第1訓
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ようやく役人からも解放され、新八達とも別れて帰路につく。
どこかへ置いてきたというスクーターを回収するために歩いていた。
日も完全に落ち、辺りは真っ暗。空には小さな星がキラキラと輝いている。
「……ったく。お前も相変わらずだな」
銀時は頭をかきながら苦笑いした。
「一人で行かせたくなかったんだろ。」
結衣は1度銀時を見上げ、あー…、と小さく声を漏らす。
そして少し考えてから頷いた。
「……うん、そうだよ」
銀時は眉をひそめる。
「……何だ、その間」
「え?」
「いや、お前今なんか引っ掛かっただろ」
「…」
「他に理由あったのか?」
「……いや?」
「いやじゃねぇ。言え。」
結衣は少し困ったように視線を泳がせる。
銀時の言葉は間違っていなかった。
お妙を一人で行かせたくなかった。
それは確かだ。
もしもの時、一人より二人の方がいい。
少しでも力になれればと思った。
だからついて行こうと決めた。
けれど、それだけではなかった。
一緒に働けば、お妙と新八の借金も早く返せるかもしれない。
万事屋の生活も、少しだけ楽になるかもしれない。
結衣の中では、その全部が同じくらい自然な理由だった。
だから銀時に「一人で行かせたくなかったんだろ」と言われても、どれを先に答えればいいのか、一瞬だけ迷ってしまったのだ。
「あー……だから……」
「……」
「……生活費」
真顔で答えると、銀時は固まり、聞き返す。
「……は?」
「生活費」
「……は?」
「生活費」
「いや、何の」
「万事屋の」
「いやいやいや。お前、自分がどこ連れて行かれて何させられるか分かってたよな?」
「うん」
「じゃあ何で行った」
「働けば、お妙ちゃんと新八くんの借金も返せるかなって。あと、少しうちの生活も楽になるかなって。」
「…………お前なァァァ!!!」
思わず声を荒げる。
しかし、途中で力が抜けたように頭を抱えた。
「いや…もういいわ、俺が勘違いしてたわ。お前ってそう言うやつだよな」
「銀時」
「…んだよ」
「パンツって返してもらえると思う?」
「…………は?」
「洗濯してから返却なのかなって。」
「…待て。今お前、ノーパンじゃねぇだろうな」
「履いてるよ?でも脱ごうとした時に思ったの。脱いだパンツってどうなるのかなーって」
「…」
「返してもらえるなら洗って返してほしいし。替えも持ってなかったから帰りどうするのかなって、聞いたけど答えてくれなかった。」
返事を返す気力さえなくなった。
「新しいの買わなきゃいけないのはなんか嫌じゃん。まだ履けるのにもったいないもんね!」
そう言って笑う結衣を見て、小さく息を吐く。
「そうだ、この着物可愛くない?」
銀時は改めて結衣を見る。
いつもの動きやすい着物じゃない。
丁寧に結われた髪。
簪。
少しだけ見慣れない姿。
着物の袖を嬉しそうに眺め、小さく笑う横顔。
「着物と簪まで貰っちゃった。なんか得した気分。普段自分じゃこんな髪の毛も綺麗に結べないしね」
「……」
似合ってんな。
でも口から出るのは、
「……さっさと帰るぞ。」
「うん」
