（グチャグチャになった紙に書かれた、よくわからない言葉の羅列）



誰かに気付いてほしくてこれを残す。

もしもまだ世界が続いているなら、続けているやつがいるならそれをどうか止めてくれ。
俺が諸悪の根源だった。俺が悪いんだ、いつも（何かを書きなぐって消されている跡が残っている。よく読めない）

最初はただ単に、世界をうまく廻したいだけだった。
なにもかもうまくいかなかった世界をリセットして、１からやり直せばきっとうまくいくと考えていた。
俺は、ただ（字が滲んでいる）なんだ。

でも駄目だった。うまくいかなかった。どうしてかはわからない。
わからなくて、でも諦めきれなくて、また世界を始めた。
そのあともやっぱりうまくいかなくて、どうしてかわからなくて。
そうやって繰り返しを積み重ねていくうちに、まだ人間だった頃の記憶がなくなっていることに気が付いた。
たぶん、神になって、強くならなきゃいけないから、だから捨てた弱さと一緒にはがれているんだと思う。
世界がなくなった後のあの暗い渦に、消えてしまったんだと思う。

最近とても怖いんだ。このままなにもかも忘れて、理由もわからないのに世界を動かすだけの神になってしまいそうで。
だって、そうなってしまったらきっと、かつて俺が味わったあの苦しさは無意味になる。
あんなに辛いことはもう嫌なんだ。味わいたくないんだ。
知らないうちに周りを不幸にするような「神」になんか俺はなりたくない。

俺にあまり時間は残されていない。
すべて忘れてしまう前に、手を打たなければ同じことが必ず起きる。
俺のせいで誰かがまた壊れる前に、早く。

すべてうまくいったら傷つくことなんてない。
皆がきっと笑顔になれる、きっと幸せになれる。
そのために、なにかできるはずなんだ。