第一話 はじまりの色

放課後。
気だるい午後の授業を終えて、さっしーの指示通り校門で待つ。
「咲良ー!お待たせー!」
さっしーはシューズボックスから全速力で走り、息を切らしながらこちらへやってきた。
「ごめん、日直の仕事忘れてて遅くなった…!」
「そ、そんなに急がなくてもいいって…あ、これレジャーシート。お昼に置いて行ってたから」
「あ、ありがとう!ないなって思ってたとこなんだよ!」
「っていうか早く推しに会いに行かないと!咲良行こ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
さっしーに腕を引っ張られ、そのまま学校をあとにした。

「はあ、楽しみだなあ〜、久しぶりに会える」
「そういえばさっしー、さっき東京で会ったって言ってたよね?旅行?」
ここは博多、東京なんて滅多に行くことはない。
「あ〜、うん。春休みの旅行〜」
明るく返事をしていたが、妙に歯切れが悪いのがなんとなく気になってしまった。
けれど、言いたくないことかもしれないし、追及するのはやめておいた。
「あ、見て咲良!着いたよ!」
さっしーの指差す場所は、立派な劇場。
普通の私とはまったく縁のないような、神々しいオーラを感じて、思わずたじろいだ。
「ほ、ほんとにここに入るの?私たち制服だよ?」
「ドレスコードとかないから大丈夫!指原なんか東京で見たとき違うアイドルグループの推しTシャツ着て行ったから」
「それはそれでどうなの…?」
さっしーに中に連れられ、受付に案内される。
(しゃ、シャンデリアとかあるし…やば…)
「U-25席、二枚ください」
さっしーが頼んでいるのを横目に、料金表を見る。
(え、S席たっか!?でも、U-25席は意外と安い…ふだん行ってるアイドルの公演の方が高いかも)
そう考えているうちに会計が済み、ホールへと入る。
すでに着席している人は、思いのほか庶民的な格好の人が多く、中には私たちのような高校生もいた。
「なんか意外…もっとお金持ちの人たちがたくさんくるのかと思ってた」
「それがそうでもないんだよね〜。ほら、もうすぐ始まるよ。静かにして」
「うん…」
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