学生刹那×アンドロイドハム
うーん、と伸びをする。
刹那の朝は早い時もあるし遅い時もある。
大学の講義の時間によって左右されるからだ。
今日は4限からだから、朝はゆっくり眠れる。
朝ご飯を食べないと。そう思い、ベッドから起きる。
……と、なんだかいいにおいがする。リビングとへ行ってみると、そこには朝ご飯がテーブルの上には並んでいた。
トースト、スープ、サラダ、オレンジジュース。誰もが想像する典型的な朝ご飯だ。
そうだ、昨日はグラハムをスリープ状態にするのを忘れていた。
一晩起きていたことになる。なんだか申し訳なく思い、グラハムに声をかける。
「グラハム、昨日はスリープ状態にするのを忘れていてすまなかった。やる事がなくて暇だったらだろう」
「問題ない。わたしには感情がない。そんな事を気にするよりも、今日の試験のことを心配したらどうだ?」
このアンドロイドは、感情という情報をインプットできない、悲しいアンドロイドなのだろうか…?
刹那は悲しくなる。そんなの、可哀想すぎる。
どのアンドロイドにも感情はある。極めて異例なのだ、グラハムは。
「どうしたのだ?難しい顔をして」
「……いや…… なんでも、ない……」
「?そうか。それより、早くごはんを食べないと冷めてしまうぞ?」
「あぁ……」
いただきます。ぱく。
ふむ…これはなかなか…
「おいしい……」
「そうか、それはよかった」
なんて言っているけれど、ちっとも嬉しそうでない。
……このアンドロイドの感情は、どこに行ってしまったのだろうか?
……考えても仕方がない。
そうだ。何処かに出掛けたり刺激をあたえたら感情が戻るかな、という希望的観測を抱き、グラハムを外出に誘うことにした。
「グラハム。どこかへ出掛けないか?」
「それは構わないが…だが君、講義があるのだろう?」
「構わない。今はお前と出掛けたいんだ、グラハム」
嫌なのか?と問いかけてみる。
「わかった、行ってみよう」
やった、と内心ガッツポーズをする。
これはグラハムと距離を縮めるいいチャンスではないのか?と考える。
早速外出の準備をする。刹那の私物は少なく、
そう時間はかからなかった。
「グラハム、いくぞ」
「ああ」
刹那は迷うことなく歩く。
グラハムには、自分が気に入っている場所を見てもらいたかったのだ。
なんとなく、そこへ行けばなにかある、と刹那は感じたのだ。
道行く人たちが羨ましげに俺をみる。そりゃそうだ、このアンドロイドは見た目がもの凄くいいのだから。
目的地に着くまでの間、様々なところへよった。
(グラハムは食事をしないが)カフェに本屋。
グラハムに似合いそうな服を見立てて数着買ったり。
グラハムはどうだったかはわからないが、凄くたのしい時間だ、と刹那は感じた。
そして、行きたかった場所、そこに着く。
そこは、海だった。
波が波打ち、太陽の光を浴びてキラキラと光っている。
綺麗な青で、空と似ている。
亡き両親とよく一緒に来た場所。そこは、刹那のとっておきの場所だった。
グラハムに、気に入ってもらえるだろうか。少しでも、感情を取り戻してもらえるだろうか。
恐る恐るグラハムをみる。
そこには、いつもと違う表情のグラハムがいた。
「ここが、刹那が来たかった場所……」
「どうだ?俺のとっておきの場所なんだ」
「……凄い…… 」
グラハムは、感極まる、という感じだった。
……以前とは、違う気がする。
前までのグラハムなら、こんな反応をしなかった……と、思う。
「とても綺麗な場所だ…… 刹那がとっておきの場所というのも理解できる」
そこには、笑顔のグラハムがいた。
刹那は驚いた。そこには、笑顔のグラハムがいたからだ。
それは、グラハムを拾ってからみたことのない表情であった。
刹那は感動した。まさか、こんな顔をするとは。
これは、いい兆候なのかもしれない。
この調子で、グラハムの感情が戻っていきますように……と、刹那は願った。
刹那の朝は早い時もあるし遅い時もある。
大学の講義の時間によって左右されるからだ。
今日は4限からだから、朝はゆっくり眠れる。
朝ご飯を食べないと。そう思い、ベッドから起きる。
……と、なんだかいいにおいがする。リビングとへ行ってみると、そこには朝ご飯がテーブルの上には並んでいた。
トースト、スープ、サラダ、オレンジジュース。誰もが想像する典型的な朝ご飯だ。
そうだ、昨日はグラハムをスリープ状態にするのを忘れていた。
一晩起きていたことになる。なんだか申し訳なく思い、グラハムに声をかける。
「グラハム、昨日はスリープ状態にするのを忘れていてすまなかった。やる事がなくて暇だったらだろう」
「問題ない。わたしには感情がない。そんな事を気にするよりも、今日の試験のことを心配したらどうだ?」
このアンドロイドは、感情という情報をインプットできない、悲しいアンドロイドなのだろうか…?
刹那は悲しくなる。そんなの、可哀想すぎる。
どのアンドロイドにも感情はある。極めて異例なのだ、グラハムは。
「どうしたのだ?難しい顔をして」
「……いや…… なんでも、ない……」
「?そうか。それより、早くごはんを食べないと冷めてしまうぞ?」
「あぁ……」
いただきます。ぱく。
ふむ…これはなかなか…
「おいしい……」
「そうか、それはよかった」
なんて言っているけれど、ちっとも嬉しそうでない。
……このアンドロイドの感情は、どこに行ってしまったのだろうか?
……考えても仕方がない。
そうだ。何処かに出掛けたり刺激をあたえたら感情が戻るかな、という希望的観測を抱き、グラハムを外出に誘うことにした。
「グラハム。どこかへ出掛けないか?」
「それは構わないが…だが君、講義があるのだろう?」
「構わない。今はお前と出掛けたいんだ、グラハム」
嫌なのか?と問いかけてみる。
「わかった、行ってみよう」
やった、と内心ガッツポーズをする。
これはグラハムと距離を縮めるいいチャンスではないのか?と考える。
早速外出の準備をする。刹那の私物は少なく、
そう時間はかからなかった。
「グラハム、いくぞ」
「ああ」
刹那は迷うことなく歩く。
グラハムには、自分が気に入っている場所を見てもらいたかったのだ。
なんとなく、そこへ行けばなにかある、と刹那は感じたのだ。
道行く人たちが羨ましげに俺をみる。そりゃそうだ、このアンドロイドは見た目がもの凄くいいのだから。
目的地に着くまでの間、様々なところへよった。
(グラハムは食事をしないが)カフェに本屋。
グラハムに似合いそうな服を見立てて数着買ったり。
グラハムはどうだったかはわからないが、凄くたのしい時間だ、と刹那は感じた。
そして、行きたかった場所、そこに着く。
そこは、海だった。
波が波打ち、太陽の光を浴びてキラキラと光っている。
綺麗な青で、空と似ている。
亡き両親とよく一緒に来た場所。そこは、刹那のとっておきの場所だった。
グラハムに、気に入ってもらえるだろうか。少しでも、感情を取り戻してもらえるだろうか。
恐る恐るグラハムをみる。
そこには、いつもと違う表情のグラハムがいた。
「ここが、刹那が来たかった場所……」
「どうだ?俺のとっておきの場所なんだ」
「……凄い…… 」
グラハムは、感極まる、という感じだった。
……以前とは、違う気がする。
前までのグラハムなら、こんな反応をしなかった……と、思う。
「とても綺麗な場所だ…… 刹那がとっておきの場所というのも理解できる」
そこには、笑顔のグラハムがいた。
刹那は驚いた。そこには、笑顔のグラハムがいたからだ。
それは、グラハムを拾ってからみたことのない表情であった。
刹那は感動した。まさか、こんな顔をするとは。
これは、いい兆候なのかもしれない。
この調子で、グラハムの感情が戻っていきますように……と、刹那は願った。