Discord

この先にはまだ過酷なことが待っているかもしれない。
そうなったとしても折れない精神を持たなきゃ神なんてやれない。
やっちゃいけないんだ。

必死になって、足掻いて、そんなことすらしなかった俺には何かを失った瞬間に咆哮するほど苦しくなる資格なんてない。

今、ここで、自分自身が本当に満足できるような努力を尽くさなければ。
俺がそうしなきゃ誰が代わりをするんだ。誰もいない。
俺じゃなきゃこんなことはできない。
俺一人があの業を背負えるならいくらでも背負ってやる。
背負ってなんとかなるものじゃないかもしれない。
でも何もしないなんて絶対に嫌だ。
何かを成せば必ず成果も結果も己にかえる。
未来がどうなるかを不安がって動けずにいたあの頃とは違うんだ。
可能性があるならどんなことだってやってみせる。

たとえそれが人間に恨まれるようなことでも、憎まれるようなことでも。


…大丈夫。なんとも思わない。

どうせ今生きている人間なんかいつでも殺せるしわざわざ手をくださなくったって、まばたきをしている間に死んでいく。
あっけないもんだ。そんな奴らにかまう暇は俺にはない。


すべての生命が笑っていられる、そんな世界の実現の前にはちっぽけな犠牲だ。
人間だって平気で命の取捨選択をしてるんだ、俺がやったってかまわないはずだ。

…ああそうだ、元々誰かに許可を得る必要すらないんだっけ。


それに気付いて、口元を少し斜めに上げる。
まだ笑えることに自分でも驚いて、ますます笑みを深める。
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