Discord
渦を巻く闇。ぐるぐると回るそれは底が見えない。
その側に座り込む少年の瞳も虚ろに染められていた。
「いつまでそんなことをしてるつもりだ」
少年の後ろに音もなくもう一人の少年があらわれ、あからさまに不機嫌そうな声を出す。
「いつまで…って、いつまでも、だ。世界は未完成すぎるから」
問いかけた方の少年が小さく舌うちをして座ったままの少年の胸倉をつかんで無理やり立たせた。
「どれだけ繰り返そうが、人間なんかどこまでいっても同じだ。自分だけが可愛い生き物を世話してやる義理なんざねぇだろ」
「…そうか?」
「そうだ。そうに決まってる!じゃあ聞くけどな、死の瞬間にお前に感謝の言葉を告げた人間がこれまで一人でもいたか?いねぇだろうが!!」
淀んだ目つきのままの少年が相対した少年を見た。
「俺は別に礼が欲しくてこんなことをしてるわけじゃない」
「…っ!そういうことが言いてぇんじゃねぇよ…!!」
苛立つ少年が相手の襟元を掴んだままの拳を強く握りしめて、しかしそれをすぐさまほどいた。
自然に掴まれていた少年の体が一瞬浮いて、すぐ地へと力なく崩れ落ちる。
「…もういい。勝手にしろ」
どこからともなく現れた少年は、来た時と同じように何の前触れもなくその場からかき消えた。
その側に座り込む少年の瞳も虚ろに染められていた。
「いつまでそんなことをしてるつもりだ」
少年の後ろに音もなくもう一人の少年があらわれ、あからさまに不機嫌そうな声を出す。
「いつまで…って、いつまでも、だ。世界は未完成すぎるから」
問いかけた方の少年が小さく舌うちをして座ったままの少年の胸倉をつかんで無理やり立たせた。
「どれだけ繰り返そうが、人間なんかどこまでいっても同じだ。自分だけが可愛い生き物を世話してやる義理なんざねぇだろ」
「…そうか?」
「そうだ。そうに決まってる!じゃあ聞くけどな、死の瞬間にお前に感謝の言葉を告げた人間がこれまで一人でもいたか?いねぇだろうが!!」
淀んだ目つきのままの少年が相対した少年を見た。
「俺は別に礼が欲しくてこんなことをしてるわけじゃない」
「…っ!そういうことが言いてぇんじゃねぇよ…!!」
苛立つ少年が相手の襟元を掴んだままの拳を強く握りしめて、しかしそれをすぐさまほどいた。
自然に掴まれていた少年の体が一瞬浮いて、すぐ地へと力なく崩れ落ちる。
「…もういい。勝手にしろ」
どこからともなく現れた少年は、来た時と同じように何の前触れもなくその場からかき消えた。
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