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Silent

箱の中で大切にしていた猫とウサギ。
フタをあけたら死んでいた。
自分しか知らないはずの世界の中で、死んでいた。

枯れ果てたはずの涙がまた溢れ、頬を伝って落ちていく。
なんで、守れなかったんだろう。
大切に思っていたのに。ずっと一緒にいたいと願っていたのに。
生きてさえいれば幸せになれると信じていたのに。

誰からも疎まれて蔑まされて、それでも。そんな自分でも幸せになれるんだと。
誰かにそう言われたわけじゃない。言ってくれる人なんていなかった。
自らがそう思いこまなければならないほど毎日毎時毎秒が針のむしろだった。

そんな中で出会えた小さな友達が。ただ一筋の光が奪われてしまった。


一度目に泣き叫んだ時は涙が熱かった。
もうかえらない小さな命をおもったから。
二度目はとても冷たかった。
勝手に滅んだ世界に呆れていたから。
三度目の今は何も感じなかった。
たぶん、夢の中だから。


こうして過去を夢に見るたびに、まだ人間だった頃の記憶は消えていく。
猫とウサギの名前も忘れてしまった。

ああ、あいつらはどうして死んでしまったんだろう?
どうしてあんなに真っ赤に濡れて冷たくなっていたんだろう?

思い出せないけれど、これだけは忘れずにいよう。



俺はもう、誰かを信じることは二度とない。
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