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Toccata

あの件があって以来、神様はぼくをやたらとそばに置きたがるようになった。
何か怖いことがあるのか、そう聞いたけど黙って笑ったまま。

…ねえ神様、ぼくは自分が怖い目にあうのかが心配なんじゃないよ。
神様がなにをそんなに恐れているのか知りたいんだ。


『…神様、ぼく、遊びに行っちゃダメ?』
「どこに?」
『神様の目の届くところ』

それはとてつもなく広く、ぼくが丸一日かけたってその端にすらたどりつけない。
それでも神様はとても心配そうな顔をした。

『大丈夫だよ、あの世界にはもう行かない』

そう言うとやっと安心したみたいに神様は笑った。
…というか、こう言わないかぎり神様の不安はなくならないらしい。


世界の傍らで佇む神様に手を振って、ぼくは出かけた。





今日のお出かけは昨日よりほんの少し遠い場所。
毎日こうしてお出かけの範囲を広げて、何か新しいものがないか探すのがとても楽しい。
見つけたものをお土産にすると神様もとても嬉しそうに笑うんだ。

『なーにがあるかなー?今日はー』

適当な歌を歌いながらくるくる回って、それにつられて尻尾もふらふら揺れる。
だいぶ伸びたこれはまだ思うとおりにならなくても気にならなかった。
歌にあわせて動くなんてこれほど面白いものはない。
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