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Silent

箱の中に閉じ込めた猫とウサギ。
閉じ込めたから、守ったつもりでいた。

こんなちっぽけで無力な自分でも、守れるものがあると勘違いしていたんだ。


現実はそうじゃなかった。
かけがえのない何よりも大切なものは、簡単に壊される。消えていく。

砂の城が波にさらわれるよりもあっけなかった。
想像もしなかったんだ。まさかあんなことになるなんて。
あの世界は小さかったけれど、俺しか知らなかったから、きっと大丈夫だって思ってた。

俺は、もうあの友達の名前を思いだせないけれど。

あの悲劇を忘れることはない。


だから、迷うこともない。



生きるか死ぬか。半死なんてありえない。
可能性は五分と五分。終わりを見据えて、どうするのかをじっくり吟味するだけだ。


終息させるなんて簡単だ、感情を殺してしまえ。
いらないんだ。なにもかも。俺が壊れてしまっても、残るものはあるんだから。

信じろ。疑うな。思いこんでしまえ。
きっと自分ならできる、どれだけ痛みや苦しみを味わったって平気なんだ。
ほら、いつも忘れないようにしている呪文をとなえよう。


大丈夫。大丈夫。俺は大丈夫だから。
なにも心配なんていらないよ。
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