A 道端の雑草
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02
ヴァルターから聞いた白ひげ海賊団の情報とそれに合わせて追加する発注を女主人のリリーに伝えると彼女はいつも以上に熱のある表情であさのすけに「掻き入れ時だねぇ!腕がなるよ!」と笑った。
町に海賊船が停泊するのは滅多なことではない。
むしろ、この町の大きな収入源は商船や海賊船の乗組員である彼らが町で買い込んだり酒や飯をふんだんに食べていく代金である。
彼らは羽振りがとても良い。
だから、リアンが届けた情報はまず町役場に行きそこからすぐに町に伝わる。
あさのすけが店を出る頃には、海賊団を受け入れられるように町全体が準備で賑わい始めていた。白ひげということもあり、いつも以上に張り切っているようにも思えた。
白ひげ海賊団はこの町にとって大事な海賊だ。
その理由は彼らがこの町を縄張りの1つにしているから。白ひげの統治下ということは、他の海賊団は迂闊に悪いことができない。
ということは、彼らがあるおかげでこの町は平穏を保つことができる。それを町全体が理解していた。
「白ひげ、海賊団……。」
それはあさのすけにとっても大事なことだった。
あさのすけは、生粋の町の人間ではない。
1年ほど前に商船を通じてこの町に流れ着いた。それまでは1ヶ月毎に島や町を住み替えていた。
まるで逃げるように…というよりは、彼女は実際逃げていた。ある海賊団から。
だから、海賊団の情報を聞くと停泊から離島までの期間彼女はキッチンに籠るか住み込んでいる部屋から出なくなる。それでも以前のように、島自体から逃げなくなったのは、この町だから。
この町に住む三分の一は過去に海賊によって酷いことをされた人間だ。元奴隷もいる。
昔、白ひげの統治下になったばかりの頃、彼の提案で行く宛のない孤児などがこの島で育てられた。
その子供が今の大人になり受け入れの風土を循環させている。
ヴァルターも、リリーもその時の孤児だった。役場の町長は白ひげの船にいた1人という噂はあるが真相はわからない。
だが、だからこそ彼らは白ひげ海賊団が来ると聞くといつもの2倍、3倍張り切る。
そして、そんな彼らだからあさのすけは過去を話してこの町に匿ってもらっていた。
逃げ出したあの日が今でも忘れられない。
(あの日だけじゃ…ない。)
3年も前なのに、思い出すだけで背中の傷が痛む。
いつもより赤い夕焼けと波の音がまるであの日と重なる。
あさのすけは唇を噛み締めた。
そしてぽつりと、呟いた。
「自分の世界に帰りたいよ…。」
あさのすけはこの町どころか、この世界の住人でもなかった。
ヴァルターから聞いた白ひげ海賊団の情報とそれに合わせて追加する発注を女主人のリリーに伝えると彼女はいつも以上に熱のある表情であさのすけに「掻き入れ時だねぇ!腕がなるよ!」と笑った。
町に海賊船が停泊するのは滅多なことではない。
むしろ、この町の大きな収入源は商船や海賊船の乗組員である彼らが町で買い込んだり酒や飯をふんだんに食べていく代金である。
彼らは羽振りがとても良い。
だから、リアンが届けた情報はまず町役場に行きそこからすぐに町に伝わる。
あさのすけが店を出る頃には、海賊団を受け入れられるように町全体が準備で賑わい始めていた。白ひげということもあり、いつも以上に張り切っているようにも思えた。
白ひげ海賊団はこの町にとって大事な海賊だ。
その理由は彼らがこの町を縄張りの1つにしているから。白ひげの統治下ということは、他の海賊団は迂闊に悪いことができない。
ということは、彼らがあるおかげでこの町は平穏を保つことができる。それを町全体が理解していた。
「白ひげ、海賊団……。」
それはあさのすけにとっても大事なことだった。
あさのすけは、生粋の町の人間ではない。
1年ほど前に商船を通じてこの町に流れ着いた。それまでは1ヶ月毎に島や町を住み替えていた。
まるで逃げるように…というよりは、彼女は実際逃げていた。ある海賊団から。
だから、海賊団の情報を聞くと停泊から離島までの期間彼女はキッチンに籠るか住み込んでいる部屋から出なくなる。それでも以前のように、島自体から逃げなくなったのは、この町だから。
この町に住む三分の一は過去に海賊によって酷いことをされた人間だ。元奴隷もいる。
昔、白ひげの統治下になったばかりの頃、彼の提案で行く宛のない孤児などがこの島で育てられた。
その子供が今の大人になり受け入れの風土を循環させている。
ヴァルターも、リリーもその時の孤児だった。役場の町長は白ひげの船にいた1人という噂はあるが真相はわからない。
だが、だからこそ彼らは白ひげ海賊団が来ると聞くといつもの2倍、3倍張り切る。
そして、そんな彼らだからあさのすけは過去を話してこの町に匿ってもらっていた。
逃げ出したあの日が今でも忘れられない。
(あの日だけじゃ…ない。)
3年も前なのに、思い出すだけで背中の傷が痛む。
いつもより赤い夕焼けと波の音がまるであの日と重なる。
あさのすけは唇を噛み締めた。
そしてぽつりと、呟いた。
「自分の世界に帰りたいよ…。」
あさのすけはこの町どころか、この世界の住人でもなかった。