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陽が傾く前には
テーブルの上に色とりどりの前菜と木製のコップが
店内のいたるところには樽が大量にセッティングされていた。
もちろん樽の中は全てお酒だ。

キッチンでは前菜もびっくりするほど大量の肉や魚を手分けして調理している。
あさのすけもその１人だった。
リリィに、白ひげ自身も入店するらしいから彼に料理を数種類作ってくれと頼まれ、前向きになれない気持ちを、料理に向き合うことで一時でも忘れることにした。

あと数刻で白ひげと隊長陣がくる。
豪華な客の、その中にはもちろんマルコもいるはずで、あさのすけは無意識にため息をついた。
(キッチンから出ない)
宣言通りにただひたすら自分の仕事をこなしていればいい、あさのすけ自分に言い聞かせた。


肉が大量の大皿に盛られ、魚も同じように皿の上で小洒落に並べられ、テーブルの上に配置をする頃には
白ひげ海賊団の隊長陣がぞろぞろと店に顔を出し始めた。

腹が減ったとテーブルの上のご馳走に手を出そうとするエースと
その手をやめとけと軽くつねるイゾウ、
並んだ料理に興味津々のサッチ、
エースとイゾウのコントじみたやりとりをケラケラと笑う他の隊長陣
なんとも言えない顔をしたマルコも
豪快に笑い屈みながら店に入った白ひげが、人二倍ほど大きい酒の入ったグラスを手にとり掲げると、すぐさま静まった。
手にはいつのまにかグラスを持っている。

「お前ら、今週にゃこの島を出る。
愛する息子の町は居心地はァいいが……おれらはァ海賊だ。
だから
思う存分食って飲んで腹ん底から楽しみまくれ！！！野郎共ォ〜〜〜！！！」
「「「おおおお！！！！」」」

なんとも白ひげ海賊団らしい豪快な乾杯に
空気が地面が揺れた気がした。
気のせいではないかもしれない。
リリィは一瞬で料理の無くなる皿を、器用に下げていく。そして作られた料理を最初からあったかのように自然に配膳していく。
フロアとキッチンを兼任する子が、興奮気味に料理を出しに行く。
その興奮はリリィの姿にか、白ひげ海賊団たちにかはあさのすけには分からなかったが
戻ってきたその子が、白ひげが満足そうに手元に並ぶ料理を食べていたと聞いて
あさのすけも、人知れず嬉しくて興奮したのだった。