A 道端の雑草
なまえをおしえて。
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09
無情にも、時間は止まらない。
進めば当然朝になり、あさのすけはもぞもぞと布団から這い出した。
すこし昼に向かっている太陽の光がチリチリと寝床に当たり、布団の中の温度は常夏のようだったのだ。
要は、とても暑かった。
窓をすこし開けると、涼しい風と共に酒場のある下の階からリリィと数名の男女の声が聞こえる。
他のスタッフと一緒に店の準備をしているようだ。
そういえば今日の夜に宴会があり、しかも普通の客ではない為、
通常営業をストップして準備をしなければいけなかった。
仕入れた食材や酒類も1ヶ月分かというくらい店にあふれている。それらを1日…というより一夜で消費してしまうというのだから、文字通りとんだお客様と言える。
ちなみに仕入れは昨日依頼したものだ。
1日でそれだけの仕入れを快く受けてくれる町の酒屋と市場の主人の手腕に頭が上がらない。
ともあれ、
自分に声がかからなかったということは、昨日のあさのすけの様子を見てそっとしようとリリィが配慮してくれたのだろう。
流石に宴が始まってしまったら猫の手どころかネズミの手すら借りたいくらいになるだろうから、せめてそれまでは…ということになる。
あさのすけはその気遣いに胸がちくりと痛くなった。
昨日の帰路は覚えていないが
マルコに出会い、あさのすけが思わず呟き一瞥で不死鳥姿を見破ってしまったこと、マルコから言われたことははっきりと覚えている。
この他は白ひげ海賊団が守護する町であり島でもある。
それはただ単純に縄張りだから
ではなく、町長を座している人物が白ひげ海賊団員であり白ひげから信頼され、訳あって陸に腰を据えているからでもある。
あさのすけがこの島の存在を人づてに知り、心身共に擦り切れながらもこの町に逃げ着いて、すぐ、その男を訪ねた。
その男の名前はロバート
突然訪ねたあさのすけに真摯に接してくれて、あまり多くを聞かないでくれた。
聞けなかった、という見方もできる。
ただ聞かれはしなかったが、知られていることは考えつくより多いだろうことをあさのすけでもわかっていた。
そして、マルコは事前にロバートから自分のことを聞いていたのだと察している。
『前の海賊に躾けられたかい?』
不死鳥姿を一目で見て正体を見抜く人間は、町民を含めてもいないはずである。
ここが海賊船の上で、どこかの海賊団員であればあの言い逃れでもゴリ押しで通してくれたかもしれないが、どう考えても無理があった。
であれば、自然とそう結びつくだろう。
「どうしたい……」
自分は白ひげに、白ひげの海賊船に出会いたいからこの島に逃げた。
助けてくれるかもしれない…なんて、ムシのいい夢は見ていないし、見れるほどこの世界に落ちてから甘い時間を生きていない。
それでも、会いたかった。
自分を道具以下の扱いしかしなかった場所から逃げ、いざ白ひげ海賊船が来たらそれからも逃げるのか。
なぜ、あの時
紙面の中で1番大好きだった男に出会えた時に縋り付かなかったのか。
あさのすけは自分がどうしたいのかわからなくなった。
無情にも、時間は止まらない。
進めば当然朝になり、あさのすけはもぞもぞと布団から這い出した。
すこし昼に向かっている太陽の光がチリチリと寝床に当たり、布団の中の温度は常夏のようだったのだ。
要は、とても暑かった。
窓をすこし開けると、涼しい風と共に酒場のある下の階からリリィと数名の男女の声が聞こえる。
他のスタッフと一緒に店の準備をしているようだ。
そういえば今日の夜に宴会があり、しかも普通の客ではない為、
通常営業をストップして準備をしなければいけなかった。
仕入れた食材や酒類も1ヶ月分かというくらい店にあふれている。それらを1日…というより一夜で消費してしまうというのだから、文字通りとんだお客様と言える。
ちなみに仕入れは昨日依頼したものだ。
1日でそれだけの仕入れを快く受けてくれる町の酒屋と市場の主人の手腕に頭が上がらない。
ともあれ、
自分に声がかからなかったということは、昨日のあさのすけの様子を見てそっとしようとリリィが配慮してくれたのだろう。
流石に宴が始まってしまったら猫の手どころかネズミの手すら借りたいくらいになるだろうから、せめてそれまでは…ということになる。
あさのすけはその気遣いに胸がちくりと痛くなった。
昨日の帰路は覚えていないが
マルコに出会い、あさのすけが思わず呟き一瞥で不死鳥姿を見破ってしまったこと、マルコから言われたことははっきりと覚えている。
この他は白ひげ海賊団が守護する町であり島でもある。
それはただ単純に縄張りだから
ではなく、町長を座している人物が白ひげ海賊団員であり白ひげから信頼され、訳あって陸に腰を据えているからでもある。
あさのすけがこの島の存在を人づてに知り、心身共に擦り切れながらもこの町に逃げ着いて、すぐ、その男を訪ねた。
その男の名前はロバート
突然訪ねたあさのすけに真摯に接してくれて、あまり多くを聞かないでくれた。
聞けなかった、という見方もできる。
ただ聞かれはしなかったが、知られていることは考えつくより多いだろうことをあさのすけでもわかっていた。
そして、マルコは事前にロバートから自分のことを聞いていたのだと察している。
『前の海賊に躾けられたかい?』
不死鳥姿を一目で見て正体を見抜く人間は、町民を含めてもいないはずである。
ここが海賊船の上で、どこかの海賊団員であればあの言い逃れでもゴリ押しで通してくれたかもしれないが、どう考えても無理があった。
であれば、自然とそう結びつくだろう。
「どうしたい……」
自分は白ひげに、白ひげの海賊船に出会いたいからこの島に逃げた。
助けてくれるかもしれない…なんて、ムシのいい夢は見ていないし、見れるほどこの世界に落ちてから甘い時間を生きていない。
それでも、会いたかった。
自分を道具以下の扱いしかしなかった場所から逃げ、いざ白ひげ海賊船が来たらそれからも逃げるのか。
なぜ、あの時
紙面の中で1番大好きだった男に出会えた時に縋り付かなかったのか。
あさのすけは自分がどうしたいのかわからなくなった。