A 道端の雑草
なまえをおしえて。
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04
上陸前に島の状況を確認するのは、飛行ができなおかつ鳥に姿を変えることのできるマルコの役目だった。
サッチやエースが行くこともあったが、彼らの偵察は偵察にならないことが多い。彼らを選ぶ自分がいけないのだが、そろそろちゃんと偵察という任務を全うしてもらいたいものだ。とも思う。
そうは言うものの、こうして夜風に乗るのも悪くない。
(今日の風は気持ちがいいよい)
偵察と言っても、ほぼほぼ問題ないことは先遣隊の情報で知っていた。
あの島には昔船を降りた家族がいて、彼は親父の気持ちを汲んで孤児を育て、他の海賊から町を守っている。
彼らは白ヒゲの名に守られていることを知っている。そして、心から自分たちを歓迎してくれる。
海賊を堂々と歓迎する町なんて、ここぐらいなものではないか。
月光に照らされよく見える町を、マルコは柄にもなく愛おしく感じた。きっと親父もそういう思いで何度もここに立ち寄るのだろう。
それにしても、いつもどおり夜は人ひとりいない。朝早く活動し、日とともに休むのがこの町の特徴だ。
といっても明日の朝、船が港に着けば離島するまで昼夜問わず騒がしくなる。
この町の静かさを知るのは、今夜空を飛ぶマルコだけかもしれない。
(こういう静かなところで、一杯ひっかけるのも悪くないよい)
酒が恋しいな、と本気か冗談か。
マルコは島を一周して船に戻ったらサッチの隠し酒でも飲もうと思った。
(ん?誰かいるねい)
よく見ると屋根の上をゆっくり歩く人の姿が見えた。なんとも鈍いが、慣れた足取りで屋根から石畳の階段に移ると、そのまま上へと歩いていく。
その先に何かあるのか、それともただの散歩か。
町の人間の顔を全員把握しているわけではないが、少なくとも前回見たことない女だとマルコは思った。
(おや、立ち止まった)
黒く長い髪が月に照らされ反射する。
広場を見渡して振り返った女の視線は、モビーディック号に
白ヒゲの船が珍しいのだろうか。
数分見つめたまま動かない。
(なんだろうねい…敵意はないみたい、だが。)
マルコの目にはその女が、ただ見つめてるだけとはどうも思えなかった。確証はない。ただ本能はそう言っている。
(だがしかし…どこかで。)
俯きがちになった女はやがて、左肩をかばうように丸みのある体を縮こませた。
ふくよかな身体、誰よりも深い黒髪
やはりあの後ろ姿をマルコはどこかで見覚えがあった。
「どうする…私…。」
女の呟きはどんな意味なのか。
害意はないと判断したマルコはその女を横目に、船へと体を旋回した。
(明日、調べてみようかねい)
上陸前に島の状況を確認するのは、飛行ができなおかつ鳥に姿を変えることのできるマルコの役目だった。
サッチやエースが行くこともあったが、彼らの偵察は偵察にならないことが多い。彼らを選ぶ自分がいけないのだが、そろそろちゃんと偵察という任務を全うしてもらいたいものだ。とも思う。
そうは言うものの、こうして夜風に乗るのも悪くない。
(今日の風は気持ちがいいよい)
偵察と言っても、ほぼほぼ問題ないことは先遣隊の情報で知っていた。
あの島には昔船を降りた家族がいて、彼は親父の気持ちを汲んで孤児を育て、他の海賊から町を守っている。
彼らは白ヒゲの名に守られていることを知っている。そして、心から自分たちを歓迎してくれる。
海賊を堂々と歓迎する町なんて、ここぐらいなものではないか。
月光に照らされよく見える町を、マルコは柄にもなく愛おしく感じた。きっと親父もそういう思いで何度もここに立ち寄るのだろう。
それにしても、いつもどおり夜は人ひとりいない。朝早く活動し、日とともに休むのがこの町の特徴だ。
といっても明日の朝、船が港に着けば離島するまで昼夜問わず騒がしくなる。
この町の静かさを知るのは、今夜空を飛ぶマルコだけかもしれない。
(こういう静かなところで、一杯ひっかけるのも悪くないよい)
酒が恋しいな、と本気か冗談か。
マルコは島を一周して船に戻ったらサッチの隠し酒でも飲もうと思った。
(ん?誰かいるねい)
よく見ると屋根の上をゆっくり歩く人の姿が見えた。なんとも鈍いが、慣れた足取りで屋根から石畳の階段に移ると、そのまま上へと歩いていく。
その先に何かあるのか、それともただの散歩か。
町の人間の顔を全員把握しているわけではないが、少なくとも前回見たことない女だとマルコは思った。
(おや、立ち止まった)
黒く長い髪が月に照らされ反射する。
広場を見渡して振り返った女の視線は、モビーディック号に
白ヒゲの船が珍しいのだろうか。
数分見つめたまま動かない。
(なんだろうねい…敵意はないみたい、だが。)
マルコの目にはその女が、ただ見つめてるだけとはどうも思えなかった。確証はない。ただ本能はそう言っている。
(だがしかし…どこかで。)
俯きがちになった女はやがて、左肩をかばうように丸みのある体を縮こませた。
ふくよかな身体、誰よりも深い黒髪
やはりあの後ろ姿をマルコはどこかで見覚えがあった。
「どうする…私…。」
女の呟きはどんな意味なのか。
害意はないと判断したマルコはその女を横目に、船へと体を旋回した。
(明日、調べてみようかねい)