神楽は地面に座り込んだまま、立ち上がろうとしない。
「何、甘えてんだ腐れガキども。誰が1番疲れてっかわかってんのか!二日酔いのうえに身体中ボロボロでも頑張ったんだよ銀さん!」
「僕らなんて少しとはいえ、ヤバイ薬かがされたんですからね!」
「つきあってらんねー、俺、先帰るからな」
銀時はさっさと歩き出すが、新八と神楽は全く動く気配がない。
銀時自身も足取りは重い。
二日酔い。
身体中の傷。
それに加えて、散々暴れ回った後だ。
本当なら銀時も座り込んでいたいくらいだった。
だが、それを口にしたところで誰かが助けてくれるわけでもない。
そう思って歩き出したところで、背後から声がした。
「……乗る?」
振り返る。
薬の効き目も少しずつ薄れ、なんとか身体に力が戻ってきた結衣が、二人の前へ回り込み、静かにしゃがみ込んでいる。
「いい加減にしろよコラァァァ!!上等だ、おんぶでもなんでもしたらァ」
刹那
新八と神楽が飛び上がり、そのまま駆け出した。
「元気爆発じゃねーか、おめーら!!」
「銀ちゃん、私ラーメン食べたくなってきたヨ」
「僕、寿司でいいですよ」
「バカヤロー、誕生日以外にそんなもん食えると思うなよ!!」
結局、新八を背負い、神楽を抱え、銀時はまた歩き出す。
「…ったくよ〜重てーな、チクショッ」
文句を言いながらも、二人を振り落とすことはない。
数歩進んだ所で、銀時はふと足を止めると振り返る。
「結衣、帰るぞ」
「うん」
結衣はゆっくりと立ち上がる。
まだ足取りは少し覚束ない。
それでも、小さく笑って銀時の後を追いかけた。
重そうな口ぶりとは裏腹に、歩く速さだけは昔と変わらない。
結衣が無理なくついて来られる速さだった。
万事屋の居間には、いつものように食器の音とテレビの音が響いていた。
神楽がご飯を食べ、新八が今日の出来事を振り返りながら話している。
その向かいで、結衣は湯呑みを持ったままぼんやりしていた。
銀時がふと顔を上げる。
「なんかお前顔色悪くね?」
銀時のその言葉に結衣は顔を上げると、新八と神楽を順に見る。
「体調悪いの?」
「いや、お前な」
銀時は呆れたように眉を寄せる。
「私?」
「ほんとアル」
「確かにそうですね。結衣さんも薬かがされたんですか?」
「あー、かがされたっていうか…飲まされた?」
「飲まされたァ!?」
「あのヤバイ薬をですか!?」
「なんでそれを今まで黙ってたネ!」
耳を塞ぎたくなるような大声。
「いや、聞かれなかったし。時間が経ったら効果も落ちると思って…」
「今から病院行きましょう!病院!」
「この時間はもうあいてないよ。それに全然平気だよ」
銀時は何も言わずに立ち上がる。
そのまま結衣の前まで歩いてくると、返事の代わりに額へ手の甲を当てた。
「なに?」
「……あっつ」
「そうなんだ」
「そうなんだじゃねーよ」
銀時は手を離す。
「新八ー、体温計あったろ」
「あー、確かあの辺に…」
「気付いてなかったアルか」
「ちょっと頭痛くて体だるかったから、そのせいだと思ってた」
「いや、その原因だろ」
「体温計ありました」
どうぞ。と結衣にそれを渡す。
「え?」
「ちょっと測ってみてください」
「あー、うん」
ピピッという機械音。表示されたのは38.6℃。
「え、これで気が付かなかったんですか?」
「アホアル」
「そんなに?」
結衣は体温計を覗き込む。
「……本当だ」
「本当だじゃねーよ」
銀時は呆れたように頭をかいた。
「今日はもう寝ろ」
「でも、ご飯の片付けが」
「僕やっときます」
「洗濯も」
「私に任せるヨロシ」
「お風呂」
「知らねェ、とりあえず寝ろ。」
「……でも」
なおも何か言おうとした結衣の頭を、銀時は軽く小突く。
「いて」
「「でも」禁止」
「だって」
「却下」
銀時は立ち上がると、結衣を立たせ肩をぐいと押した。
「わ」
「結衣おやすみヨ〜」
「おやすみなさい結衣さん」
「え、ちょっと待ってよ。ねぇ」
そのまま半ば強引に部屋まで連れて行かる。
布団の前まで来ると、銀時は結衣の肩を軽く押す。
ぽすん、と布団の上へ尻もちをついた。
「わ」
「横」
「え?」
「なる」
「待ってまだ話しが」
有無を言わさない銀時がもう一度結衣の肩をぽんと押す
バランスを崩し、そのまま布団へ横たわる。
「あ」
「反論却下」
「銀時」
「目ェ閉じろ」
「でもまだ」
「三」
「え?」
「二」
「いや、だから」
「一」
布団を頭までばさりとかぶせられた。
「おやすみ」
しばらく布団の中でもぞもぞと動いていた結衣だったが、
「……おやすみ」
観念したような小さな声が返ってきた。
「最初っからそうしとけ」
銀時は小さく息をつくと、部屋の明かりを消して襖を閉めた。
翌朝。
居間へ入ると、朝食の匂いが漂ってきた。
台所を覗くと、エプロン姿の結衣が小さなスプーンで味噌汁の味見をしていた。
銀時に気付くといつも通り振り返った。
「おはよう銀時」
「…はやくね?」
「いつも通りだよ?」
顔色は昨日よりマシになっている。
「…お前、調子は?」
「昨日いっぱい寝たから平気」
「そういう問題じゃねーんだよ」
「熱も下がってると思うよ」
「測ったのか?」
「測ってないけど」
「なんでだよ」
結衣はきょとんと首を傾げる。
「元気だから」
「……」
銀時は何か言いたそうにしたが、結局ため息だけを吐いた。
調理道具の洗い物に手を伸ばそうとすると結衣の襟首を、ぐい、と掴む。
「はい、ストップ」
「え」
「今日は座ってろ」
「でも」
「「でも」禁止」
「またそれ?」
「またそれ」
結衣は少しだけ困ったように笑った。
2/2ページ