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Waltz

「俺ははっきり言ってお前なんか大嫌いだった。自分でなにもかも解決できるフリをして、抱えこんで、笑顔を作って、そんなところが全部、大嫌いだった」
「…本当にはっきり言うんだな」

苦笑という言葉がぴったりの顔でMが笑う。

「…けど、もうこれが最後だから。言っておかなきゃ、それこそ後悔しちまうだろ」

Mは何も言わずにまっすぐ俺を見てくる。
俺もしばらく黙ってMの視線を受け止めた。

「…それでも俺はお前といられてよかった。いいことなんてなかったけど、お前がいてくれて安心してたのは本当だ。だから…」

うまく表現できる言葉が見つからなくて沈黙が続き、それでもMは静かに俺の言葉を待っている。

「お前がいたからここまでこれた気がするのは確かだ。なのに俺は何もできなかったから…せめて、謝らせてくれ」

生まれて初めて、そして死んで初めて頭を下げてまで人に許しを願った気がした。
積み重ねてきたなにもかもをぶつけて、やっと素直になれたのはこいつが初めてかもしれない。

「…じゃあさ、黒。一つだけ、罰を与えてもいいか」

ああやっぱり、許されることなんてない。
だけどかまわない。それすらも自分の決めたこと。
初めて許されないことを犯してしまった時から、それを罰して欲しくて罪を塗り重ねていたことも事実なんだ。
俺はもう、誰のせいにもしない。



Mがゆっくりと口を開いて、

「ずっと俺のそばにいてくれないか」

紡がれた言葉に耳を疑った。

13.11.28
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