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Discord

――見たくなかった結末に目を閉じた。

…また、世界が終わってしまった。何度目かは覚えていない。
もうそんな次元はとうに過ぎてしまった。

断末魔に似た地響きに耳を傾け、酷い音だと眉をひそめる。

「もう一度…はじめよう、世界を」

混沌に投げた星のカケラ達が渦の中に吸い込まれて溶けていく。
ここから先は当分やることがない。

そういえばさっき黒が来たな。ずいぶん不機嫌そうだった。
なんであんなに怒っていたんだろう。
俺が間違っているとは思えない。
それとも黒の言っていることが正しいのか?
俺のしていることは本当は悪いことなんだろうか?
よく分からない。だから何がいけないのか、何が黒をあんなに苛立たせるのかも分からない。

だって俺は俺の世界を幸せにしたいだけなんだ。
感謝なんかされなくていい。
俺の力でいくらでも運命を変えられるのならどんなことだってやりたい。
それが実を結ばなかったのなら、それはきっと。

きっと、人間達が悪いんじゃない。

俺が俺自身の力をまだまだ信じられていないからなんだ。
過去はほとんど忘れてしまったけれど、過去の余韻が心のどこかに巣食っているのかもしれなくて、つまり俺はまだ。
まだ、強くならなきゃ、世界に幸せを届けるなんて無理なんだ。

誰かを幸せにしたいなら、もっと、もっともっともっともっと、生きたまま内臓を引きずり出されたって平気な顔をしていられるほどに、いやそれじゃ甘い、眼球を、心臓を抉られても笑顔でいられるくらいに強くならなきゃ駄目なんだ。
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