A 道端の雑草
なまえをおしえて。
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12
マルコは並々注がれた酒に口をつけた。
白ひげと各隊の隊長が集まり酒を飲み交わすこの店は、間違いなくあさのすけが身を寄せている酒場だった。
酒を飲みながらマルコは周囲の様子をさりげなく見るが、巧みに配膳をする女店主と数名のスタッフ以外ホールにおらず、ロバートの言うようにキッチンから出るつもりはないらしいことが窺えた。
チラッとマルコは白ひげを見るが、手元に並べられた料理を美味そうに食べ、今日ぐらいはいいでしょう。と専属のナース達に大目に見てもらった酒を水のように飲んでいる。
マルコも手元の名前のわからない料理達を一口、口に運ぶとそのまま料理に手を伸ばすのを止められなくなった。
旨いなぁと思いつつ、ふと、今日の昼に白ひげと話したことを思い出す。
「おめぇは女をビビらせて帰ってきたってかぁ?」
「……悪いことをしたとは思ってるよい」
こうべを垂れて珍しく落ち込んでるマルコに白ひげは機嫌を悪くするわけでもなく、むしろ想定内だとばかりに苦笑した。
聞けば、朝にロバートが顔を出したらしい。
「マルコ、てめぇの話とロバートの話を聞いてよぉ、オレはそいつをうちで預かろうと考えてる」
「海賊を恐れているなら逆効果なんじゃないかねぃ?」
「…ロバートの手にゃ負えねェ気がしてならねぇのさ」
だから、さっさと謝って船に攫ってこいと豪快に笑っていた。
ただの予感だと言っていたが、そう言うのに限って外した試しがない。
吉凶なのかわからないが---と、店の奥から外に出る気配を感じてマルコは思慮を止めた。
外に出る人物があさのすけであることはわかった。
白ひげと目が合う。
その目は行ってこいと言っていた。
マルコは手元の酒を飲み干すと、さりげなく店から出る。
あさのすけは活気のある港の方、ではなく静かすぎる裏路地を慣れた足取りで歩いていた。
曲がられると追うのも面倒だと思い、塀から住宅の屋根に上がる。
ちょうどあさのすけが扉を叩いているところだった。
(買い出し、ねぇ)
中から出てきた老夫婦にカゴいっぱいにレモンを受け取るところを見ながら、
正直、姿をあらわすタイミングを失っていた。
屋根に登った時点で出辛い、そんな気はしていたが、マルコは小さくため息をついて頭を掻いた。
無事にお使いも終わりそうだねい、と彼女が帰る前に店に戻ろうと腰を上げた時、不穏な気配を感じ上げかけた体を再び屈ませた。
裏路地の影から、すっと男が現れる。
町の人間でないのはすぐにわかった。たしか、小さい港の方にも海賊船が停泊していたなと、存在は知っていた。
マルコはあさのすけに危険が及ぶ前にどうにかしようと考えていた。
だが、その男を見たあさのすけが後ずさりして
「なんで、、」
と小さく漏れた声にマルコは屋根上から乗り出す体を止めた。
あさのすけは裏路地を一目散に決して速くない足で駆ける。男は鬼ごっこを楽しむかのようにゆっくりとした足取りで、確実にあさのすけを追い詰めていた。
マルコはすぐに助けに行かなかった。
ロバートが知らないあさのすけの情報が手に入ると思ったからだった。
反応を見るに絡んでいる海賊はあさのすけを知っている。あさのすけも何かしら知っているから逃げていると思える反応をしていた。
町に害を成すようであれば対処しようとは思っていたが、停泊中の海賊は、良くない噂をきく。
あの時、あの丘での
すぐ壊れそうな彼女の顔が忘れられなかった。
それと同時に白ひげ海賊団一番隊隊長として、あさのすけがどこかの海賊の支配下にいる可能性も捨てられずにいた。
男があさのすけに何かをいうならそれを聞いてから対応しようと考えた。
だが、男は腰に下げていたナイフの峰で震えるあさのすけの頬を撫でると耳元で何かを囁く。
流石にその囁きを聞き取ることは出来なかったが、尋常じゃないあさのすけの怯えに、マルコは思わず屋根から飛び降りた。
マルコが2人の間を割る
男は突然できた影を見た瞬間後ろに飛び退き、降ってきたマルコを見ると少し驚いた顔をした。
(マルコ……?)
あさのすけはガタガタと震えながらマルコの背を見上げる
なぜ急に彼が現れたのかわからない。だが、あさのすけにとって降ってきた救いの主だ。
助けてほしい。
無意識に手をのばしかけて、その手を一度引いた。
--助けてくれるのだろうか?
地獄だった日々がフラッシュバックする。
自分の 能力を 知られたら ?
好きなキャラクターのマルコや白ひげに疎まれたら、蔑まれたら、と心が悲鳴をあげる。
だが、それよりも彼の側にいたい、とあさのすけは強く思った。
引いた手を伸ばし、
マルコの裾を弱々しく引っ張って、小さく言葉を紡いだ
「マ、ルコ……助けて……」
そう言われてその裾を振りほどくほど、
1番隊隊長不死鳥のマルコは、残忍な男ではない。
返事をすることはなかったが、その瞬間にマルコの両肩から青い炎が揺らめいた。
周囲が青白く照らされる。
あさのすけはその姿を、綺麗と思った。
マルコは並々注がれた酒に口をつけた。
白ひげと各隊の隊長が集まり酒を飲み交わすこの店は、間違いなくあさのすけが身を寄せている酒場だった。
酒を飲みながらマルコは周囲の様子をさりげなく見るが、巧みに配膳をする女店主と数名のスタッフ以外ホールにおらず、ロバートの言うようにキッチンから出るつもりはないらしいことが窺えた。
チラッとマルコは白ひげを見るが、手元に並べられた料理を美味そうに食べ、今日ぐらいはいいでしょう。と専属のナース達に大目に見てもらった酒を水のように飲んでいる。
マルコも手元の名前のわからない料理達を一口、口に運ぶとそのまま料理に手を伸ばすのを止められなくなった。
旨いなぁと思いつつ、ふと、今日の昼に白ひげと話したことを思い出す。
「おめぇは女をビビらせて帰ってきたってかぁ?」
「……悪いことをしたとは思ってるよい」
こうべを垂れて珍しく落ち込んでるマルコに白ひげは機嫌を悪くするわけでもなく、むしろ想定内だとばかりに苦笑した。
聞けば、朝にロバートが顔を出したらしい。
「マルコ、てめぇの話とロバートの話を聞いてよぉ、オレはそいつをうちで預かろうと考えてる」
「海賊を恐れているなら逆効果なんじゃないかねぃ?」
「…ロバートの手にゃ負えねェ気がしてならねぇのさ」
だから、さっさと謝って船に攫ってこいと豪快に笑っていた。
ただの予感だと言っていたが、そう言うのに限って外した試しがない。
吉凶なのかわからないが---と、店の奥から外に出る気配を感じてマルコは思慮を止めた。
外に出る人物があさのすけであることはわかった。
白ひげと目が合う。
その目は行ってこいと言っていた。
マルコは手元の酒を飲み干すと、さりげなく店から出る。
あさのすけは活気のある港の方、ではなく静かすぎる裏路地を慣れた足取りで歩いていた。
曲がられると追うのも面倒だと思い、塀から住宅の屋根に上がる。
ちょうどあさのすけが扉を叩いているところだった。
(買い出し、ねぇ)
中から出てきた老夫婦にカゴいっぱいにレモンを受け取るところを見ながら、
正直、姿をあらわすタイミングを失っていた。
屋根に登った時点で出辛い、そんな気はしていたが、マルコは小さくため息をついて頭を掻いた。
無事にお使いも終わりそうだねい、と彼女が帰る前に店に戻ろうと腰を上げた時、不穏な気配を感じ上げかけた体を再び屈ませた。
裏路地の影から、すっと男が現れる。
町の人間でないのはすぐにわかった。たしか、小さい港の方にも海賊船が停泊していたなと、存在は知っていた。
マルコはあさのすけに危険が及ぶ前にどうにかしようと考えていた。
だが、その男を見たあさのすけが後ずさりして
「なんで、、」
と小さく漏れた声にマルコは屋根上から乗り出す体を止めた。
あさのすけは裏路地を一目散に決して速くない足で駆ける。男は鬼ごっこを楽しむかのようにゆっくりとした足取りで、確実にあさのすけを追い詰めていた。
マルコはすぐに助けに行かなかった。
ロバートが知らないあさのすけの情報が手に入ると思ったからだった。
反応を見るに絡んでいる海賊はあさのすけを知っている。あさのすけも何かしら知っているから逃げていると思える反応をしていた。
町に害を成すようであれば対処しようとは思っていたが、停泊中の海賊は、良くない噂をきく。
あの時、あの丘での
すぐ壊れそうな彼女の顔が忘れられなかった。
それと同時に白ひげ海賊団一番隊隊長として、あさのすけがどこかの海賊の支配下にいる可能性も捨てられずにいた。
男があさのすけに何かをいうならそれを聞いてから対応しようと考えた。
だが、男は腰に下げていたナイフの峰で震えるあさのすけの頬を撫でると耳元で何かを囁く。
流石にその囁きを聞き取ることは出来なかったが、尋常じゃないあさのすけの怯えに、マルコは思わず屋根から飛び降りた。
マルコが2人の間を割る
男は突然できた影を見た瞬間後ろに飛び退き、降ってきたマルコを見ると少し驚いた顔をした。
(マルコ……?)
あさのすけはガタガタと震えながらマルコの背を見上げる
なぜ急に彼が現れたのかわからない。だが、あさのすけにとって降ってきた救いの主だ。
助けてほしい。
無意識に手をのばしかけて、その手を一度引いた。
--助けてくれるのだろうか?
地獄だった日々がフラッシュバックする。
自分の 能力を 知られたら ?
好きなキャラクターのマルコや白ひげに疎まれたら、蔑まれたら、と心が悲鳴をあげる。
だが、それよりも彼の側にいたい、とあさのすけは強く思った。
引いた手を伸ばし、
マルコの裾を弱々しく引っ張って、小さく言葉を紡いだ
「マ、ルコ……助けて……」
そう言われてその裾を振りほどくほど、
1番隊隊長不死鳥のマルコは、残忍な男ではない。
返事をすることはなかったが、その瞬間にマルコの両肩から青い炎が揺らめいた。
周囲が青白く照らされる。
あさのすけはその姿を、綺麗と思った。