A 道端の雑草
なまえをおしえて。
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06
町の状態を把握するのも仕事の1つだ。
この町を仕切る町長…元白ひげのクルーであった兄弟から聞き終わると、報告書をその日のうちにまとめた。
ふう、と。手が空いたとたんにサッチとエースに捕まり
今現在、酒を片手に広場にいる。
「まったく…計ったかのようにタイミングがいいよい」
やることはたくさんある。
が、そろそろ酒も飲みたかったし、よいかねい。とマルコは目の前で馬鹿みたいに騒ぐサッチとクルー、急に寝落ちて肉に頭を突っ込んでいるエースを見ながら酒をあおった。
町に問題という問題はない。
それは今日の話で大分よくわかった。
時々ガラの悪い海賊やらの船が来るらしいが、兄弟の手腕で事足りる程度。
最近では商船の行き来も増え、
こうやって自分たちをもてなし続けられるほど物流にも恵まれている。
ただ、強いて言えば…
マルコはふと遠く背後に気配を感じて、振り向いた。
「あれは…」
はっきり見えるわけではない。
広場の上にも小山があり、
そこに続くであろう細道を歩く人影が草木の間からちらりと見えた。
目をこらして見れば、昨日この広場で自分達の船を見つめていた女だった。
女はすこし急な坂になっている小道を肩で息をしながらゆっくり登っていく。
片手には木でできたバスケットを持っているようだ。
昨日もそうだが、こんな時間にふらりと出歩くなんてこの町の人間にしては珍しいはず。
いくら治安が良くても、
少しばかり不用心すぎるとも思った。
少し残った手元の酒を一気に飲み切ると、
ちょうどいい、と立ち上がった。
「どこいくんだ?」
エースの頭にコップを積む遊びをしていたサッチがマルコの立ち上がりに気づき声をかけた。
マルコは何も言わずに手を振ると、
妙に察しが良いのか悪いのか
彼はニヤニヤしながら「ごゆっくり〜」と言い、遊びを再開した。
(そろそろエースが起きそうだねい)
マルコは思ったが、それを伝える気もなく背後の草木をかき分けちらりと見えていた小道へと向かった。
後ろでエースの起きる声とカップの落ちる音、
サッチの大笑いが聞こえたが、
いつも通り気にしないことにした。
町の報告の中に気になる情報もあった。
彼女は海賊の奴隷で、
どこの海賊から逃げたのか聞いたそうだが、気付いた時にはヒューマンオークションでそいつらに落札されていたからわからないという。
当時、それ以上を聞ける状態ではなかったと、兄弟は言った。
それ以外に関しては、
コミュニケーション能力に優れているため、町民からの評判はとても良い。
だが、今でも海賊が追ってくると怯えていて、
見慣れぬ船が停泊すると、彼女が下宿している酒場のキッチンか部屋に篭り顔を出さない。
とのことだ。
(本当に今でも追われてるのかねい?)
聞くところによると、逃げてから3年経つという。
そんなに長い期間見つからないなら、普通の奴隷であれば諦めるものだ。諦めないということは、なにかあるのいうこと。
(価値のある奴隷…ということなんだろい)
どのくらいで落札されたかはしらないが、
ただの人間の落札額なんて高が知れている。
跳ね上がる要素としては、人種・武力・美貌…そして能力者であること。
マルコには、
こんな小さな坂をのぼるだけで肩で息をする人物に、重宝される武力があるとは到底思えない。
人種や美貌に関しても見たままの通りだ。
そうなると、能力者である可能性は限りなく高い。
どちらにしても、引き篭もるほど海賊に対して警戒するのであれば、いくら白ひげであっても、同じ気持ちだろう。
だが、昨日モビーディック号を見つめる彼女から、どこか待ち遠しさを感じたのだ。
今も登りきった小山の上から広場でバカみたいに騒ぐクルー達を羨ましそうな表情で見つめている。
無性になにか引っかかるのは、昔どこかで見たことがあるかなのか。
(なにかあるならはやめに摘み取るだけよい)
マルコ個人ではなく、隊長としての仕事だと割り切って、
あえて人の姿ではなく、鳥になった姿で近づいてみることにした。
背後の草木の動く音に気がついたあさのすけが振り返る。
そこには知っている特徴的な鳥が自分を見つめていた。
「マ…っ。あっ…」
思わずマルコ、と言い切ってしまうところだった。だが、言いかけた言葉は思ったよりも響いて、取り繕えない。
あさのすけはこういった展開を2次創作で見たことがある。とくにマルコは立場上一番警戒心の強い人物だ。
鳥の姿で様子を見に来たに違いないはずなのに、初っ端からその計画を崩してしまった。
鳥の姿のマルコもそんなに早く予定を崩されると思っていなかった。
自分を知っているのは予想できていたが、この姿を見て一瞬で見破られるとは想像できただろうか。
マルコは姿を戻してあさのすけを見る。
その表情は、知っている2次創作のシナリオのようにとても警戒した顔だった。
「あんた、何者だよい?」
(ああ、終わった…)
町の状態を把握するのも仕事の1つだ。
この町を仕切る町長…元白ひげのクルーであった兄弟から聞き終わると、報告書をその日のうちにまとめた。
ふう、と。手が空いたとたんにサッチとエースに捕まり
今現在、酒を片手に広場にいる。
「まったく…計ったかのようにタイミングがいいよい」
やることはたくさんある。
が、そろそろ酒も飲みたかったし、よいかねい。とマルコは目の前で馬鹿みたいに騒ぐサッチとクルー、急に寝落ちて肉に頭を突っ込んでいるエースを見ながら酒をあおった。
町に問題という問題はない。
それは今日の話で大分よくわかった。
時々ガラの悪い海賊やらの船が来るらしいが、兄弟の手腕で事足りる程度。
最近では商船の行き来も増え、
こうやって自分たちをもてなし続けられるほど物流にも恵まれている。
ただ、強いて言えば…
マルコはふと遠く背後に気配を感じて、振り向いた。
「あれは…」
はっきり見えるわけではない。
広場の上にも小山があり、
そこに続くであろう細道を歩く人影が草木の間からちらりと見えた。
目をこらして見れば、昨日この広場で自分達の船を見つめていた女だった。
女はすこし急な坂になっている小道を肩で息をしながらゆっくり登っていく。
片手には木でできたバスケットを持っているようだ。
昨日もそうだが、こんな時間にふらりと出歩くなんてこの町の人間にしては珍しいはず。
いくら治安が良くても、
少しばかり不用心すぎるとも思った。
少し残った手元の酒を一気に飲み切ると、
ちょうどいい、と立ち上がった。
「どこいくんだ?」
エースの頭にコップを積む遊びをしていたサッチがマルコの立ち上がりに気づき声をかけた。
マルコは何も言わずに手を振ると、
妙に察しが良いのか悪いのか
彼はニヤニヤしながら「ごゆっくり〜」と言い、遊びを再開した。
(そろそろエースが起きそうだねい)
マルコは思ったが、それを伝える気もなく背後の草木をかき分けちらりと見えていた小道へと向かった。
後ろでエースの起きる声とカップの落ちる音、
サッチの大笑いが聞こえたが、
いつも通り気にしないことにした。
町の報告の中に気になる情報もあった。
彼女は海賊の奴隷で、
どこの海賊から逃げたのか聞いたそうだが、気付いた時にはヒューマンオークションでそいつらに落札されていたからわからないという。
当時、それ以上を聞ける状態ではなかったと、兄弟は言った。
それ以外に関しては、
コミュニケーション能力に優れているため、町民からの評判はとても良い。
だが、今でも海賊が追ってくると怯えていて、
見慣れぬ船が停泊すると、彼女が下宿している酒場のキッチンか部屋に篭り顔を出さない。
とのことだ。
(本当に今でも追われてるのかねい?)
聞くところによると、逃げてから3年経つという。
そんなに長い期間見つからないなら、普通の奴隷であれば諦めるものだ。諦めないということは、なにかあるのいうこと。
(価値のある奴隷…ということなんだろい)
どのくらいで落札されたかはしらないが、
ただの人間の落札額なんて高が知れている。
跳ね上がる要素としては、人種・武力・美貌…そして能力者であること。
マルコには、
こんな小さな坂をのぼるだけで肩で息をする人物に、重宝される武力があるとは到底思えない。
人種や美貌に関しても見たままの通りだ。
そうなると、能力者である可能性は限りなく高い。
どちらにしても、引き篭もるほど海賊に対して警戒するのであれば、いくら白ひげであっても、同じ気持ちだろう。
だが、昨日モビーディック号を見つめる彼女から、どこか待ち遠しさを感じたのだ。
今も登りきった小山の上から広場でバカみたいに騒ぐクルー達を羨ましそうな表情で見つめている。
無性になにか引っかかるのは、昔どこかで見たことがあるかなのか。
(なにかあるならはやめに摘み取るだけよい)
マルコ個人ではなく、隊長としての仕事だと割り切って、
あえて人の姿ではなく、鳥になった姿で近づいてみることにした。
背後の草木の動く音に気がついたあさのすけが振り返る。
そこには知っている特徴的な鳥が自分を見つめていた。
「マ…っ。あっ…」
思わずマルコ、と言い切ってしまうところだった。だが、言いかけた言葉は思ったよりも響いて、取り繕えない。
あさのすけはこういった展開を2次創作で見たことがある。とくにマルコは立場上一番警戒心の強い人物だ。
鳥の姿で様子を見に来たに違いないはずなのに、初っ端からその計画を崩してしまった。
鳥の姿のマルコもそんなに早く予定を崩されると思っていなかった。
自分を知っているのは予想できていたが、この姿を見て一瞬で見破られるとは想像できただろうか。
マルコは姿を戻してあさのすけを見る。
その表情は、知っている2次創作のシナリオのようにとても警戒した顔だった。
「あんた、何者だよい?」
(ああ、終わった…)