Nocturne

『……そろそろいいかな?』

カミサマは今日もおしごと。いつもいつもずっと同じところを見てるだけの、大切なおしごと。
ぼくはずっといっしょにいるしかなくて、でもそれだけでもとってもたのしい。
あの丸くておおきくて青くてきらきらの周りを赤いのと白いのとちっちゃなきらきらがくるくるしてるのは毎日見てもあきない。
一人で家の中にいるしかできなかったあの頃にくらべたら、カミサマといる方がずっといい。

でも今日はカミサマといっしょにいるのをぼくがお休みした。
こっそりおでかけしたくて初めてウソをついた。
なんだかおなかがぐるぐるするの、って言ったら本当におなかがぐるぐるして胸もぐるぐるして苦しかった。
カミサマも苦しそうな顔をしたけど、大丈夫だからおしごとしてきて、って言ったんだ。


ウソをつくのはいやだったけど、どうしても行かなきゃいけないところがあったんだ。



『…ここ、かな』


真っ黒な扉が異様な存在感で立ちはだかる。
一度だけカミサマがここにきて、この先には絶対に行っちゃいけないって言ったのを覚えていた。

少し怖いけど、でも。
でも、カミサマは闇の世界のことを話すととても悲しそうで、だからぼくはなんとかしたくって。
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