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学生刹那×アンドロイドハム

グラハムと海に行ってから、グラハムは少し変化した。
まず、表情。以前はいつでも無表情だったが、最近は笑顔が増えた。
その次。外に出たがる様になった。
外に出て色々なものを見たい、と言うのだ。
この変化に、刹那は嬉しく思う。着々といい方向に進んでいる。
グラハムを拾ってから、毎日が楽しい。

刹那には不安があった。
それは、グラハム がふらっとどこかへ行かないか。
最近、グラハムはよく外出をする。
一緒に行くこともあれば、一人でいくことも。
グラハムは顔がいい。故に、誘拐されないか心配なのだ。
そこで刹那が考えたのが、グラハム にGPSを搭載することだ。
グラハムが誘拐されてもどこにいるかわかる。気休めでも、ありがたかった。
我ながら過保護だと思う。でも、仕方がない。
このアンドロイドが、すきだから。
すきに理由なんてない。刹那はそう思う。
「グラハム」
「む?なんだね?」
「GPSを買ってきたんだ。どこにつけたらいい?」
「GPSか。気も過保護だなぁ。 ……そうだなぁ。口のなかでいいのではないか?」
口の中か。なるほど、それだと見つかりにくい。
「わかった。じゃあ、口を開けてくれ」
グラハムは、言われた通りに口を開く。
真っ赤な舌に、刹那はドキッとする。
だめだだめだ、グラハムはアンドロイドなんだぞ!自分に言い聞かせる。
とりあえず、奥歯にGPSをセットする。
「……よし、これでいいだろう。気持ち悪くないか?」
「問題ない」
ならば良し。これでグラハムを安心して外に出せる。
「いいか、グラハム。俺以外の人間には絶対についていくな。何かあれば大声を出せ。わかったか?」
「熟知している」
「そうか。ならよかった」
「では、早速出掛けてくるぞ」
「あぁ。早めに戻ってこいよ」
そんなやり取りの後、グラハムは家を出ていく。
不測の事態の時の為につけてはみたものの…… これの世話にならなければいいのだが……
……なんだか、嫌な予感がした。
いや、気のせいだ。と、自分に言い聞かせる。
……やはり、一人で行かせるのはまずかったか……?
しかし、予感に過ぎない。どうか、グラハムに災難が起きませんように。そう願う刹那だった。
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