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Love song -side B-

「………」

父親は困った顔で少年を眺め、少年はダンボールに落としたままだった目線をようやくあげた。

「母さんは、怒らないかな」

父親は笑って、そうだなあ、とのんびりした声で答える。

「母さんを怒らせないためにどんな言葉を選んだらいいのか、それを考えるより…お前がどうしたいのかを考えてごらん」
「……どう、したいか…」

キラワレタクナイ。コマラセタクナイ。イラナイトイワレタクナイ。


さっきまで抱えていた色んな感情が少しずつほどけていく。
ほんとうに守りたいのは、自分自身じゃなくて、この腕の中の小さな命達だ。
それなら、やるべきことはきっと他にある。


(結果を押しつけるひとりよがりの幸せより、賭けてみるくらいの勇気はあるはずだろう?
――さあ。踏み出せ。お前は独りなんかじゃない)


少年の脳裏に一瞬の囁きが横切ると同時に玄関が大きく開かれた。

「…あ、ああ…!よかった、帰らないから心配したのよ!あなたも一緒だったのね」
「いや、僕はそこの公園で偶然…な?」

父親の呼びかけに急いでうなずいて、少年は母親に向き直る。

「母さん、あの…!お願いがあるんだ」
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